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第二章
空気が明らかに殺伐としている。
なんせ、訳もわからない場所に集められ、そして赤の他人との共同生活を強いられているのだ。
こうして個室があるだけまだ救いではある。
少なくともプライバシーは守られているのだから。
A
今後の方針を決めるという話になったが、しかし明確なビジョンは誰にも打ち出せなかった。
なぜなら、やるべきことが決められているから。
A
飢え――という死に方ほど、残酷なものはない。
真綿で首を絞められるかのごとく、じわじわと命を削られる。
いや、もしかすると真綿で首を絞められたほうが、よほど楽に死ねるのかもしれない。
A
人間、何もしていなくても腹は減る。
しかし、それよりも問題なのは――水分だ。
このままでは、遅かれ早かれ、誰かが衰弱し、そして死に至るだろう。
残った4人は助かることになるが、しかし自分が最初の脱落者にならないとも限らない。
A
様々な思考が頭を巡る中、部屋の扉がノックされる。
A
部屋には鍵などはついていない構造。
すなわち、入ろうと思えば誰でもAの部屋に出入りできる。
A
扉の方に声をかけるが反応がない。
A
言い直すと、扉が開いた。
E
扉から顔を覗かせたのはEだった。
A
Eは話し方がフランクなおかげか、Aも自然体のまま話すことができるから楽だ。
本人いわくコミニュケーション能力には自信があるとか――。
E
E
どうやら眠れなかったのはAだけではないらしい。
A
A
Aも快諾し、Eと共に広場へと向かった。
E
広場へ戻って唖然とした。
A
E
無造作に床へと置かれていたのは、ポケットに入るサイズのナイフだった。
それを拾い上げようとして、ふとEは動きを止めた。
E
E
ふっとEが口にした言葉にはっとする。
A
E
Eはそこで言葉を一度区切り、ぽつりと呟いた。
E
E
E
言葉にするのが恐ろしくて、Aは小さく頷くだけだった。
E
Eはそう言うと、小さく笑った。
冗談なのか本気なのか分からず、一緒になって笑っていいのかさえ分からない。
C
ふと声がした方に視線をやると、Cがナイフに視線をやっている。
声が震えているように聞こえたのは、きっとAの聞き間違いではない。
E
Eはそう言うと、ナイフを手に取った。
E
E
彼にナイフを預けてもいいのだろうか。
ふと、そんなことも考えたが、この状況であれば、誰がナイフを持っていても同じだ。
B
D
BとDもやってきた。
Dが何かを言ったようだが、Aには聞き取れなかった。
A
みんなに分かるように噛み砕いて言うと、一同が同意するかのごとく頷いてくれた。
E
こうして、改めてミーティングが始まったわけだが、正直なところ中身はほとんどなかった。
ただ、核心を突いた意見は出た。
すなわち、誰かを殺せば、ここを簡単に出ることができる――という意見。
しかしながら、それを牽制するかのごとく、Eが改めて言っていた。
E
E
大事なことだから2回言ったのか。
とにかく、Eは自らが殺されてしまうことを恐れているようだった。
しかし、Aは違う印象を彼に抱いていた。
A
A
もしかすると、彼は誰かを殺そうとしているのではないか。
そんな考えが頭をよぎったが、しかしその予感は外れるのだ。
なぜなら――E自身が殺されてしまうのだから。