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哀音(主)
怖い話をします…
哀音(主)
苦手な方注意
哀音(主)
では、どうぞ
支笏湖ドライブの怪
哀音(主)
きっかけは、お兄ちゃんの
悪ふざけだった。
悪ふざけだった。
哀音(主)
来月、支笏湖に遠足に行く私に、
哀音(主)
あそこは心霊スポットとして有名なんだぞ、
哀音(主)
と嬉々として
話し始めたのだ。
話し始めたのだ。
哀音(主)
「支笏湖のほとりを車で
走っているとな、
なんと１００キロ以上の
スピードで走るおばあさんが追いかけてきて、
抜き去って行くんだぜ！」
走っているとな、
なんと１００キロ以上の
スピードで走るおばあさんが追いかけてきて、
抜き去って行くんだぜ！」
哀音(主)
「支笏湖のあたりをドライブしていると、ヘッドライトが片方切れているセリカが
後ろにピッタリとくっついて、あおってくるんだ」
後ろにピッタリとくっついて、あおってくるんだ」
哀音(主)
「しかも、一度ついて来られたら最後、事故を起こすまで絶対に離れないんだって！
地元では〚片目のセリカ〛
って言われていて、」
地元では〚片目のセリカ〛
って言われていて、」
哀音(主)
「みんなから恐れられているんだぞ！」
哀音(主)
「お前もセリカを見つけたら、ライト切れてないかよく見ろよ！」
哀音(主)
「しつこいなー！やめてよー」
哀音(主)
耳を塞いでお母さんの元へ
逃げる私を追って
逃げる私を追って
哀音(主)
お兄ちゃんの話は
どんどんエスカレートして
いった。
どんどんエスカレートして
いった。
哀音(主)
「そもそも昔は、
支笏湖を死笏湖って
書いていたんだ。」
支笏湖を死笏湖って
書いていたんだ。」
哀音(主)
「なんでかっていうと、
たくさんの人が死んで、
すっげー数の骨が沈んでいる死の湖だからなんだってさ」
たくさんの人が死んで、
すっげー数の骨が沈んでいる死の湖だからなんだってさ」
哀音(主)
もうやめてよぉと
半泣きになった私を見て
ついにお母さんが怒った。
半泣きになった私を見て
ついにお母さんが怒った。
哀音(主)
「いい加減にしなさいっ！」
哀音(主)
「だいたい支笏湖の由来は
アイヌ語の〚シ･コッ〛で、
大きな窪地って意味でしょう！」
アイヌ語の〚シ･コッ〛で、
大きな窪地って意味でしょう！」
哀音(主)
「適当なこと言って、ユミを怖がらせないのっ！」
哀音(主)
それでもなお、
哀音(主)
「でもさ、支笏湖で死ぬと、湖の中の木や藻にひっかかって、死体が二度と浮かんでこないって言うじゃん」
哀音(主)
と、言いつのるお兄ちゃんを見て、お父さんがニヤニヤした顔で言った。
哀音(主)
「そうかぁ、ユウイチはそんなに支笏湖に行きたかったのか。よし、それじゃあ週末は支笏湖ドライブだな！」
哀音(主)
日曜日の支笏湖ドライブは家族連れが多く、のどかな雰囲気だった。
哀音(主)
お兄ちゃんの話を思い出して
ビクビクしていた私も、
ペダルボートを漕いだり、
野鳥の森で、お弁当を
食べたりしているうちに、
すっかり怖がる気持ちもなくなっていた。
ビクビクしていた私も、
ペダルボートを漕いだり、
野鳥の森で、お弁当を
食べたりしているうちに、
すっかり怖がる気持ちもなくなっていた。
哀音(主)
帰りの車では、お兄ちゃんをイジる余裕さえ出てきていた。
哀音(主)
「ねぇ、お兄ちゃん、
〚片目のセリカ〛は探さなくていいのぉ？あおられたら最後なんでしょ？」
〚片目のセリカ〛は探さなくていいのぉ？あおられたら最後なんでしょ？」
哀音(主)
「あっ、後ろからすごい
速さで走ってる人が来るよ！あ、なーんだ、バイクだー。」
速さで走ってる人が来るよ！あ、なーんだ、バイクだー。」
哀音(主)
「お兄ちゃん、もしかして例のおばあさんが走ってるのと見間違えちゃった？」
哀音(主)
と、その時。
隣の車線からバイクが追い越していった。ヘルメット姿のライダーの背中のあたりに
隣の車線からバイクが追い越していった。ヘルメット姿のライダーの背中のあたりに
哀音(主)
何か白い物が浮いている。
哀音(主)
「あれ？何だろう………えっ！？」
哀音(主)
よく見ると、ライダーの背中ごしに、白髪頭のおばあさんがこっちを向いてニヤッと笑った…
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
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