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ついに高校最後の一年が始まってしまった。
共学にもかかわらず、ときめくような青春もなければ汗や涙を流す青春もない二年間だった。
中学ではそこそこ真面目にサッカー部に所属し、副部長も務めていたが、今となっては帰宅部を貫き通している。
別にサッカーが嫌いになった訳でもないし、友達と上手くいっていない訳でもない。
…が、なんとなくで過ごしてきてしまったこの二年間、感動といえるような感動もなかったのが正直なところだ。
最こういうタイプだったんだと思う、最初から。
だからきっと高校最後のこの一年もまた、なんとなくで終わるのだろう。
キーンコーンカーンコーン…
朝のHRの始まりを告げるチャイムが鳴る。
張り出されたクラスと席順を確認して、俺は窓側の席へと向かった。
朔(…あれ?)
見ると、サラサラとした茶髪が既に俺の席に突っ伏していた。
椿生 朔
???
椿生 朔
???
朔(…爆睡かよ、)
椿生 朔
???
肩に手を乗せて顔の近くで声をかけると、そいつはやっと、ぱっちりと目を開けた。
…息が、止まるかと思った。
茶色の真ん丸な瞳は、きょとんとした顔でこちらを見つめている。
???
色白で華奢で、その茶髪は思っていたよりもずっと柔らかくて―
???
椿生 朔
声をかけられたことにようやく気づき、変な声が出た。
???
・・・
椿生 朔
見蕩れるほどのイケメンから発せられたその言葉の意味を理解したとき、かぁっと血が巡るのがわかった。
椿生 朔
とっさに離れてから、はっと気づいた。
椿生 朔
???
???
ふにゃっと笑うそのイケメンは、俺の机に貼られた名前のシールを真剣な顔で覗き込んで呟いた。
???
そしてぱっと俺の方を向いて―
???
また、ふにゃりと笑った。