美しい時間と卑劣な月日

好きな人のタイプは？

中学2年

席が近い女子に聞かれた

あ、それ俺も気になる気になる！

友達も参戦する

俺には夢がある

小学生からずっと

「人にはきっかけが必要なんだよ」

祖父から言われた言葉

ずっと大切にしてきた

すっげー！！かっこいい！！

佐山君流石！！天才だもんね！

女子が俺の席の隣のやつに目を向ける

雫ちゃんは？

なんにも話したことがない彼女

小学4年生のときから

学校に来た

ずっと同じクラスだけれど

喋ったことがない

それ答えになってねぇじゃん笑

そうだよ！雫ちゃん！

儚い…

えーじゃあじゃあ、夢は？

え？

急に話に割り込んでしまった

フワッ

なんだ？

アハハ！

変なのー！

二人は笑っていたが

「魅力を感じる時は人それぞれだ」

好きだ

彼女が

彼女の病に気づいたのは

高校2年の冬

自習室を使おうと図書室にきていた

教科書に寝そべる彼女

なにかの違和感を感じた

異様な汗の量

周りがざわつき始める

鞄からスマホを取り出す

どうやら先生は保健の先生を呼んでいたらしい

いろはさんが話しかけてくる

たったった

シャッ

ピッ

さっきの響君を思い出すと

なぜか手の震えが止まらないけど

彼の人差し指が頬につく

身を引く

何？

何なの

響を諦めたほうが身のためだよ

いろはさんが諦めないって言うなら

僕は止めませんよ

ガチャ

お手洗いから出る