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ベッドの割当が無事(?)に決まったので、みんなで晩ご飯を食べに食堂に来た。
アミキティア魔法学校は魔法使いを育成する学校だけに、食堂のシステムもクセが強かった。
券売機で食券を選んで配膳カウンターで交換してもらうシステムなんだけど、券売機のボタンは1つしかない。
頭の中で食べたい料理をイメージしながらボタンを押せば、その料理の食券が出てくる仕組みになっている。
これも魔法を使うためのイメージ力を養う訓練の一環らしい。
食堂にかぎらず、学校内の施設のほとんどは、クラスによる制限こそあるけど無料で使える。
つまり、上手くイメージを作ることができれば、毎食自分が食べたい物を好きなだけ食べることができるということだ。
アルク
券売機の列に並ぶところで、ちょうどアルク達と合流したのでいっしょに並ぶ
ユウゴ
アルク
ユウゴ
でも、絵を描くのと違って、頭の中でイメージするだけなら、とも思う。
アルク
並んでいた券売機があいたので、シシロウから発券を始める。
シシロウ
シシロウ
シシロウはパスタの定番、スパゲッティナポリタンを選択した。 ポピュラーなケチャップ味のスパゲッティなら、たしかにイメージしやすそうだ。
シシロウがボタンを押して出てきた食券は。
シシロウ
味はほとんど同じだし、ハズレでも無いだろう。
ショウリ
ショウリが券売機のボタンを押す。
ショウリ
ショウリがボタンを押して出てきた食券は。
ショウリ
ほぼ同じ。
ショウリ
ショウリ
アルク
アルクがフラグにしか聞こえないセリフを言いながら、券売機のボタンを押す
アルク
アルクがボタンを押して出てきた食券は、そのまま肉まんだった。
肉まんじゃなくて、実はあんまんというオチも無し。
アルク
ドヤ顔がうざいけど、今は結果を出しているから反論できない。
メイカ
間髪入れずに、メイカが券売機のボタンを押す。
メイカがボタンを押して出てきた食券は、宣言通り、ショウリと同じハムカツサンドだった。
メイカ
メイカもまた、ドヤ顔をアルクに向ける。
ナミスケ
次はナミスケが動いた。
ナミスケ
ハンバーガーはパンズにハンバーグが挟んであるだけのシンプルなファストフード。
たしかに、ぱっとイメージできる。
ナミスケがボタンを押して出てきた食券は。
ナミスケ
ユトリ
ユトリが吹き出した。
ユトリ
ユトリ
ユトリ
笑いすぎて涙目になってる。
ナミスケ
ユトリ
ユトリ
今のユトリは笑いすぎて、絶対にまともなイメージはできそうにない。
ユウゴ
ホマレ
ホマレがユトリをさげて、券売機の前に出た。
アルク
ユウゴ
アルクにツッコまれそうになったので、視線をそらした。
ホマレが券売機のボタンを押す
ホマレ
ホマレがボタンを押して出てきた食券は、宣言通りのボンゴレスパゲティだった。
ここまで男子は全員狙いを外して、女子は全員狙い通りの食券を出していることになる。
ナミスケ
ナミスケ
ナミスケがいらんプレッシャーをかけてくる。
そもそも完全に外してるのナミスケだけで、シシロウとショウリは、それなりに近い料理の食券を出せている。
ユウゴ
今までの傾向を見るに、身近な料理のほうがイメージしやすそうだと思う。
普段から食べていて、形や味をイメージしやすい料理にしよう。
そう考えて最初に脳裏に浮かんだのがカレーライスだった。
家でもよく作ってもらうし、給食にもよく出る。
家庭科実習や林間学校でも作ったことがあるから、料理工程もわかる。
カレー、カレー、カレー、カレー……
頭の中をカレーでいっぱいにしてから、券売機の発券ボタンを押した。
出てきた食券は、カレイの煮つけ定食……?
ユウゴ
アルク
アルクにツッコまれ、というかあきれられた。
ユトリ
ユトリ
ユトリ
ユトリ
笑いが収まりかけていたユトリが、また爆笑した。
なんだか、すごく恥ずかしい。
ナミスケ
ナミスケ
ユトリ
ナミスケのボヤキに、ユトリがまた吹き出した。
ホマレ
ユトリ
ユトリ
ユトリ
ユトリ
ホマレ
ユトリが反省モードに入っちゃった。
この切り替わりは初めて見ると戸惑うよね。
アルク
アルク
ユトリ
アルクに言われて、ユトリが発券ボタンを押す。
出たのは、大盛りトルコライスだった。
ユトリ
ボタンを押したユトリも知らないメニューらしい。
ナミスケ
ナミスケはトルコライスを知っているみたいだ。
ナミスケ
ナミスケ
みんなで配膳カウンターに食券を持っていって、それぞれの料理をもらって、テーブルに付いた。
その中でも異質だったのは、ユトリのトルコライスだった。
大きなお皿にライスとスパゲッティが盛られ、その上に大きなとんかつがのっている。さらに全体にカレーソースがかかっている。しかも、大盛りだから山のように迫力があった。
ユトリ
頼んだユトリが1番ひいている。
ナミスケ
とナミスケが解説してくれる。
けど、なんでトルコライスを知らないユトリが、トルコライスの食券を出したんだろう。
ユトリ
言われてみれば、 シシロウやホマレのスパゲッティ、 ショウリやメイカのカツサンド、 ぼくが食べたかったカレーライス、 ナミスケが言っていた大盛りと、 みんなのメニューや会話の要素が一通りそろっている。
ユトリ
ユウゴ
少しでもカレーが食べられるなら、ぼくは大歓迎だ。
カレイの煮つけも美味しそうだけど、魚料理はちょっと苦手なんだよね。
ナミスケ
半チャーハンを大盛りにできなかったナミスケは、取皿にごっそりと自分の分を確保する。
ショウリ
ショウリも取皿にとんかつをもらっていく。
ユトリ
ショウリ
ショウリがさらにとんかつを取ろうとしたところで、メイカがショウリとユトリの間に割って入った。
ユトリ
メイカ
にこやかに話しかけるユトリに対し、メイカは険しい表情でにらみ返した。
ユトリ
メイカ
メイカ
メイカが、みんなで取り分けたけど、まだかなり残っているトルコライスのお皿を指差す。
ユトリ
メイカ
思い通りの食券を出せたメイカからすれば、イメージした物と違うメニューが出たこと自体が信じられないみたいだ。
アルク
肉まんを食べ終わったアルクが鼻息を荒くするメイカをなだめるように話しかけた。
アルク
ユトリ
ユトリがぼくとアルクを交互に見て、否定とも肯定とも取れない言葉を発しながらうろたえる。
メイカ
アルク
メイカのバッサリとした物言いに、アルクはあっさりと屈した。
外野のぼくを意味もなく傷つけるのやめてくれないかな。
と言うか、この状況は嫌な予感がする。
ガイド妖精
やっぱりだ。
騒動を察したガイド妖精が、ユトリとメイカの間に出現した。
ガイド妖精
メイカ
ユトリ
大乗り気なメイカに対し、物怖じしているユトリ。
始める前から気持ちで負けている。
ガイド妖精
メイカ
ガイド妖精
学校のシステムだけに、その辺の配慮はそれなりに行き届いているみたいだ。
メイカ
やる気満々だったメイカが、歯がゆそうに両手をふるわせる。
ショウリ
ショウリがメイカのとなりの席に座り直して、なだめるように言う。
ショウリ
メイカ
メイカは態度をころっと変えて、ショウリからとんかつを受け取った。
もう少し早めに声をかけていたら、ガイド妖精に目をつけられなかったんじゃないかな。
ユトリ
逆にユトリの方は、この後のアミ戦が気になって、食事どころではなさそうだ。
アルク
ナミスケ
アルクがスパゲッティを取り、ナミスケがカレーライスのおかわりを持っていく。
ユトリはお皿に少しだけ残ったカレーがかかったスパゲッティを、お茶で無理やりおなかの中に流し込んでいた。