風鈴の華は､やがて散る (中断)

今回の撮影場所は、とても不気味で 数年前に廃墟と化した 教会だった

可憐なハイヒールの音が教会を支配し カメラのシャッター音も何気に聴こえる

横目で穂花さんを見る

黒い布で彼女の表情が読めない

穂花さんの冷たくて､白い肌に手をそっと置く

今の私はどんな表情をしているのだろうか

まるで…想像もつかない

ｶｼｬｯ📸

陽菜さんに渡された写真を見てみると

死んだ様な顔で穂花さんを見つめる 写真

私は…何だか心霊写真を見ている気分になった

スタジオの光が降り注いでくる

とても眩しくて､輝いている

背後から′′人間じゃない者′′の気配がしたのは 気の所為なのだろうか…

何だか気味が悪く 脚を早く動かし階段を降りていると

すれ違い際に奇妙な名前が耳に入り、私は急ぐ脚を止めた

とても珍妙だけれど…心揺さぶる名前

➽メモ用紙 ・ゲゲゲの鬼太郎 →見た目は、普通の少年 →黄色と黒色のちゃんちゃんこを着ている →ゲゲゲの鬼太郎の友達は、犬山 まな という少女 →鬼太郎の父親は、目玉親父というかつての幽霊族の末裔 →妖怪に関する悩みを妖怪ポストに入れると鬼太郎が現れ､悩みを解決してくれる？

ふとメモ用紙を読み返していると 聞き覚えのある少女の名前にピンっとくる

確か…あの川辺で会った少女の名前だ

私は、方向を変え、妖怪ポストがある処に歩き出した

少しだけ不気味な雰囲気に戸惑いながらも 妖怪ポストを探した

中々見つからずに困り果てていると…

少し遠くから手を大きく振りながら此方に走ってくる制服姿のまなちゃんのが目に入った

私が持っているメモ用紙に気がつき 優しく聴いてくれる

素直にそう話すと まなちゃんが少し考えてから

あまりにも明るく元気な声で云うから 少し笑ってしまった

まなちゃんが指を指した先には、小さなポストが一つあった

元気いっぱいで明るい

鬼太郎？の友達がこの子な理由も少し分かってきた気がする

少し呆れながらも鞄から一通の手紙を取り出す 差し宛は、ゲゲゲの鬼太郎様へ

少し考えてから…ポストに手紙を入れる

少し寂しそうに駄々を捏ねているまなちゃんを見ていると……＿？の面影が重なる

口元をハムっとさせ、呑気に話す

可愛げのある子だなと思った

ｶﾗﾝｯ

ｺﾛﾝｯ

ｶﾗﾝｯ

ｺﾛﾝｯ

下駄の音が聴こえてくる

闇の中から少しづつ姿が現れていく

ふんわりと艶のある 茶髪に前髪で隠れた片目 噂通り黄色と黒色のちゃんちゃんこを身にまとっている

彼は､私の前で脚を止め、ゆっくりと顔をあげ此方を見る

淡々とした口調で私に問いかける

鬼太郎の髪から顔を出したのは 目玉に身体が生えた様な妖怪…？

何処か惹き付けられる名前だけれど…… 矢張り聴いたことの名前なので首を傾げてしまう

私は、何となく分かった 私には、普通の人には無い力 『異能力』を生まれながら持っている

恐らくその力が今回取り憑かれる条件にピタリと当てはまってしまったのだろう

異能力を暫く使わないと決めていたけどあの時…使ってしまった事もあるのだろうか…

何だか不思議だ

後ろから戸惑うまなちゃんの姿が見えたけれど 私はフラつく脚を動かしながらその場を離れた

何だか…頭が痛い

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