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少年
少年
少年
少年は、瓦礫の中からタブレット端末を探し出すと、それはそれは大事そうに、愛おしそうに抱え、砂埃舞う荒廃した地平線の方へ姿を消した
第1章 古屋の少年
少年
少年
ここはとある古屋
色素の薄い少年が必死に工具を動かし 機械……所謂アンドロイドと呼ばれる物を作っている
うぃーん、ぎしぎし、かつんかつん
そんな音が谺する古屋には、少年以外の気配は無く
それどころか、生活感も感じられないのであった
少年…名をヘレン・アルクス
幼少の頃、その明晰な頭脳で 世に天才技術者として名を馳せた ちょっとした有名人である
そんな彼が、何故こんなにも古びた家に住まうのか
彼の活躍ぶりは歴史上類を見ない程のものであったので もう少しマシな暮らしをしていても可笑しくないのである
では何故、この古屋に、彼は技術者として住んでいるのか
その答えは、窓の外…… いや、この小屋の外にある
ぴっしりと締め切られ、ここ数ヶ年動かされていないだろうと推測される窓の外には
何も無かった
そう、何も無いのだ
本来あるべき建物や、人間、植物に至るまで、何も無い、何も居ない
あるのは、べこべこと凹んだ地面だとか、僅かに残る黒ずんだ木のようなものだとか…
辺りを砂塵が包み
暴風が吹き荒れ
空は曇り
朝かも晩かも分かりはしない
第2章 消滅
それは遡ること数年前
日の丸の国は、世界から消えた
新時代、情報が世界を動かす時代
世間は世界はネットワーク一色に染まり、情報戦争何てものが争い事の主流になりだした
そんな中技術を駆使し、時代の先駆者となったのは、我らが日本であった
次々と画期的な発明をし それらを世界に公表すると 日本の地位は鰻登り 瞬く間に世界の頂点へと君臨した
だが、そう上手くも行くものでは無い
その功績を妬む者が世界各国に現れ始めたのだ
その者達が、世界各国であることない事騒ぎ始めたのである
そしてとうとう、事件は起きる
とある国の首相が
日本に爆弾を落とした
空から落ちて
パチン、と弾けて
刹那
眩い光と暴風
周囲のものは
光と共に塵と化した
有害物質を孕んだ塵は
風と共に日本中を駆け巡った
各地で異変が起こった
作物は育たなくなり、水は枯れた
常に空が曇り、森が枯れた
地面が渇き、ヒビが走った
えも知れぬ病が蔓延した
人々は恐怖にのた打ち
怯えて死んだ
病に対抗する薬が出来たのは 日本が亡くなってからであった
その薬は手切れ金とばかりに 無人機で生き残りに輸送され
そのまま各国は見て見ぬふり
日本は見棄てられ 残された人々も滅びの一途を 辿るのであった
コメント
3件
はッッッッッ……神ですか…あなたは…()
いや、神.......(((((