エリカ
修学旅行2日目夜。
エリカはホテルのロビーでコーヒーを飲みながらため息を吐いていた。
??
突然、エリカの隣に男の人が座った。
一瞬驚いたエリカだったが、どうせその場限りの相手だ、と思い、自身の悩みを話してみることにした。
エリカ
昔から、失恋ばかりで恋が叶わなくて。
??
エリカ
エリカは少し驚いた。
エリカは自分が失恋するのは当たり前だと思っていたため、意外だと言われたことそのものが意外だったから。
??
エリカ
で、でも、中身はすごくキモくてぶりっ子みたいで…
エリカは初対面の男性に綺麗と言われるのは初めてでとても戸惑っていた。
エリカは、猫を被ることが多かったため、どちらかと言うと可愛いと言われることが多かったからだ。
??
少なくとも僕に今の貴女はぶりっ子には見えませんね。
男性は、ニコッと笑って言った。
エリカ
普段は猫を被りすぎてる感じなんですが、最近は疲れすぎてそんな余裕もなくて…
??
猫を被るのがいけない事だとまでは言いませんが、同性ウケがあまり良くないみたいですからね。
それに、本人が疲れてしまいます。
エリカ
でももう今更…
??
変わるのは怖いけど、変わらないのも怖いですよ。
それでは僕はこれで。
エリカ
男性は立ち上がって去った。
エリカ
そんな男性をエリカは引き止めた。
エリカ
??
皿田はニコッと微笑んで言った。
菜乃羽
エリカが部屋に戻ると、菜乃羽の自殺未遂の件をきっかけに妹となった菜乃羽がエリカに声をかけた。
エリカ
菜乃羽
呼び掛けを無視してフラフラとベッドに向かうエリカに菜乃羽は不審感を抱いた。
『貴女みたいな綺麗な人が、失恋ばかりなんて、意外ですね。』
『変わってみたらいいじゃないですか。 変わるのは怖いけど、変わらないのも怖いですよ。』
エリカ
野生さんの言葉が頭から離れない…
心臓もバクバクいってる…
緊張しちゃったのかな…)
エリカがベッドにうつ伏せてそんなことを考えていると、菜乃羽はそんなエリカを眺めてひとつの事を考えた。
菜乃羽
耳赤いし。
次は叶うといいな…)
次の日、エリカは少し早起きしていた。
エリカ
エリカは鏡の前で呟いた。
鏡に映ったのは、お腹辺りまであった髪をバッサリと肩上までに切り、小さく2つに結んでいた髪を右側にまとめてサイドテールにした姿だった。
エリカ
地毛だけど染めるべき…?
エリカがそんなことを呟いていると…
菜乃羽
どうしたの…?
菜乃羽が起きてきた。
エリカ
ごめん。
菜乃羽
その髪…
菜乃羽はエリカの姿を見て少しフリーズした。
エリカ
菜乃羽
エリカ
エリカは少しの間考えた。
エリカ
でも野生さんは優しそうだし…
っ!?)
エリカ
恋じゃない!
第1あの人かっこいいとも言えないしメガネだし太り気味だし…!
エリカは突然のことにテンパって全力で否定した。
菜乃羽
そっか。
でも、恋に見た目は関係ない。
それは姉さんがよくわかってるでしょ?
菜乃羽はエリカにいたずらっぽく笑みを浮かべた。
修学旅行3日目
エリカ含む数人の教師は自分の学校が使ったホテルの片付けをしていた。
エリカがリネン室に来た時、皿田もリネン室に入ってきた。
皿田
エリカ
野生さんも?
皿田
修学旅行中だったんですよ。
エリカ
まあ、まだ1年目の新人ですけど笑
皿田
えっと…
エリカ
エリカです。知花エリカ。
皿田
よく似合ってます。
エリカ
皿田
髪切りました?
エリカ
野生さんのアドバイスを参考に、自分を変えようと思って…
皿田
とても素敵ですよ。
よく似合ってます。
エリカ
皿田
エリカ
連絡先…交換してもいいですか…?
皿田
こうしてエリカと皿田は連絡先を交換し、ホテルでは別れを交わした──
澪彩
澪彩
澪彩
澪彩
自分達にプレッシャーをかけるのはやめなさい
澪彩