哲人
くっそ!

哲人
一体一体は弱いくせにまとまってくるから邪魔くせぇ!

哲人
これじゃあ前に進めねぇって!!

哲人
このままじゃ普通に勝負に負ける……

哲人
魔力とかケチってたら絶対追いつけない…

哲人
エルさんの真似してアレ使うか

メル

メル
(ん?後方から異様な魔力の高まりを感じる)

メル
(この魔力の高まり方は……)

哲人
一直線に吹き飛ばしてすすむ

哲人
骸を喰らい道を切り開け!

哲人
『豪炎龍』

龍の形をした獄炎が哲人の前に立ふさがるスケルトンを飲み込んで消し飛ばしていく
メル
(豪炎龍をいきなり使うなんて…)

メル
(彼にそんな魔力はないはず)

メル
(一体どこからその力が湧いてきてるの?)

メル
(その辺を考えるのは後ね)

メル
(今はこれに巻き込まれないようにしないと)

哲人
一気に突き進め!

哲人
こいつの後ろについて行けばそのまま隊長格の所まで追いつける!

メル
(道中のスケルトンはこれから逃れるために必死になってるけど)

メル
(私がそれを逃がすわけが無いでしょ…)

メル
(とは言え彼の使う豪炎龍ではあの隊長格を仕留めるまではいかない)

メル
(まぁ、なんにせよこの豪炎龍のおかげで大半のスケルトンはビビってくれてる)

メル
(そのおかげで東門に攻め入るやつは居なさそうね)

哲人

哲人
よし!

哲人
何とか追いつけた!

メル
まさかあなたが豪炎龍を使えるのは驚きました

哲人
見よう見まねでだから火力はでてないけどね

メル
(教わった訳では無く、技を見てそれだけでこの再現度を?)

メル
(ちょっと彼自身に興味が湧いてきたわ)

哲人
んじゃこのまま豪炎龍で隊長格を消し飛ばして無事俺の勝ちだな?

メル
さぁ?

メル
それはどうかしらね?

骸の長

骸の長
『闇の抱擁』

青みがかった鎧を着たスケルトンの目の前に光を通さない”闇”が現れ豪炎龍を飲み込んでいく
哲人
なっ!?

メル
これは私も驚きました

骸の長
今の炎の龍を生み出したのはどちらだ?

哲人

哲人
俺だ…

骸の長

骸の長
ふむ…

骸の長
貴様名をなんという?

哲人
哲人だ

骸の長
ではアキトよ

骸の長
貴様は”その程度”の力で私を倒せると?

哲人
なに?

骸の長
身の丈に合わぬ力は自身の破滅に繋がる

骸の長
無駄に背伸びをする必要は無い

骸の長
その短い時の中でゆっくりと己を強化していくといい

哲人
お前俺をなめてるのか?

骸の長
否、むしろ敬意を表してる

骸の長
その少ない魔力量であの破壊力のある魔法を生み出したのだ

骸の長
しかし、それ故に貴様はそれに頼り自身の成長の幅を狭めている

哲人
たった一撃の魔法だけで俺を知ったような口を効きやがって

骸の長
余程の愚か者でない限り今の己の実力では私を倒すことは出来ないと察しついてるが

骸の長
貴様はその愚か者なのか?

哲人

哲人
残念だがそうだ!

だが、その刃は彼には届かず何も無い空間から現れた影によって防がれた
哲人
なっ!?

骸の長
『闇ガ遍ク手』

骸の長
見たところ貴様は魔法しか扱えないようだな

哲人
それの何が…

骸の長
この世界にはスキルというものがある

骸の長
強さが全てのこの世を生き抜くにはそのスキルを会得する必要がある

骸の長
スキル無しで戦えるレベルは先程の私の部下たちを倒すまでだ

骸の長
何が言いたいかわかるな?

哲人
さぁな?

骸の長
スキル無しで私を倒すのは不可能ということだ

哲人
その不可能を可能にしてやるよ

骸の長
無駄なあがきだ

哲人の後ろに先程剣を防いだ影のようなものが現れ首に巻き付き徐々に締め上げる
哲人
がっ!?

骸の長
事を急くとこうなるのだ

哲人
く、くそ……

骸の長
本来貴様のような人類の希望になる者は消すのが掟だが……

骸の長
貴様からはどこか私達と同じような雰囲気が感じられる

骸の長
殺すのはまた別の機会にしてやろう

哲人
な、なめやがって……

骸の長
殺されないだけありがたく思え

首を絞めていた影は哲人を後方に飛ばし影の牢獄に閉じ込める
哲人

哲人
ゴホッゴホッ……

哲人
く、クソが……

メル

メル
まぁ、予想通りってところね

哲人
なんで助けなかった!

メル
私が手出ししなくてもあんたは殺されないって分かってたからね

哲人
ちっ……

骸の長

骸の長
ほぉ?

骸の長
私が彼を殺さないと最初から分かっていたとは

骸の長
彼とはまた違った雰囲気を感じる

メル
どうも

メル
私はメルと申します

メル
昔はギルド員でしたけど今は受付嬢をしております

メル
以後お見知りおきを

骸の長
なるほど…貴様が戦乙女と言われた者か

メル
まさか魔物にも私の昔の異名が知れ渡ってるなんて

骸の長
実を言えばこの軍団を率いてきたのは東門突破ではなく

骸の長
貴様との戦闘がメインでな

メル
あら?

メル
私一人をご指名だったのね

骸の長
形上進軍として置かないと私の立場もあるからな

メル
変だと思ったのよカラミティ級のあなたが来たのが

骸の長
私の実力も見破っているとは

骸の長
当時の勘は鈍ってないようだな

メル
だいぶ鈍ってるけどね

骸の長
まずは現状の実力を知りたい

骸の長
軽いものからいくぞ

メル
その前に名を名乗ってくれないかな?

メル
アンタをぶちのめした時報告書書けないでしょ?

骸の長
確かに名を名乗らないのは無礼だったな

骸の長
私は『カルマ』

骸の長
これより貴様を私の下僕にする者の名だ

メル
改めて私も名乗らせてもらう

メル
戦乙女の称号を持つ受付嬢のメル

メル
久しぶりに大暴れさせてもらうわ!
