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大学を出て家庭教師のバイトへ向かう
丈くんとはっすんの言う通り、 家庭教師というバイトは 俺にとっては割とリスクがあった
ただでさえ人から好かれやすい俺は 思春期の不安定なお年頃の 中高生に好意を持たれて 未成年とあらぬ噂が立ったら大変と このアルバイトを引き受ける時に いくつか条件を出した
1.女子生徒は受け持たない 2.ご両親のどちらかが住宅の時じゃないと上がらない 3.何かあればいつでも辞めることができる
だいぶ自分勝手な条件やから てっきり断られるかと思っていたけど それでもいいから!と押し切られた
それからは週に3、4人の生徒を担当することになった もちろん、授業中も注意を怠らない
基本的に部屋で2人きりの時は俺は座らず 生徒から離れたとこで立ったまま教える なるべく近い距離にならないように 生徒のことは苗字にさん付け、 俺のことも下の名前では呼ばせない 授業中は必要以上の雑談もなし 淡々と教えて時間がくれば終わる
ただそれだけ
そうやって徹底して距離をとっていたのに ひとりだけそれを悠々と超えてくる奴がいた
高橋 恭平 15歳
この春から高校1年生 運動神経抜群で少女漫画から 飛び出してきたようなビジュアルのくせに ものすごくおバカ びっくりするくらい勉強ができない でも根は優しくて真面目で実は人懐っこくて 最初は高橋さんって呼んで 西畑先生って呼ばせていたのに いつの間にか恭平って呼んで 大吾くんって呼ばれている
受け持っている生徒で唯一、心を許している存在
今日はそんな恭平の授業があった 恭平やから、と特に着替えずに 普段の俺なら有り得ないカジュアルな格好で まるで友達の家に行くような感覚で 大学から直接家へ向かう
予定時間より少し早く着いてしまい、 インターホンを押すか悩んでいた時 遠くから
恭平
と聞き慣れた声が聞こえてきた