りょう
りょう
りょう
部屋に戻ると、相変わらず盛り上がっていて笑い声が響いていた。
曲が大音量で流れているせいでみんなの声もいつもの倍ほど大きくなっているから余計にそう感じるのだろう。
さとみ君の姿が視界に入ったけど、視線を向けることなく、ジェル君の隣に腰を下ろす。
ジェル
ころん
ジェル君がタッチパネルを差し出してきたので、今度はそれを素直に受け取った。
いくつか予約が入っていて、みんなと被らないようにチェックしてから、流行りの曲で歌えそうなものを探す。
サビくらいならわかるものもあるけど、全部歌いきる自信はない。
遠井さん誘って、一緒に歌ってもらおうかな。
顔をあげて、遠井さんの姿を探そうとすると、隣に誰かが座って、ギシッっとソファーが揺れた。
さとみ
横から聞こえてきたさとみ君の声に、少しだけ体が強張った。
まだ、何か話があるのだろうか。
言い足りないのだろうか。
でも____。
ころん
何事もなかったかのように笑みを添えて返事をすると、彼は少し戸惑ったような表情をした。
何を言おうとしてるのかはわからない。
別に何を言われたって良い。
ただ、この場所でさっきの話を始めてしまうと、みんなが気を使ってしまう。
せっかく楽しく過ごしてるんだ。それだけは避けたい。
ころん
さっきの会話なんてなかったかのように、できるだけ自然にタッチパネルを彼に渡した。
そのまま彼との会話を避けて目の前にいた友達と話し始める。
何を歌うとか。最近はどんな曲が流行ってるとか。
気づくとさとみ君は、何も言わず隣から違う席へ移動していた。
りょう
りょう
りょう
りょう
りょう