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最終選別が始まった。合格条件はただひとつ。
優璃
他の方は走って向かっていますが、私は違います
赤い和傘をさし、ゆっくり、ゆっくりと前へ
優璃
雨が 降っていた
懐かしい感覚だ
優璃
あの時もそうだ
鬼
鬼
優璃
鬼は気づかない。自らの首が胴と離れていることに
鬼
鬼
歩むごとに私の脳内に
かつての人斬りの記憶が溢れてくる
この手で万を超ゆる生命を奪った
ああ 実に懐かしい 懐かしいぞ
???
???
ああ 鬱陶しい
死を裹まぬ冒涜人共めが
優璃
人斬り靏
全て色盲
全て虚無
優璃
一抹の赤 見えぬ色彩
私はこの『彼岸』で
優璃
優璃
抜刀した刃 赤みを纏い全てモノクロ
ズバッ!!
その赤黒い一太刀はやがて全てを貫く
その斬撃は夜闇を穿つ
天は割れ破片のようなものが地へと落ちてゆく
月は困惑しているだろう
夜が割れたのだから
太陽も困惑しているだろう
夜が割れ眩い陽が露わになっているのだから
その日の夜 藤襲山は
誰も見たことのない暗闇を穿つ裂け目を目にするだろう
優璃