10タップじゃないアホ美ちゃん

アホ美を職員室に呼びつけた安藤は

自分の席に腰かけるとため息を漏らす

これ以上、幸枝達とやりあって欲しくない

余計な問題ばかりを増やそうとするアホ美が嫌でたまらない

だがそれ以上に

新聞記事の内容が気になっていた

もし本当にアホ美が関係者ならば

アホ美を大人しくさせる材料になるかもしれない

そんな考えが頭の中に浮かんでいた

安藤の言葉にアホ美が驚いた表情を浮かべる

それでも相変わらずな生意気な態度に

安藤は思わず顔をしかめ語気を強めた

そもそもの原因は幸枝の勘違いから来る個人的な恨み

もちろんその事には既に気づいている

だが安藤には親身になって話を聞いたり

その誤解を解いてやる気など全くなかった

下手に手を出して火の粉が降りかかるのだけは避けたい

幸枝が"ない"と言っている

全ては友美の勘違い

自分の受け持つクラスは平和そのもの

それをアホ美が壊そうとしているだけ

とにかく全てを否定し

全てなかったことにしてしまえばいい

それでも反論してくるアホ美を冷たくあしらい

一貫していじめの事実を認めようとはしなかった

実際にアホ美がどんな風に関わっているのかわからない

でもどんな関わりがあったとしても関係ない

幸枝があの新聞記事を貼り付けた時点で

アホ美は完全に邪魔な存在だと認定されたも同じ

とにかくアホ美には大人しくしてもらわなければ困る

突然、見知らぬ男子生徒が割り込んできた

安藤はそれがアホ美の兄の聖夜だと言うことを忘れていて

慌てて取り繕ったが

聖夜のことなどどうでもいいとしか思えなかった

聖夜は安藤の態度に憤慨し

突然、怒りの声を上げたのだが

安藤は冷めた目で聖夜を見ていた

聖夜の担任、浪川も加わり聖夜は事情を説明

両親の再婚でアホ美とは家族になってからまだ日が浅いこと

事件を起こしたのが聖夜の方の親戚であることと

聖夜とその親戚は遠縁で全く面識がなく

あの事件とアホ美は全く関係がないとの説明を受けたが

例え事件とは関係なくてもクラスの生徒は混乱していた

何よりアホ美は幸枝を怒らせた

徹底していじめの事実を隠さなければいけない

ここでこれまでのやり取りを聞いていた浪川が口を開いた