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200×年
ぎゅっ
慎哉
…………？
慎哉
珍しいですね、あなたから抱きつくなんて
紅紫
…………たまにはね
しかも後ろからとは──
さりげなく視線を向けると顔が赤くなっていた
慎哉
なにか聞きたい曲はありますかか？
紅紫
聞きたい曲？
慎哉
なんだっていいですよ
紅紫
少し考えて紅紫は口を開いた
紅紫
じゃあ、この間弾いてた曲をお願い
慎哉
この間の曲？
紅紫
えーと、たしか──
紅紫
『カノン』だっけ？
紅紫
パッヘルベルって人が作った……
『カノン』はふたりが初めて出会ったときに、慎哉がピアノで弾いていた曲
慎哉
慎哉
わかりました
慎哉
(あなたのためなら)
慎哉
(何度も弾いてあげる──)
現代
元旦
慎哉
慎哉
…………
慎哉
(……夢？)
上半身を起こし、前髪をかき上げた
隣で紅紫は寝息を立てている
慎哉
(もしもあのとき)
慎哉
(アプローチをしていたら……)
夢の中のような関係になれただろうか？
慎哉
(少なくとも、寂しい思いは──)
紅紫
……スー…………
慎哉
あんたが初夢に出てきた
チュ
頬にキスした
数十分後
ぱちり
紅紫
…………
慎哉
おはよう
慎哉
初夢は見れたか？
紅紫
(……顔が近い)
紅紫
まあ一応、見れた
紅紫
人と鬼と狐が出てきたけど
慎哉
…………
紅紫
あとほかに
紅紫
白蛇とカラスが出たかな
慎哉
一貫性がわからない
紅紫
ボクもわからないよ
紅紫
あ、でも白蛇は縁起よさそう
慎哉
……俺は出てこなかったのか
拗ねるようにため息をつく
紅紫
拗ねるな
紅紫
紅紫
(機嫌が直るまで、時間がかかりそうだな)
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
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