これは
僕らの青春の
青くて暗く
それでいて暖かい物語だ。
雨乃
璃雨
雨乃
璃雨
本当は気づいてた
辻村さんが俺のこと好きだって
璃雨
璃雨
いっつもこれを言い訳にしてるけど
本当は心が揺らがないだけなんだ
好きって気持ちが分からない
雨乃
雨乃
トモダチ
本当に?
俺らは、それほどに仲が良かったのかな
璃雨
怜
璃雨
コイツは怜
俺の大のトモダチ
コイツは女好きで
すごく恋愛経験も豊富
怜
怜
璃雨
湊都
湊都
璃雨
この藤沢という人は
この高校ですごく可愛いと有名らしい
最近よく怜といるのを見るけど
怜のことが好きな感じではない
俺はあまり得意じゃない
湊都
湊都
怜
怜
璃雨
怜
いつも通りの日々を過ごしていた
陰は見ないようにして
都合のいいとこばっか見て
楽しいなんて思ってた
そして今
スルーできない状況に陥っている
璃雨
雨乃
璃雨
マンションの自室と見られる場所で踞っていた辻村さんには
いつもの明るい笑顔は携われていなかった。
璃雨
雨乃
雨乃
璃雨
璃雨
どうやらなにかあるらしい
そのまま行くのも流石にダメだと思った俺は
ほぼ無理矢理というように病院へ連れた
遥
遥
雨乃
雨乃
璃雨
なにか、始めて辻村さんの闇が見えたような気がした
翌日学校に行こうとしたとき
辻村さんに引き留められた
雨乃
雨乃
璃雨
璃雨
知らなかった事実に驚愕したが
このあと更に驚いた
雨乃
雨乃
雨乃
雨乃
泣いてるようにも見える
そんな悲しげな笑顔
辻村さんの表情が揺れる
璃雨
璃雨
自分でもほぼ自動的に出た言葉に
辻村さんはすごく驚いた
雨乃
雨乃
雨乃
璃雨
璃雨
璃雨
雨乃
辻村さんの顔がパッと明るくなった
そう、別に恋愛する予定もないし
病人を労るくらいの気持ちだった。
璃雨
怜
璃雨
怜
怜
湊都
それから辻村さんとたくさん話した
辻村さんが言うには、病気のことを知ってる人といると楽だそうだ。
雨乃
雨乃
璃雨
璃雨
雨乃
どうして君は死ぬ運命なんだろう
僕らの恋は、名前の通りに雨模様だ
怜を交えて遊びにいったこともあった
怜
璃雨
雨乃
病気なんて感じさせない明るさ
誰とでも仲良くできて
すごくいいコで…
そんな辻村さんに俺はどんどんハマっていったんだと思う
璃雨
雨乃
雨乃
璃雨
璃雨
璃雨
雨乃
璃雨
雨乃
璃雨
璃雨
俺は怜に聞こえないようにこそっと言った
赤くなっているのがいとおしかった。
ずっと動かなかった心が
凍っていた心が
揺らいだ
雨乃がいる夏は
すごく早かった
もう木々も紅く色づいてきたころ
俺は雨乃の大親友である水菜さんに呼び出された
遥
遥
璃雨
遥
遥
璃雨
あとから
雨乃が傷つくなら
そうなるくらいなら──。
そう思うと
うまく雨乃と話せなくなった
そんなある日、見てしまう
湊都
湊都
心春
紗羅
湊都
湊都
感情に身を任せて
藤沢さんが振り上げた手を掴む
璃雨
その手に力がこもる
湊都
璃雨
湊都
湊都
璃雨
湊都
璃雨
璃雨
璃雨
湊都
湊都
湊都
璃雨
璃雨
璃雨
璃雨
璃雨
心春
心春
紗羅
璃雨
璃雨
心春
紗羅
湊都
ドンッ
怜
湊都
ドタドタとかけていく3人を見て怜が言う
怜
璃雨
璃雨
怜
璃雨
怜
璃雨
怜
璃雨
雨乃
雨乃
璃雨
璃雨
雨乃
遥
遥
遥
雨乃
遥
璃雨
璃雨
璃雨
こういうことがあると
改めて雨乃の死が近づいてると実感が迫り
怖くなるんだ
そして、時は待ってくれず
そのときは唐突にくる
怜
怜
璃雨
璃雨
怜
璃雨
雨乃
俺が駆け寄ったあと
少し遅れて水菜さんがやって来た
遥
遥
雨乃
怜
それから医者がくるのはすぐだった
雨乃
雨乃
璃雨
璃雨
璃雨
雨乃
離れて、と冷たい医者の声が聞こえたかと思えば
すぐに
ピーーーー
という嫌な音が鳴った
思った通りそれは
心停止を表す音だった
璃雨
璃雨
お葬式の間は
関わった人たちみんなが
放心状態だった
璃雨
璃雨
自分を責めてばっかりいた
泣いても叫んでも足りなくて。
死というものは
あまりにも実感がわかなくて
本当にもう会えないと思うと
辛くて辛くてたまらなかった
君がたまたま病気だっただけ
君がたまたま僕の初恋だっただけ
たまたま出会っただけの僕ら
たまたま付き合っただけ
そんな偶然が積み重なって僕らがいる''だけ''
だけど、それでももう
この恋は雨模様なんかじゃない
そう思った
璃雨
璃雨
翌日の学校は
みんなが静まり返っていて
あんなに無下にしていた藤沢さんも
湊都
湊都
怜
悔やんでも悔やみきれないようだった。
雨乃が藤沢さんを変えたのかと思うとまた泣けた
だけど…俺だってそうだけど
ずっとこのままじゃダメだ
雨乃が大好きだから
進まなきゃいけないんだ
あれから1年
俺の心はやっぱり雨乃にしか揺らがなくて
だけど──
璃雨
璃雨
怜
湊都
遥
1ヵ月に数回、必ずこの雨乃が好きだった海にみんなで来る
雨乃が死んでから始めてきたときは風が優しくてまた泣いた
湊都
湊都
怜
怜
璃雨
遥
璃雨
絶対に忘れない
僕らが過ごしたこの日々は
すごく大切な日々だった
そして今もずっと僕は
君を愛してる。
コメント
5件
遅くなってごめんね! ううっ…….°(ಗдಗ。)°.切なくて悲しいけど…でも、暖かくて優しくもある…ステキなお話だったよ〜!!!雨乃ちゃんと璃雨くん…仮のカップルのはずだったのに、いつのまにか両思いになってたんだね…。 最高だったーー!!!