「 その命の代わりに致死量の愛を。 」

人生で１番声を荒らげた気がした

泣き崩れる私なんか目にも入れずに りっくんは担架で運ばれた

ｶｼｬﾝｯ

小さな金属の物音に顔を上げた

急いで金属のモノだけ拾って 救急車に乗り込んだ

りっくんの誕生日に私から誘ったデート

それは最悪なモノになった

手術室を見に行く勇気も無くて

ただ金属のモノを握り締めていた

誕生日プレゼント

中身はもう既に入れられていた

綺麗な菊の花だった

哀しさに押し潰されそうで 笑みさえ溢れてくる

止めようにも止められない涙が溢れた

誰のせいでもない

運転手の方も亡くなってしまった

誰を責めることも出来ない

ペンダントを見る度に思う

貴方は何で 菊の花の写真なんて入れたの、

私との写真とかにすれば良いのに

どうして、、

そんなドン底に居た時に君に出逢ったの

波の音が心地よかった

月奈は話しながら時々鼻を啜っていた

綺麗な笑みは涙に掻き消されていた

なぁ、月奈

辛いなら辛いって言えばいい

恐いなら恐いって言えばいい

その度に俺は大丈夫って

離れねぇって

確実に月奈の耳に届くように言う

だから月奈からは離れんなよ。