TELLERのお題

森の近くにある屋敷には、ある家族が住んでいた

そして、その家族の子どもは＿＿

どうも、ふたりでひとつ、であるらしい。

《ガシャン！！》

《バシッ！》

《バタン》

《ガチャリ》

子どもたちが10回目の誕生日を迎えて、数日が経った頃だ

妻は突然おかしくなった

息子のルストを、いないように扱った

理由はわからない

ただ、昔から精神的に不安定なところはあったから＿＿

何かが、妻の異常を始める引き金となったのかもしれない

…ひょっとすると、それは全て私にあったのかもしれなかった

娘のルクスは戸惑った

当然だ、いつも二人は一緒にいたのだから

ルクスは毎日のようにルストのことを会話に混ぜて話す

そのうち、妻は娘の中に“ルスト”という人格がいると思い込んだ

双子の兄のルストが話しかければ、ルクスのもう一つの人格だと錯覚し

そのたび混乱し、癇癪を起こした

妻の中で、娘はすっかり多重人格者として位置付けられていた

…娘がおかしくなったと結論付けた

本当は妻の方がおかしくなったのだ

あろうことか、頬を引っ叩いてまで自分の子どもを拒否した

近寄るな、と否定した

…可哀想に

何も悪いことはしていないのに

ルクスはもちろん、存在を忘れられたルストだって

これからどうしようか

私たちはまた、以前のように戻れるのだろうか。