吾郎
ほら、やっぱり、居ないぜ!
吾郎
!
吾郎
ど、どうしたんだろう!
吾郎
死んでるのだろうか?
一夫
バカだなぁそんなことがあるもんか
一夫
一夫
大丈夫だ、
さあ、君は足を持ってくれ
吾郎
ど、どうするんだい?
一夫
決まってるじゃないか、
医務室へつれていくんだ。
一夫
僕は、誰か先生をさがしてくる。
一夫
だから、君は窓あけ、
それから、芳山くんの、
額を、ハンカチで、
水で、冷やしてくれ
吾郎
きっと疲れたんだ
一夫
あんな、広い、
教室を、
たった、三人でさせるなんて、むちゃだよ。
吾郎
早く気がついてくれよなあ
福島先生
福島先生
うん、貧血だな。
和子
ああ......
私、どうしたのかしら?
一夫
貧血を起こして、
倒れていたんだ。
実験室で......
少し気分がよくなってから
彼女は、怪しい人影のことを話した
一夫
でもおかしいな
一夫
君が倒れているのを、
見つけたとき、机のうえには、薬びん、も試験管もなかったし。
そんな匂いもしなかったよ。
和子
まあ、ほんと?
和子
おかしいわね。
私は、たしかに......
和子
じゃあ、もう一度いって、
調べてみるわ一緒に来てちょうだい
福島先生
おいおい。
貧血は、絶対安静だよ。
大丈夫かい?
和子
ええ、
大丈夫です。
福島先生
そうか。
よし、それなら、
僕もいってみよう
再び実験室に戻った。
一夫のいうとおり
机のうえになにもなかった
和子
おかしいわねえ......
福島先生
君がかいだ匂いとは、
どんな匂いだったの?
和子
甘い匂いですわ。
なんと言うか......
和子
和子
そう!
あれは、ラベンダーの匂いよ!
福島先生
ラベンダー?
和子
そうです。わたし、
小学生の時だったかしら?
和子
一度ははに、
ラベンダーの匂いのする、
香水を嗅がしてもらったことがあるんです。
和子
そう、あれとたしかに、
同じ匂いだったわ!
何か、もっと、他に
大事な思いでが......
和子には、思い出せなかった。