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僕の恋人は記憶喪失

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僕の恋人は記憶喪失

1 - 君のとなりに居られる資格

♥

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2024年10月25日

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…好きだ、司くん

…へっ?

お、オレのこと…?

ああ

…類の気持ちは嬉しいよ

…けど、すまん

…分かった、ありがとう

僕の方こそ、いきなりすまなかったね

い、いや…

オレも、ごめん

少し、驚いてしまって…

…ううん、大丈夫だよ

…でも、ひとつお願いしたいんだ

お願い?

…これからも、今まで通り仲良くしてくれるかい?

…もちろんだ

うん、ありがとう

ごめんな、類

もういいんだよ(笑)

けど、ありがとう

数日後

…類ー?ちょっと遅くないか?

――あ…司くん…!!

――ブーッ!

僕より先に目の前を歩いていた司くんは、振り向く暇もなく

大きなクラクションと共に大型トラックに跳ねられた

通行人

オイ、人が倒れてるぞ!!

通行人

えっ、何?事故?

通行人

早く!救急車だ!!

通行人

ひいた車はどこなんだ!?

通行人

ねぇひき逃げじゃないの?

あ…

つ、司くん…

え、えっ…?

通行人

そこの君、大丈夫か!?

え…

僕…

通行人

後ろ歩いてただろ?怪我は?

…前を歩いていた彼が、僕の分も…全部…

通行人

知り合いなのか!?

…はい

通行人

…もう救急車を呼んであるから、大丈夫だよ

…はい

通行人

君も念の為、病院に行ってきなさい

…僕は、大丈夫なんです

けど…けど彼が…

息、してますか…??

…生きて、いますよね?

通行人

通行人

俺には分からないよ

通行人

…けど、君があの子の友達なら

通行人

信じてあげて

…!

…ごめんなさい

こんなこと…

どうしようもないです、本当に…

今すぐにでも駆け寄って、救急車が来るまでそばにいてあげたい…

…けど、足が動かないんです

震えて、動かなくて…そばにすら行ってやれない

通行人

…当たり前だよ、普通でいられる方がすごいんだ

通行人

…それに、きっと君の友達は分かってくれているよ

通行人

って、初対面の俺に言われる筋合いなんかないよな

通行人

勝手なこと、ごめんな

…いえ

……ありがとうございます

事故から数週間後

ガラッ

司くん

類!

来てくれたのか!?

ああ、もちろんさ

今の司くんは、記憶を失っている

覚えているのは、 自分の名前と家族のことだけ

…僕のフラれた告白も、 今の司くんは何も覚えていないんだ

(…僕は、君が言ってくれた素敵な人間なんかじゃないんだ)

(…そんな人間とは、ほど離れたひどくて、どうしようもない人間だ)

類?どうかしたのか?

えっ?ああ、いや…

なんでもないよ、大丈夫

それより司くん、体の調子は?

うーん…ふつう、かな

良くなっていなくとも、悪化していないのなら何よりだ

類はオレが、早く良くなって欲しいと思ってる?

もちろんだよ…!

…あの日、君が事故にあったのは僕のせいでもあるし

へっ?

ううん、なんでもないんだ…!

そうだ、僕があの日、君と出かけたいだなんて言わなければ

(言わなければ…司くんはこんなことに…)

類、学校行ってきたんだろ!どうだったんだ?

ああ、良かったよ

うそ

ほんとか!?よく分からないが…類が楽しいと、オレも嬉しい!

良かったよ!

もう…本当に君って人は(笑)

うそだよ

君のいない学校も、帰り道も、休日も、ステージだって

君が居ないと、何もかもが霞んで見える

そういえば類はショーをやっているのだろう!?

オレもショーは大好きなんだ!

幼い頃に観てから…好きになって、憧れてたんだ

…そうなんだね

ここで君は、今は僕たちの座長をしてステージに立ってショーをしているのだよ

って…そんなことを言ってみたら司くん、一体どんな反応をするのだろう

今度、ミュージカルのDVDを持ってきてあげようか?

えっ…いいのか!?

ああ、もちろんだよ

君が好きそうなものを、いくつかね

とっても楽しみだ…!!

類はオレのこと、なんでも知ってくれているのだな!

…!

…ううん、知らない事の方が多いよ、僕は

そうなのか?

ああ

…そうだ

司くん、退院出来たら僕たちのショーを観に来ないかい?

えっ!?いいのか!?

もちろんだとも

それに、君に観て欲しいんだ

ああ!観たい!オレも類と、えむや寧々たちのショーを観てみたい!

フフ、君が観に来てくれるとなると、きっと寧々たちも喜ぶ

あははっ、そうか?

けど…そうなら早く退院しないとなっ!

類!オレ、早く良くなるから!

ああ、応援してるからね

ありがとう!類に応援して貰えると元気が出るな

嬉しいよ!

…ありがとう

君の愛おしくてまばゆい笑顔

そんな君の笑顔を守れなかった僕が、 このまま君のとなりで…

君のとなりで君を、 支えてやってもいいのだろうか

…ごめんね司くん

僕はそろそろ帰るよ

…分かった

来てくれてありがとう、類!

うん、また来るから

…うん、待ってるな

逃げるように病室を出ていった僕には

やっぱり君の、隣にいてやれる資格なんてないのかもしれない

(…でももう、2度と君に辛い思いなんてさせないから)

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