そこからはどうやって家に帰ったかは覚えてない。
だけどニノと会って
気持ちが軽くなって少し元気が出た。
雅紀の彼女に私はなれない
幼馴染だから、それ以上はなにもないから
だからそれはもう仕方ないんだ
何年もずっと一緒にいて変わらないんだから
私がこれ以上どう足掻いたって1番にはなれない。
雅紀に彼女ができた以上はもうどうしようもない
潔く諦めるべきなんだ
そう、やっと30にして諦める決心がついた。
何年の片想いだったんだろう
気づいたのはいつ?
高校生?中学生?
それか幼稚園生の頃?
咲羅
そんなことを考えていたらふと昔のことを思い出して
押入れの1番上に保管してある私の宝物入れを手にとる。
久しく開けてないから埃が被っていてそれを手で払う。
蓋を開けて中を見ると懐かしいものだらけ
その中から二つ折りにされた画用紙を取り出す。
開いて見ると、きたない字で
"けいやくしょ"
って書かれてあった。
さらはまさきとけっこんすることをやくそくします
咲羅
お母さんに教えてもらって拇印まで押してある。
雅紀と一緒に書いてお互い結婚するって約束したときのことを思い出す。
私は本当に嬉しかった
ずっとずっと雅紀と一緒にいられるんだって
幼稚かもしれないけどなんの効力もないのにずっとお守りとして持っていた
本当ばかだ、私
なんで信じてたんだろ
だけどもうこれは必要ない
雅紀には今一緒にいたいって思う人がいるんだから
私がまだ信じて持ってたら本当引いちゃうレベルだよね
私が前に進むためにも捨てないと
もう、忘れないと…
咲羅
ビリビリ
ギュッと目を瞑って破いてゴミ箱に捨てた。
お母さん
ソファでゴロゴロ寝転がりながらテレビを見て
もう14時になるのにぱじゃまでいる私に洗濯物をたたみながら言う母。
咲羅
お母さん
咲羅
休みの日だからゴロゴロしたくて今日は何も予定を入れてなかった。
そしたら、これ
最近よく言われるようになったな
私もそろそろ結婚しないと一生できないんだってその度に突きつけられる
だけど長年好きだった人に彼女ができて
もう結婚なんていいかな
なんて思い始めてた。
お母さん
結婚について考えていた私に机に置いていた携帯を渡してくれた。
あーこれだから太るんだなあ
最近お腹出てきちゃったし
咲羅
のんきに画面を開くとLINEのところに通知が一件
それを開くと
雅紀【咲羅、たすけて】
咲羅
びっくりして飛び起きる。
どうしたのー?なんてお母さんの声が聞こえたような気もしたけど
それどころじゃなくてとりあえず自分の部屋に行って服を着替える。
咲羅【どうしたの?どこにいるの?】
雅紀【家】
その間にLINEが返ってきていた
どうしたんだろ、雅紀…
そんなこと考えていても何も変わらないから定期を持って外へ出た。
いつもはゆっくり歩く道も小走りで行く。
電車に乗り込んだら暑くて首元に巻いていたマフラーをとった。
雅紀から家ってLINEが返ってきてから返事がない。
どうしたんだろ?
もしかして強盗に入られたとか?!
それで見つからないように隠れてるとか?!
変な不安がよぎる。
そんなことあるわけないか
なんて思うけどもしかしたら、って思うと背筋がゾッとする。
電車が長い
いつも以上に長い
ソワソワしながら駅に着くなりダッシュで降りる。
駅から雅紀の家は歩いて5分くらい。
5階建の小さなマンションで
茶色いブロックでできていて外見がすごくかわいい。
雅紀に教えてもらっていたロックナンバーでドアを開けてエレベーターへ急ぐ。
上向きの矢印を連打して
早く、早くって気持ちが焦る。
雅紀の部屋がある3階に着いた途端にエレベーターのドアも開ききってないのに出て早歩き。
305、305…あった
ガチャっとドアノブに手をかけると開いていた。
もし本当に強盗がいたら?!
なんて考えている暇もなく
咲羅
息を切らして中へ入る。
いつも通りきちんと整理された玄関
靴を脱ぎ捨てて玄関入ってすぐある廊下の1番奥のトビラを開けてリビングへ行く。
雅紀
テレビをつけてソファに寝転がっている雅紀がしんどそうに私の名前を呼ぶ。
雅紀
は?、風邪?
コメント
7件
次、気になります! 最後が面白い🤣
最後が面白いw 続き気になる!
次が気になる感じです!