主
主
主
今日はいつもどうりの時間に電車に乗り込んで学校に向かう。
途中で何度も欠伸を嚙み殺した。
起床時間はいつもと同じだったけど、就寝時間が遅かったせいで眠い。
しかもまだ返事もかけていない。
深夜2時前にこれ以上は無理だとあきらめて横になったけど、布団の中でも手紙のことばかり考えてしまってなかなか眠れなかった。
学校の最寄り駅で降りて歩いていると、ふと目の前をのんびりと歩くさとみ君の後ろ姿に気が付いた。
咄嗟に歩く速度を緩めて彼に見つからないようにうつむき加減で歩く。
何で今日は同じ電車なのだろうか。
男子1
突然後ろからさとみ君を呼ぶ大きな声が聞こえて、慌てて前を歩く誰かの陰に隠れた。
声の主は僕の横を通り過ぎて、さとみ君に駆け寄っていく。
さとみ
男子1
男子1
さとみ
声の大きな2人のやり取りで、さとみ君がいつもこの時間の電車に乗っていることを知った。
僕もいつも同じ時間にこの道を通っているのに、今まで全く気付かなかった。
何度かすれ違っていたのだろうか。
次は1時間目が終わった後にさとみ君を見かけた
移動教室らしく、教科書とペンケースを持って僕たちんお教室の前を友達と歩いている。
文系コースの校舎に理系コースの人たちが来るなんて珍しい。
今日は何か特別な授業でもあるのだろうか。
遠井さん
廊下の方をじいっと見ていると、遠井さんがひょっこり目の前に顔を出した。
ころん
遠井さん
遠井さん
全く知らなかった。
5時間目になると、グラウンドでサッカーをしているさとみ君の姿が見えた。
金曜日のこの時間は体育らしい。
気にしないと案外人の姿というのは目に入らないようだ。
今までほとんど見かけない存在だと思ってたけど、そうでもなかった。
今日だけで何度も出会う機会があった。
さとみ君は案外近い存在だったのかもしれない。
でも、どうして急に、さとみ君の姿を見つけるようになったのだろう。
……手紙をもらったことで少なからず意識している、ということだろうか。
今も、ちらっとグラウンドを見ただけで、さとみ君をすぐに見つけることができた。
理系コースの男の子たちの中で、彼が一番動き回ってる。
それに、なんとなくうまい、気がする。
さっきもシュートを決めていた。
先生
ころん
先生
先生に呼ばれて慌てて席を立ち教団に近づいて、答案用紙を受け取る。
先週受けた英語の抜き打ちテストだ。
出来を思い出せなくて不安になり、そっと点数を確認すると、97と記されていた。
マイナスは英語の単語のスペルミス
先生
先生
ころん
目の前で先生が大きな声でほめてくれて、クラスメイトが軽い歓声を上げた。
照れくさくて頭を下げながら自分の席に戻る。
嬉しいけど注目されるのはやっぱり恥ずかしい。
でも、97点で、しかも学年トップと聞くとやっぱりすごく誇らしい気持ちになる。
英語は一番好きな教科で、一番自信がある。 ただ、ほかの教科は全部苦手だ
いつも平均前後。
中でも一番酷いのは理科の生物で、毎回赤点を逃れるだけで精いっぱいだ。
だからこそ、英語で高得点が取れるのは、僕にもちゃんと得意なことがあるんだと思えてうれしい。
再び窓の外を見ると、理系コースの男の子たちは相変わらずサッカーに必死になっていた。
サッカーのことはよくわからないけど、素人目に見てもさとみ君は軍を抜いてうまいのがわかる。
どこにいてもすぐ見つけられるほど目立っているし、つい、彼を目で追いかけてしまう。
本当にスポーツ万能だ。
確か今は帰宅部だったはずだけど、もしかしたら中学まだサッカーをしていたのかもしれない。
さとみ君はまるで魔法みたいにボールを操りシュートを決めた。
その瞬間、そばで陸上競技をしていた理系コースの女子から黄色い声援が起こる。
あの女の子たちの中で何人がさとみ君に好意を抱いているのだろう。
主
主
主
主
主
コメント
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バレー部でした 今は引退しました
続き楽しみです! 私は剣道部です。
私は私はバド部!遊逸私スポーツの中ではバトミントンが得意だったから( *¯ ꒳¯*)