体が揺さぶられている
いや、揺さぶられているという表現よりも揺れていると言った方が正しいだろうか
ゆっくりとゆっくりと揺られている
暗闇の中で意識が彷徨っているかのような感覚に陥っている
此処は一体何処なのだろうか
そんな疑問が脳裏に浮かぶが、思考が働かない
焦りや恐怖などの感情は一切湧いてこない
意識は朦朧とし、目が覚める気配は全くなかっt
ドンッ
ミスターレッド
突然頭上に衝撃が走る
ミスターレッド
ミスターレッド
腕を床につき、身を起こす
頭上に衝撃を与えた原因であろう物を探す
丁度手の届く距離にビンが落ちている
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ふと自身の置かれている状況に気がつく
ミスターレッド
ミスターレッド
意識を失った直前の出来事について思考を巡らす
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
一先ず身を起こし、立ちあがろうとする
ミスターレッド
グラッ…………
ミスターレッド
突如足場が右側に傾き、体のバランスを崩す
ドンッ
思い切り尻餅をつき、立ち上がるのに失敗する
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
地震にしては揺れ方が不自然だ
地面は左右に僅かに揺れ動き続けている
だが、収まる気配は一向に無かった
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
再び地面に足をつき、立ち上がる
先程のような揺れは起きず、無事立ち上がる事に成功する
倒れぬよう、壁に手をつきゆっくりと進む
周りには一切明かりが無く、周りがよく見えない
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ゆっくりと一歩一歩着実に進む
ガンッ
ミスターレッド
足に何かがぶつかる
ミスターレッド
ミスターレッド
目を凝らし、自身の足に触れた障害物の正体を探る
ミスターレッド
ミスターレッド
誰かが壁に寄りかかる形で倒れ込んでいる
ミスターレッド
ミスターレッド
冷や汗が背を伝う
あまりの衝撃に視線が泳ぐ
視線を泳がせた先のものに目が止まる
ミスターレッド
ミスターレッド
視線の先には何かが積み重ねられている
ミスターレッド
再び視線の先に目を凝らす
ミスターレッド
視線の先には無造作に積み重ねられた複数人の人間が居た
ミスターレッド
それどころか、この空間にはビッシリと人が詰め込まれている
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
あまりの恐ろしい光景に一歩後退る
ミスターレッド
ガタリ………
レッドが立っている左側から物音がする
ミスターレッド
ミスターレッド
レッドは咄嗟に床に座り込み、気絶しているフリをする
ガチャリ…………
左側の方からドアが開く様な音がする
ミスターレッド
レッドは僅かに目を開き、顔を左に向ける
何者かが空間を見渡している
???
???
???
???
???
???
男は一言二言愚痴のようなものを呟き、再び空間から立ち去る
ガチャリ……
再び扉が閉じられ、男は何処かへと去って行った
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ごく普通の単語だが、違和感が残る
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
脳裏に最悪の状況が浮かび上がる
だが、現実的にあり得ない
襲われた後に何かに乗せられ、何処かへと連れ去られる
倫理的に狂っているだろう
鼓動がドクドクと鳴り始める
周囲に聞こえてしまいそうなほどに激しく鼓動が脈打っていた
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
レッドは震える手を壁につけ、再び歩き始める
先程男が出て行ったドアの方向へと歩いて行く
震える足をどうにか動かし、前へと歩を進める
ドアが目の前に迫る
ミスターレッド
この先に広がる景色はどうなっているのか
まだ分からない
たまたますまないスクールの前に繋がっているかもしれない
そんな僅かな希望に縋りつつ、ドアノブに手を掛ける
キィ…………と高い音を立て、ドアは開け放たれた
ドアを開けた先には通路が広がっていた
通路の端には柵が設置されており、何処かへと飛び出せない様になっていた
ドアを開けた瞬間、レッドの体を強風が煽る
ミスターレッド
吹き飛ばされはしないものの、体のバランスを崩しかける程の風の強さだ
近くにあった柱を掴み、体を支える
風にはほのかに潮の香りが混じっているのか、鼻腔に潮の香りが広がる
ミスターレッド
ミスターレッド
脳裏に先程の最悪の状況が思い浮かぶ
ミスターレッド
最悪の状況が現実味を帯び始める
ミスターレッド
ミスターレッド
掴まっている柱から腕を伸ばし、通路の端にある柵に捕まる
ミスターレッド
目をゆっくりと開き、柵の先の光景を確かめる
視界の先に広がっていた景色、それは…………
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
レッドの脳裏に浮かんでいた最悪の状況、それは
ミスターレッド
ミスターレッド
あまりの出来事に、立ち眩みがする
ヘナヘナと柵に寄りかかり、座り込む
急激な吐き気が込み上げる
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
先程の男の発言から考えるに
連れて行かれている先は確実に自身の住んでいた地域では無い
随分とスケールが大きくなるが、つまりは国外という訳だ
ミスターレッド
ミスターレッド
最早涙も出ない
思い知らされる「現実」
それは実に無情なものだ
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
今までの自分の行為に激しく後悔する
ミスターレッド
ミスターレッド
頭を抱え込み、呻き声をあげる
???
廊下の先から何者かが声をあげる
ミスターレッド
咄嗟に近くの柱に隠れ、やり過ごす
???
???
???
???
男はそう言って廊下の奥へと戻って行く
ミスターレッド
ミスターレッド
緊張で無意識に息を殺していた
息を思い切り吸い、呼吸を整える
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
そう言ってレッドは再び立ち上がり、先程の部屋へと入って行った
部屋の隅の方へと歩き、腰を下ろす
自身の気持ちを落ち着ける様に独り言を呟き続ける
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
腕に顔を埋め、必死に自身に言い聞かせる
だが、この出来事は全て現実だ
戯言を呟いたところで何一つ変わらないのだ
ミスターレッド
ミスターレッド
何かに語り掛ける
だが、返事など帰って来る筈も無い
暗さに目が慣れていき、徐々に眠気が夢の世界へと誘い始める
船の僅かな揺れも相まり、すぐに眠りの世界へと落ちて行った
おい……
おい!………ろ
おい!……きろ
おい!起きろ!
おい!起きろっつってんだろ!
ミスターレッド
突然の怒号で目が覚める
一瞬の内の思考が冴えていく
自身が置かれている状況を瞬時に理解し、飛び起きる
???
男が怒号をあげ、顔を赤くしている
その様子を人々が隅から見守っている
幸いな事に、あの怒号は自身の向けられたものでは無かった
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
男が声をあげる先には30歳程の男が横たわっている
???
???
???
???
ミスターレッド
元気そうな青年
ミスターレッド
レッドの横に立っている青年が此方へ話し掛けて来る
元気そうな青年
元気そうな青年
元気そうな青年
元気そうな青年
ミスターレッド
元気そうな青年
元気そうな青年
視線の先の男は何度も何度も横たわっている男に怒号を浴びせるが、男は中々起きない
元気そうな青年
元気そうな青年
そう言って青年は再び黙り込んだ
???
男は横たわっている男を蹴り上げる
だが、それでも起きない
???
???
???
???
???
ミスターレッド
片方の男が腰の辺りをカチャカチャと触っている
周りの人々は息を飲んで見守っている
???
男は手に持った物を横たわる男に向ける
そう、男に向けている物は
銃口
ミスターレッド
ミスターレッド
バンッ
部屋の中に銃の発砲音が響き渡る
横たわっている男の頭部は無惨にも肉片となって飛び散った
ミスターレッド
状況が理解できないのか、周りの人々は静まり返った
人々が徐々に状況を理解し始めるとざわめきが起き始める
「え?あ………え……?」
「何やってんだよ!?は!?」
「キャァァァァァァァァァァァァァァ!!」
困惑の声、怒号、悲鳴
人々は阿鼻叫喚の嵐となる
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
???
???
男達が怒号をあげるが人々の声は収まりの気配を見せない
???
???
???
男は頭が粉砕された遺体を指差しながら叫ぶ
男は銃口を周りに向け、圧をかける
一瞬の内に周囲の人間のざわめきは収まる
残ったのは鼻水を啜る音、静かに啜り泣く声だけだった
???
???
???
???
ミスターレッド
人々は誰1人として声を上げない
幸い、この状況で暴れ出す者は居なかった
???
???
???
2人の男は船の廊下へと歩き出す
それに続いて人々が歩き出す
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
人々の波に巻き込まれ、レッドも廊下へと押し出される
人々は指示通りゾロゾロと外へと歩き出す
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
人の流れに押し出され、流されるがままに進む
???
船の外には廃墟の様な建物が沢山連なっている
人の姿は一切なく、建物自体は静まり返っている
男が船の外を指差し、先に進む様に指示をする
人々は何が起きているのか理解もできずに先に進む
ミスターレッド
冷や汗が頬を伝う
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
どうにか抜け出そうと周りを見回す
だが抜け出せそうな隙間は無い
ミスターレッド
ミスターレッド
人の波は止まらず、流れ続けて行く
???
???
男が人々に向けて叫ぶ
人々は困惑の色を浮かべ、ざわめき始める
???
???
人々がざわめく
男から飛び出た「最悪死ぬかもしれない」という事に恐れ慄いているのだ
角刈りの男
顔色の悪い女
元気そうな青年
元気そうな青年
角刈りの男
人々は指示を出す男達に罵声や怒声を浴びせる
???
???
男達が叫んでいた男に近づく
角刈りの男
角刈りの男
???
男は拳銃を取り出す
角刈りの男
角刈りの男
角刈りの男
暴れる男に銃口を向ける
???
バンッ
再び銃声が周囲に響く
顔色の悪い女
女が悲鳴をあげ、泣き崩れる
???
今度は銃口を女に向ける
顔色の悪い女
バンッ
女の頭には銃弾が突き抜けた跡がある
即死の様だった
ミスターレッド
ミスターレッド
人々のざわめきは更に大きなものになり、悲鳴をあげる者も更に増えていく
???
???
???
男達は銃弾を詰め直している
人々は阿鼻叫喚の嵐となっており、男達の会話は聞こえていない様だった
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
バンッバンッ
思考を巡らせる暇も無く、男達は発砲を始める
銃を撃つたびに悲鳴は大きくなり、悲鳴を上げるたびに犠牲者が増えていく
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
レッドは人々を掻き分け、とにかくあの男達から離れようと走る
ミスターレッド
だが、自分以外の人間も逃げるのに必死なのだ
体がぶつかり合い、思うように進む事ができない
ミスターレッド
ミスターレッド
バンッ
銃弾がすぐ横を通り抜ける
横のいた年端のゆかない少女が銃弾の犠牲になる
ミスターレッド
ミスターレッド
少女の上を飛び越え、先へ先へと走る
だが人々の波に揉まれ、動く事ができなくなる
ミスターレッド
ミスターレッド
四方八方から人の波が押し寄せる
周囲は混乱で最早冷静でいられない状況であった
誰もが悲鳴をあげ、怒号をあげ、奇声をあげている
誰かが叫ぶ度に銃弾が発砲され誰かが犠牲になる
それはまさにこの世の地獄であった
ミスターレッド
レッドは他の人に押し潰される圧を跳ね除けるべく、必死に腕で自分のスペースを保っている
だが、そろそろ限界が近づいて来ている
自分自身の精神ももうボロボロなのだ
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
自身の抵抗も虚しく、腕で作っていた呼吸スペースが決壊する
ミスターレッド
息ができない
徐々に意識が薄れていき、死を覚悟する
ミスターレッド
その瞬間、誰かに腕を引かれる
ミスターレッド
ミスターレッド
レッドは物凄い力で引かれて行く
???
???
???
レッドの手を引く人物は必死に此方へ声を掛ける
???
???
ミスターレッド
レッドはギリギリ意識を保ち、どうにかして腕を引かれる方へ足を踏み出す
???
???
ミスターレッド
レッドは自身の出せる最大の力で足を踏み出す
それに合わせて上を引く力も強まる
人を押し除け、進み続ける
自身が生き延びる為に、進み続ける
どうにかして人混みから抜け出す
???
???
ミスターレッド
レッドは渾身の一歩を踏み出し、人混みの外へと踏み出す
その瞬間、人混みから抜け出す事に成功する
ミスターレッド
レッドは息を思い切り吸い、足を止めようとする
が
???
???
ミスターレッド
???
目の前の男……いや、少年だろうか
少年は再びレッドも腕を引き、走り始める
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
レッドは腕を引かれるがままに走り始める
ミスターレッド
???
ミスターレッド
ミスターレッド
レッドは最後の力を振り絞り、足に力を込める
少年は廃墟の方へとレッドの手を引き、走り続ける
ミスターレッド
???
ミスターレッド
ミスターレッド
???
ミスターレッド
???
少年の声は、先程の此方を元気づけるような力強い声から冷静で静かな声へと変わっていた
ミスターレッド
ミスターレッド
???
少年は一言そう呟き、辺りを見回す
???
???
ミスターレッド
ミスターレッド
レッドは顔の汗を拭いながら少年に尋ねる
???
ミスターレッド
レッドは廃墟の壁のヘナヘナと座り込む
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
レッドは目の前に立つ少年を見上げながら尋ねる
???
???
???
???
ミスターレッド
レッドはニヤリと笑みを浮かべる
???
ミスターレッド
ミスターレッド
???
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
???
???
少年はそう一言呟いた
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
瞼が徐々に落ち始める
昨日から今日に掛けて自身に振り被さった疲れが限界に達したのだ
少年はレッドの言葉を聞くと、身を翻して何処かへと歩き始める
???
???
???
???
少年は去り際、そう呟いて去っていった
その言葉を聞いた瞬間レッドの瞼は完全に落ち、眠りの世界へ落ちていった
レッドはこの時まだ知らなかった
この少年の存在が後に大きく関わってくるという事を
コメント
8件
ふぉぉぉぉぉー!!!ーーー!! 塾いやぁぉぉぁーーーー 神神神!ー!最高さいこおぉぉぉめ
貴方シグレって言うのね⤴ぜってぇイケメンやん⤴ 兄貴の事が心配過ぎて死にそう=͟͞͞('、3)_ヽ)_
うっわ…犯人…何が目的なの…? シグレ…何か美味しそうな名前(((