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恋のエイプリルフール  第2話

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恋のエイプリルフール 第2話

1 - 恋のエイプリルフール 第2話

♥

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2020年08月22日

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香織

ねぇ、くーちゃん、真二ったら
酷いんだよ

家についた私は、自分のベットに腰を下ろす

そして、いつも一緒に寝ているクマのくーちゃんを抱き上げた

香織

せっかく勇気を出して自分の気持ち
を言ったのに「ウソだろ」なんて言
ったんだよ?

香織

あーーもう!

思わずくーちゃんをギュッと 抱きしめる

香織

なんであの時、正直に「嘘じゃな
いもん。本気だもん」って言わなか
ったんだろ。やっぱり私って勇気な
いなぁ…。

香織

あーあ、エイプリルフールに言わな
きゃ良かった…

私はくーちゃんにグチをこぼし続けた

香織

(夕食後、私は自分の部屋で勉強を
した)

香織

(ぼんやりしていたら、真二のこと
を考えて悲しくなっちゃう…)

私にしては結構長い時間、集中して 問題集を解いていると…。

ポロン

くーちゃんの上に置いておいたスマホが鳴った

香織

(LINEが来たみたい)

香織

(真二からだ…)

なんだろう、と恐る恐るスマホを開いてみる

真二

『まだ起きてるか?』

ポロン

真二

『今から外に出てこられない?』

香織

え?

カーテンを開けて窓の外を見ると、家の前に真二が立っていた

私はドキドキした

香織

(こんな時間に外に出たことないし
お父さんとお母さんに見つかった
ら怒られる…)

香織

(でもやっぱり真二には会いたい!)

スマホのカメラを鏡代わりにして、髪が乱れていないかチェックする

それから、上着をはおって一応マフラーも巻いて…。

香織

(じゃあくーちゃん、行ってくるね)

私はそろりそろりと、家を出た

緊張しながら出てくると、真二が待っていた

真二ったら、スマホの画面を見ながらずんずん先に行ってしまう

私はとにかく真二の後についていくことにした

真二

よし

ずっとスマホを気にしていた真二は、 近くの公園まで来たところで一つ 深呼吸をして立ち止まる

香織

ねぇ、どうしたの?こんな夜遅くに

真二

今日の帰りに香織の言葉を聞いて思
ったんだ。俺もちゃんと自分の気持
ちを伝えなきゃって…

香織

気持ち?

真二

実は俺…
ずっとお前のことが好きだった…

真二

だから俺と付き合ってくれないか?

香織

え?

香織

(胸がドキドキしてきた)

香織

(でも…)

香織

(今日の部活の帰りの真二と秀樹の
やりとりが頭をよぎる)

香織

(クラスの女子にテキトーに電話か
けて告白してさ。気まずくなった
ら『実はあの、ウソなんです〜』
みたいなドッキリしない?)

香織

(ふざけてそういった秀樹に)

香織

(あーでも…結構、いい方法かもな)

香織

(真二はそんなことを言い返してい
た)

香織

(しかも…)

香織

(エイプリルフールはもっと笑える
ウソがいいぞ)

香織

(真二は私にそう言った)

香織

(だったらこれは、笑えるウソ?)

真二

返事はいつでもいい。待ってる

私はハッと我に返った

真二

だから…

真二が続きを言いかけたけど…

香織

バカにしないでよ…

香織

バカにしないで!

思わず力をこめて、真二の肩を突き飛ばす

香織

ひどいよ…

香織

(声が震えているのが自分でも分か
る)

香織

(そんな私を見て、真二は戸惑って
いるけれど…)

香織

エイプリルフールだからでしょ?
私を騙してるだけなんでしょ?

真二

なんで…?

香織

さっきからスマホばっかチラチラ見
て…。もしかして秀樹と連絡とりあ
ってるの?

真二

そんなことしてないけど

香織

私を笑いものにして、そんなに楽し
い?

真二

だから違うって…

香織

エイプリルフールなんか嫌い。真二
なんか大っ嫌い!もう顔も見たくな
い!!

香織

(自分でも驚くくらい大きな声が出
た)

香織

(真二がこんなことする人だなんて
ショックだった)

香織

(好きな人に遊びで告白されるなん
て…)

香織

(私の心はどうしようもないくらい
傷ついていた)

香織

(うちに帰ろう…)

私は真二をその場に残したまま 歩き出した

真二

香織、待って!

真二

今、何時か見てみろよ

香織

…なんで?

真二

いいから、時間見ろって!

真二にしつこく言われて、私は ポケットからスマホを出した

画面には0:08 と表示されている

真二

そう。だから、エイプリルフールは
とっくに終わってるよな

香織

え…

真二

今の告白は、ちゃんと日付が変わっ
てから言ったから

香織

(さっきここまで歩いて来る時)

香織

(真二はスマホで0時を過ぎたこと
を確認して「よし」って言ったん
だ…。)

真二

香織を騙すつもりもないし、傷つけ
るつもりもなくて

真二

でも、もしお前にフラれたら、
エイプリルフールだからって言い訳
できるだろ?

少しすねたように言いながら、 照れくさそうに目をそらす

そんな真二が愛おしくなったのと 自分が意地を張っていた事が恥ずかしくなって…。

思わずふっと笑みをもらした

香織

…男のウソだってめんどくさいよ

そして真二を少しだけ睨んでみる

真二

…うん

真二

だけど俺、本気で香織のこと好きだ
から。その気持ちは絶対にウソじゃ
ない。

真二

いつもくだらないことばっか言って
る俺を見て笑ってくれる、その笑顔
が大好きなんだ。

真二

だから俺と、付き合って下さい

香織

うん…

私はうつむいたまま、歩き出した

そして、突っ立っている真二の横を 通り過ぎる

香織

…んーでも私、今年受験だし、
恋愛してるヒマないかも

立ち止まって、真二に背中を 向けたまま言ってみる

真二

え?

真二がマヌケな声をあげた

香織

ウッソー

真二は、ぽかんと口を開けている

真二

もう!日付変わったって
言っただろ!

香織

いつもからかわれてるから、
そのお返しだよ〜

香織

さっきの真二、こーんな顔してたよ

私はわざと変顔をしてみせた

真二

あー、もうやめろって!

悔しそうにしていた真二は 急に真顔になった

真二

さ、早く帰らないと。送ってくよ。
ごめんな、夜遅くに

真二は男らしく言う

香織

…うん

香織

(そういえば、ここは夜の公園)

香織

(真二と二人きり…)

香織

(そして、今日から彼氏と彼女…)

香織

(そう思ったら急に恥ずかしくなっ
てきた)

香織

(でもそれは真二も同じみたい)

真二

あーなんだか寒いな。
香織の上着貸してよ

香織

えー、それじゃあ私が寒いよぉ

真二

じゃあこっち貸して

真二は私のマフラーをとって 自分の首に巻く

真二

へっくしゅん。ほら、風邪ひいた
かも!

香織

今のはウソのくしゃみでしょー!

私たちはお互いにドキドキするのを ごまかすように、ふざけ始めた

新学年からは、いつもと違う学校生活が始まりそう

私はそんな予感に胸を ときめかいていた

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