夜が終わり新しい朝がきた……縁結びの神様がいると言われている神社に来た春は賽銭箱の前に立ってお参りをしていた
春
太一くんと付き合えますように!
春
…よしっ
春
さっさと学校行かないと遅刻しちゃう!
春
春
うわっ!?
後ろを振り返った春の先には白くとても綺麗で尻尾のところにはそこそこ大きい鈴がついているふわふわしたキツネがちょこんと座っていた
春
かっ…可愛い…♡
キツネ
…
キツネは春のことをじっと見つめている
春
白くて綺麗だな
春
って!?早く行かないと遅刻する!
春
ごめんねキツネさん
春は走って学校へ向かった…
キツネ
……
キツネは春が見えなくなるまでずっと視界をずらすことはなかった
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春は学校に間に合い授業をはじめた…時間はあっという間に過ぎ昼休みに入った
春は友達の芽生と今日の事について話していた
芽生
ねぇ
芽生
どうだった?あの縁結びの神社でお祈りした?
春
うん!もうばっちり
芽生
いいよね〜春は
芽生
好きな男子ができるなんて
春
芽生も恋はじめたら?
芽生
無理無理
芽生
私たちのクラスに理想の人いないんだよねぇ
春
隣のクラスのあの頭良い男子は?優しいしおとなしいし、なかなかいいんじゃない?
芽生
え〜あーゆーのは苦手なんだよねぇ…
芽生
私はどっちかというと騒がしい方が好きだし…
春
そうだっけ?
芽生
うん。
芽生
あっ!そうだ春あの縁結びの神社ってね、言い伝えがあるらしいよ
春
言い伝え?何かすれば縁が結ばれる的な?
芽生
まぁ、そんなところかな
芽生
昔その神社にはキツネの神さまが居たらしい。
芽生
そのキツネの神さまは【鳴け】ば縁が結ばれるって
春
鳴けば?
芽生
そう。でもそのキツネの神さまは気まぐれで、鳴くか鳴かないかは気分次第なんだって
春
へ〜キツネの神さまねぇ〜
春
…
春
ん?キツネ?
芽生
そう、キツネの神さま
春
そっ…それって白い?
芽生
さぁ?知らない
春
キツネって鳴かなかったらその縁はどうなるの?
芽生
結ばれない!しかも今よりもっと悪くなる
春
えっ?!
春
てことは一生太一くんと付き合えなくなるの!?
芽生
うん、しかも酷いときは名前とか。。存在とか忘れられちゃうかも!
芽生は笑っている
春
そっ…そんな…
春は朝会ったキツネを思い出し鳴いていないことに気づき重くなった
春
もう。無理なんだ…
芽生
ちょっ信じすぎ!
芽生
言い伝えだから!
芽生
あの神社を作った人が面白がって作った嘘話だって、信じることないって!
春
言い伝えなのに?
芽生
ほら人を増やすためでしょ
芽生
何もない神社よりそんな嘘話があったほうがみんな面白がってくるんでしょ?
春
うん……
キンコンカンコン
チャイムの音が学校内を響かせ生徒たちは席についた
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学校の終わりに春は急いであの神社に寄って確かめることにした…
春
キツネが鳴けば縁が結ばれる…
春
キツネが鳴けば縁が結ばれる…
春
キツネが…って流石にあのキツネが神様なわけないよね、もう諦めて帰ろっ
チャラン
チリン
春
春
え?
春
何?今の音…
春
えっ…
帰ろうとした春は音が鳴った賽銭箱の方に目をやるとそこには朝会ったあのキツネが座っていた
春
春
キツネッ
キツネ
キツネはじっと春を見つめてこう言った
キツネ
お前の願い叶うまい