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私たちはイベントの司会者に合わせてステージ上に出た。
目の前には人がたくさん集まっていた。
懐かしい光景が広がっている。
野乃子
女性客たち
男性客たち
などという声が男女共に聞こえてくる。
私は団扇やプレートを見て
『おかえり』
という文字を見て実際に帰ってきたことを改めて実感する。
そんな中に目の前の一人の男に目が止まってしまった。
野乃子
その名前はあの解散ライブにサプライズをし、私の彼氏だったあの人の名前だった。
夏下
後ろで夏下さんが小さな声で私に注意を促す。
我に帰った私はそのままマイクを通して声を飛ばす。彼を見ないようにしながら。
スクリーンに映像が流そうとしているようだ。
夏下さんが編集して、私たちの曲が宗治のドラムに合うように作り上げた映像を。そのための二年間でもあった。
野乃子
ギターとベース、キーボードが私の声と共に絡み合う。
1.目からこぼれ落ちていくその涙が 私の柔らかい髪の毛に 伝わって硬くなっていく まるで米を炊く前後の違いのように 手に取れば分かるんだけどさ 私を乱すーその雨は 私が髪の毛を乱す代わりに こぼれ落ちた涙を静かに 流れ落とす そんな雨に一言言うなら ありがとう…
2.激しい音を鳴らしながらその涙は 私の柔らかい髪の毛に 染みて硬くなっていく まるで紙に描かれる絵の具のように 表せれば分かるんだけどさ 私を乱すーその雨は 私の髪の毛を濡らす代わりに 静かに流れる涙と共に 流れ落とす そんな雨に一言言うなら ありがとう……
その雨に対して ありがとう… 仲間に対しても ありがとう…
最初の曲を歌い切った。
目の前にいるみんなの目が光っている。