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デビルズパレス
廊下
コツ…コツ……
2人分の足音が鳴り響く
その小さな小さな音が聞こえるくらい
深夜の屋敷は静まり返っていた
主
ラト
主
少し前をゆったりと歩く彼は
振り返らずにそう言った
主
ラト
闇をまとった紅の長い三つ編みが
少し揺れる
主
主
ラト
ラト
主
主
主
久しぶり、というのは
以前の満月の夜から、ということだった
ラト
ラト
ラト
ラト
ラト
相変わらずラトは
歩調に合わせて長い三つ編みを揺らし
見えない表情と同じくらい一定のトーンで話続けた
主
主
主
主
主
主
主
ラト
ラト
ラト
デビルズパレス
治療室
口止めされていたことも含め
ラトの付き添いは治療室の近くまでで お願いした
コンコン…
控えめなノックをするが返事はなく
私は恐る恐る
そっと治療室のドアを開けた
主
ツンと鼻を貫く消毒液の匂い
それに混ざった
よく分からない不快な匂いに
背筋が寒くなる
主
静まり返る室内には
白いシーツのベットに包まれたラムリと
そのベットのそばの椅子に座ったルカスの姿がいた
主
額
肩、腕
おびただしく巻かれた包帯にはところどころ赤黒いものが滲んでいる
ラムリ
小さな寝息とともに胸が上下する
主
その当たり前のことが苦しそうだった
主
その時
ルカス
隣に座るルカスが突然手首を掴んだ
どうやらルカスは座ったまま寝落ちていたようで
まだぼんやりとした声をしていた
主
主
ルカス
少し低い声で私を見上げるその顔に
いつもの笑顔はなかった
主
主
主
ルカス
私はルカスの右頬を左手で包み
指で目の下のクマをなぞった
主
主
主
主
ルカス
ルカス
主
私はルカスから手を離して
近くから背もたれ付きの椅子をルカスの近くへ持ってきた
ルカス
私はその椅子に座り
隣のルカスを少し見上げる
主
私はそのまま
羽織っていたブランケットをルカスの肩へかけた
ルカス
主
ルカス
ルカス
ルカス
いつもの気品高い笑みはなくて
主
そこには
私が感じ取れてしまうくらいの
主
主
ルカス
底知れぬ恐怖
主
主
主
主
かすかに血液のような鉄っぽい匂いがする
ルカス
少しか細い声が聞こえて
主
大きな手が私の手に重ねられた
ルカス
ルカス
ルカス
肩にそっと乗せられた少しの重み
頬をくすぐるやわらかな
紅い髪と
いつもより近くで耳を撫でる声
ルカス
心臓の音が全身に響く
主
主
いつも見上げるばかりのあなたが
今日は
なんだか少し幼く感じる
主
ルカス
返事の代わりなのか
手にまだ残る小さな震えを隠すためなのか
少しぎゅっと
ルカスが私の手を強く握る
ドクン…ドクン……
主
私は
改めてラムリに視線を落とす
主
主
いつも人懐っこい笑顔と弾んだ声で
私を呼ぶラムリの面影はまるでなかった
ドクン……ドクン……
主
仲間の死には抗えない
主
主
その時の恐怖はどれくらいのものだろう
ドクン……ドクン……
ルカスとラムリの寝息に耳を傾けながら
私は流れ込んでくる 大きな温もりとともに
夜が明けるのを待った
主
デビルズパレス
主の部屋
主
目が覚めて
一番に飛び込んできたのは
紅い、髪だった
主
主
ラト
ラト
主
全身が鉛のように思い
今までどうやって力を入れて動かしていたのか不思議な感じがした
主
ラト
ラト
主
主
主
ラト
ラト
ラト
ラト
主
ラト
ラト
ラト
ラト
ラト
主
青い瞳が細く笑う
ラト
ラト
なんだか
やっと彼の顔を見たような気がした
主
主
主
主
私はみんなと同じになれない
主
主
主
主
主
主
ラト
主
主
主
主
主
主
主
主
そんな邪魔者でもいいから
私はあなたの中にいたい
思い出せば虫唾が走るような最悪な感情で
あなたの頭をいっぱいにして
主
主
そんな風にあなたの中に居座っている
忘れられない存在でありたい
主
でも
主
主
主
ラト
ラト
主
主
主
主
ラト
主
主
主
主
主
主
ラト
ラト
ラト
ラト
ラト
ラト
主
ラト
ラト