また数日後、 ゆいは自室のベッドに腰掛け、本を開いていた。
ゆい
……静かだと、落ち着くな~
窓の外から、ぬるりと影が差し込む。
ナイトメア
……ここにいたか、ゆい
触手をわずかに揺らし、隣に腰を下ろす。
ゆい
あ、メア
いつの間にか、ナイトメアサンズのことを「メア」と呼べるくらい、距離が近くなっていた。
ゆい
小説読んでただけ
ナイトメア
そうか
ナイトメアは視線を本に落とし、ゆいに戻す。
ナイトメア
なら、少しネガティブな気持ちもオレに預けてみろ
ゆい
え?
触手が、そっと肩に触れる。
ナイトメア
怖がらなくていい
ナイトメア
オレが引き受ける
ゆい
……ほんとに?
一瞬、胸の奥がすっと軽くなる。
ゆい
…あ
ゆい
なんか楽になった
ナイトメア
だろ?
ナイトメア
オレがいる限り、ゆいは大丈夫だ
ナイトメア
(うひょー!ネガティブゲットだぜ)(?)
ゆいは思わず笑った
ゆい
メア、ありがとう
白メア
楽しそうだね
白メア
邪魔しても、いい?
ゆい
あ、……白メア?
白メア
うん
ゆっくり隣に座る。 白メアは軽く笑い、ゆいの頭に手を置く。
三人で過ごす昼はゆいにとって初めての圧のない安心感に満ちた時間だった。
ゆい
二人がいると、変に緊張しなくていい
ナイトメア
オレたちは、ゆいの味方だからな
白メア
無理しなくていいよ
ゆい
……ありがとう
ゆい
なんか……安心する
昼下がり。 リビングで本を読んでいると、白メアが隣に座る。
ゆい
白メア
ゆい
一緒にいてくれてありがと、
白メア
それでゆいが落ち着くなら、いくらでも
その空気を切るように、声。
サンズ
…ゆい
サンズ
誰と一緒にいる
ゆい
…白メアと…
フェル
……近づきすぎだ
フェル
オレ以外に、そんな距離で座るな
エラー
オレ以外…だト…?フェル…オ前…殺すゾ
ナイトメア
殺されたいのか?
キラー
は?死ね
マーダー
消えろカス
ホラー
…(; ・`д・´)
インク
フザケンナ??
ドリーム
ゆるせんなぁ”!!
ナイトメア
(ドリーム!?)
白メア
(兄弟!?)
ドリーム
死ねえ”え”え”!!!
みんな
!? こいつ正気か…?
ドリーム
of course!
フェル
…ぇ?
インク
…
ドリーム
ねぇゆい?
ドリーム
こっち見てよ。ずっとだよ??
ナイトメア
…ゆい…
ゆいは、思わず白メアの方を見る。
ゆい
……白メア
白メアは静かに、ゆいの手を握る。
白メア
大丈夫
白メア
無理に答えなくていい
その一言で、胸の奥が少し落ち着く。
ゆい
…うん
周囲の視線は消えない。 独占も、執着も、確かにそこにある。
けれど――
(……白メアがいる)
その事実だけが、ゆいを現実につなぎとめていた。 このシェアハウスで、 唯一、心から安心できる存在として。






