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任務に同行者がつくと聞いたのは出発の直前だった。
隊士
新人の隊士はそう言って一瞬だけ言葉を詰まらせた。
お館様
お館様
お館様
驚いているのか緊張しているのかはわからない。 多分両方だ。
婭栗 小梅
そう言うと、彼は更に固まった。
私は何か変なことを言っただろうか? わからないまま歩き出す。
夜の森は昨日より少し湿っていた。 糸が張りやすい。
木と木の間、地面すれすれ、視線の高さ。 新人の足が引っかからない位置だけを避けて、 糸を巡らせる。
隊士
後ろから遠慮がちな声
隊士
婭栗 小梅
婭栗 小梅
婭栗 小梅
婭栗 小梅
隊士
それから新人の子は黙って私を見ていた。
鬼は思ったより早く現れた。 新人が気づく前に私は立ち止まる。
婭栗 小梅
言われた通り、彼は止まった。 次の瞬間、森の奥から影が跳ねる。 勢いはある。でも方向が悪い。
ーーーーーそこは巣だ。
婭栗 小梅
鬼の動きが不自然に止まる。 空中で何かに引かれたように。
隊士
新人の息が止まる。
鬼は暴れる。 腕を振り、脚を動かし、逃げようとする。 その度に、動きが鈍る。 糸は動くものほど絡む。
婭栗 小梅
私は前に出る。
婭栗 小梅
隊士
鬼が叫ぶ。 何が起きているのかわからない声。
隊士
私は距離を詰め、必要な糸だけを回収する。 急がない。 解けない位置まで、確実に。 完全に音が止まったのを確認してから、刀を抜く。 音はほとんどしなかった。
しばらく新人は動かなかった
隊士
婭栗 小梅
鬼の気配はもうない
隊士
彼の目線が森を彷徨う。 木も、地面も、そのままだ。
婭栗 小梅
隊士
婭栗 小梅
私は糸を回収する。 新人は少しだけ、私をみる。
隊士
婭栗 小梅
隊士
少し考えてから、彼は言った
隊士
それは多分、私だけだ笑
婭栗 小梅
そう言うと彼は大きく頷いた
夜はまた静かだった。
夜明け前、任務地を離れる頃には霧が出ていた。
新人は私の少し後ろを歩いている。 最初より足音がかるい
隊士
唐突にそう言われた
婭栗 小梅
隊士
私は少しだけ考える
婭栗 小梅
隊士
婭栗 小梅
婭栗 小梅
新人は最初より、明るくなった気がした。 その時の彼は震えていなかった。
ーーーーーそれで十分だ。
婭栗 小梅
そう言うと新人は笑顔で答えた
隊士