テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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枯れる前の夏、最期は優しい香りで

第3話 - 外の外

400

2023年08月03日

#テノコン2023夏

#ファンタジー

#一次創作

orange

銀木犀

綺麗な刀だね〜

不葉

……だね

銀木犀

……？

銀木犀

どうしたの？

銀木犀

元気ないね

不葉

……いや

不葉

人に呼ばれる以外で初めて外に出たから…

不葉

なんか…疲れ？

銀木犀

……外？

不葉

この部屋以外は外でしょ？

不葉

何言ってるの…

銀木犀

…え？

銀木犀

ちょ…え？

銀木犀

え、この部屋から出たことないの！？

不葉

……？

不葉

何も不便なかったし

不葉

外に出たら怒られたから

銀木犀

……

銀木犀

え、そんなこと言った人誰？

不葉

……確かに

不葉

誰なんだろう…？

銀木犀

まじか……

銀木犀

(こんなに酷いのかよ……)

銀木犀

…なら、今日はゆっくり休みな

銀木犀

無理させてごめんね

銀木犀

付き合ってくれてありがとうね

不葉

あ…うん……

不葉

分かった…

不葉

(…………)

銀木犀

(…良く考えればこの道もおかしいよな)

銀木犀

(こんな地下に閉じ込めて…)

銀木犀

(外に出たことがない？)

銀木犀

(そもそもあの部屋から出たら外？)

銀木犀

(何言ってんだ)

銀木犀

(世界はもっと広いのに)

銀木犀

…イラつく

銀木犀

…丁度、刀を貰ったばかりだったね

銀木犀

この子の性能も分からないし…

銀木犀

斬りたい人が居るなら…

銀木犀

……さて、と

銀木犀

どこから潰そうかな…

銀木犀

ねぇねぇ

銀木犀

そこのメイド長のお姉さん

……？

私のことでしょうか？

銀木犀

うん、そうだよ

何か御用でしょうか？

銀木犀

不葉という少年をあそこに閉じ込めたのは誰？

…っ

ひ…不葉に関してですか？

銀木犀

うん

……1つ、お聞かせ願えないでしょうか

銀木犀

…？

銀木犀

別にいいけど…

……不葉様はお元気ですか？

銀木犀

"不葉様"？

…はい

不葉様…とお呼びしました

銀木犀

……もしかして君

銀木犀

不葉のこと嫌いじゃないの？

…ここは場所が悪いです

場所を変えませんか？

銀木犀

……いいよ

銀木犀

…で？なんで不葉にあんな態度とってるの

……私は、先代女王様に仕えた人間でございます

女王様が消えたあの日、種を他の者に見せた張本人でもあり

……召喚に参加していた1人でもあります

銀木犀

と言うか昨日会ったよね？

銀木犀

私に金木犀をくれた人

…はい

不葉様には…取り返しのつかないことをしました

銀木犀

…で？

銀木犀

それは懺悔？

銀木犀

なら他を当たってよ

銀木犀

私は神父でも神でもないんだけど

……懺悔ではありません

貴女様に、召喚の真の意味を教えようと思いまして

銀木犀

…人の寿命をうばうのは楽しかった？

…そんな訳ないでしょう…！！

銀木犀

ならなんでやったの

銀木犀

あれで不葉がどれだけ苦しんだのか知らないの

銀木犀

あの部屋に1人で痛みに耐えるなんて

銀木犀

相当な人間だよ

……元々、この世界で｢不滅｣は忌み嫌われます

なぜなら早死してしまうから

銀木犀

そんなこと知ってる

銀木犀

早く要件を話して

…はっきり申し上げます

あの召喚と主導者となった私とその他数人は

不葉様の味方でありたいのです

銀木犀

何を今更

あの召喚という術は

身体を殺してしまうほどの力を少しずう奪っていたのです

銀木犀

…身体を殺す？

｢不滅｣は短命ではありません

むしろ本当に｢不滅｣です

その身を滅ぼす力を自身の生命力に変換出来れば…の話ですが

銀木犀

……どういうこと？

不葉様はその術を学びませんでした

その前にどっかのアホが不葉様をあんな場所に閉じ込めてしまった

よって不葉様の身は大きすぎる力に殺され

寿命が減っていたのです

貴女様が召喚された日にやった術で

完全に力を削除したのでもう寿命が減ることはありませんが

それでも…もう…

銀木犀

……私はてっきり

銀木犀

不葉の事が嫌いなんだと思っていたよ

銀木犀

メイド長さん

そんな訳ございません

不葉様は優しいお方です

不葉様に対する想いならば

貴女様と同じかと思います

銀木犀

……へぇ

銀木犀

それで？

銀木犀

私達、利害は一致してると思うんだけど

と、言いますと？

銀木犀

私は不葉の魂が希望に満ち溢れればそれでいい

銀木犀

君は不葉に幸せになって欲しい

銀木犀

ほら、一緒でしょ？

…でしたら

紙を1枚、こちらに渡すメイド長

どうやら意図は通じたらしい

銀木犀

へぇ…

銀木犀

仕事が早いね

それ、頼みます

どうかお願いです

私の代わりに……

不葉

……

不葉

(銀木犀が来ないと…暇だ)

コンコン、とノックが聞こえる

不葉

…

どうせいつもの嫌がらせか肝試しだ

銀木犀

不葉？

……違ったらしい

不葉

なに？開けていいよ

銀木犀

今日も入れてくれるの

銀木犀

おはよ、不葉

不葉

どっちかと言うとこんにちはじゃない？

銀木犀

まぁまぁ

銀木犀

細かいことは気にしない！

銀木犀

それよりも…

銀木犀を彩る雰囲気が

真剣なものに変わった気がした

銀木犀

ねぇ、不葉

不葉

……なに？

銀木犀

…私と外に行かない？

不葉

……は？

不葉

いや、昨日行ったじゃん

銀木犀

そっちの外じゃなくて…

上を指さす銀木犀

銀木犀

正真正銘の外に行こう

…正真正銘の、外？

外の先に、まだ外がある？

第4話･まるで鮮やかな赤

枯れる前の夏、最期は優しい香りで

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え……部屋の外が外……？そんな、え……そこまで……？一体何があったらそこまでの状況に出来るんだよ…… しかも「正真正銘の外？」とか「外の先にも外がある？」とか世界のことは学んだのに外のことを何も知らないんだな、って思うと誰一人として外の存在を教えていなかったんだ、って切なくなった……😭😭 メイド長さんは不葉さんを本当に大切に想っていることが伝わってきた……💭あと、さりげなく「どっかの

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