人生って、凄く辛い。
母
ちょっと華!!
母
あんた、まだ結婚しないの!?
母
さっさと結婚して、私を安心させてよ!!
まるで、海の奥深くにいるみたい。
息がし辛くて、目が霞む。
先輩
華ちゃんさ〜
先輩
仕事しか取り柄ないから、
先輩
彼氏と結婚できないんじゃな〜いの(笑笑)?
そんな事を感じ始めたのは、いつからだろう?
私の名前は、木崎華。
職業は、ごく普通のOL。
年齢は今年で30。
華
ただいま。
雅之
あ、おかえりー。
雅之
遅かったね。
華
ごめんね。仕事忙しくて。
華
ご飯は?
雅之
先に食べちゃった。
華
そっか。
華
華
ちなみに、私の分てある?
雅之
雅之
え、食べて来てないの?
雅之
てっきり食べてくると思って、
雅之
作ってないよ…。
華
……そっか。
雅之
今度から家で食べる時は、
雅之
連絡して。
華
華
分かった。
彼は、天野雅之。
私の彼氏。
美容師をしていて、同居している。
稼ぎは私の2分の1。
仕事人間な私に対して、家事をよくやってくれている。
しかし最近、友人に。
『この間さ、彼氏とデートしてた時に、見ちゃったんだ。
華の彼氏と知らない女が、手組んで歩いてるの。』
と、言われた。
『しかもその後、ラブホ入ってったの。おかしいでしょ!?』
そう言われたが、不思議と納得していた。
確かに最近、雅之は携帯気にしてるし、
何より、私への愛が冷めていた。
私自身が分かってしまう程に。
今日は最後の日だ。
華
雅之。
雅之
ん?何?
華
私の事…好き?
雅之
うん。好きだよ。
華
……。
どこ見て言ってんだか。
華
別れよう。
雅之
うん。…え、は?
華
『さよなら』
雅之
ちょ、待てよ!!
バタンッ
華
華
ふぅ、疲れた。
私は大きなバックを持って、扉を閉めた。
あらかじめ荷造りはしておいた。
いつでも出ていけるように。
華
華
どこ行こうかなぁ…。
『さよなら』
それは、人に別れを告げる言葉。結末・終止符をうつ言葉。
華
『さよなら』って、
華
人に言われるより、自分から言う方が、
華
傷つくんだよなぁ…。
真冬真夜中の満月の下。
独り身OLはそんな事を考えていた…。