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主。
主。
主。
主。
主。
主。
Tg
お母様に外出を禁止された日の昼間、おれは二人が出掛けている隙を見て 見慣れたサロンの店内に駆け込んだ
Kty
Kty
あらかじめことのあらましをおれから聞いてたKtyは、 サロンに滑り込んだおれの体を優しく受け止めながら尋ねた
Tg
Kty
Ktyはおれの体をぎゅっと抱きしめて、頭を撫でながら聞いてくる
Kty
Tg
Tg
Tg
Tg
Kty
Kty
Tg
できるだけ急がないといけないのにこういう時に限って 彼が店内に見当たらないので、おれが少し声を荒げていうと Ktyがとりあえず落ち着いて、とおれの混乱と動揺を止めてくれた
Kty
Tg
Tg
Kty
Kty
Tg
Kty
Ktyも急にいろんな情報を渡されて整理が大変なはずなのに、 一定の態度を崩さずにおれの揺らぎを受け入れて抑えてくれる彼に おれはこんな状況なのに「Kty大好き」なんて呑気に思ってしまう
Tg
おれがぶんぶんと自分の頭を振って自分の呑気な思考を追い払っていると、 こつこつと聞き覚えのある足音がしてAtくんが奥から出てきた
At
相変わらずぐーっと伸びをしているマイペースな彼に、 おれはフルスピードで突進した
Tg
At
At
Tg
おれは彼の肩をぶんぶんと揺すりながら、涙をいっぱい目に溜めて彼に訴える
Tg
At
Kty
Tg
At
Ktyの言葉にそう突っ込んだAtくんは、とりあえず座ってとおれに着席を促す
一旦深呼吸をして言われた通りに着席したおれを見て、 Atくんはこう尋ねてきた
At
Tg
Tg
At
そう言いながらふいっと目を逸らした彼に、 おれは少しイラッとして尋ねる
Tg
At
おれは不思議そうにしているAtくんの色違いの瞳をじっと射抜いて、 彼を頼るかどうかの最終決定を下すための質問をした
Tg
Mzたんのこと、どう思ってる?
At
Tg
Tg
Tg
Tg
At
彼自身も心当たりがあるのか、Atくんは目を伏せた
Tg
Mzたんを本気で愛して一生手放さないで、 絶対に幸せにするっておれに約束できる?
おれはMzたんの幸せが絶対的な優先条件だ
Mzたんはおれとお義父様以外に愛を注がれたことがないから、 きっと今Atくんに救われたらAtくんにしか愛を捧げられなくなる
そう考えた場合、Mzたんが幸せになれるかどうかは この男がいかにMzたんを愛しているかによって大きく変わるのだ
おれはAtくんのことが人として好きだし信じているけど、 今までの彼の恋愛スタイルを見ていると、 彼がおれの大切な義兄であるMzたんを幸せにできる確信が持てなくて
それを確かめるために、おれは彼に愛への覚悟を聞いたのだ
Atくんはしばらく考える素振りを見せたあと、 口を開いて彼のMzたんへの気持ちを教えてくれた
At
Tg
At
At
At
予想通りのAtくんの答えに少しがっかりして やっぱりAtくんはそう答えるか、と思ったおれを見て Ktyが息を呑んだが、Atくんは目を伏せたまま髪をいじりながら続けた
At
Kty
Tg
At
At
At
At
もしもAtくんが「俺なんか」で想いを吐露するのを終わらせたら、 おれはきっとAtくんを頼らなかったと思う
この人には大切なMzたんを任せられないって、 Mzたんを助ける作戦も一人で決行したと思う
だけど彼のMzたんへの愛はいつの間にかずいぶん大きく成長していて、 Mzたんを幸せにして愛情で満たすのには十分すぎるほどに 彼はMzたんへの深い愛を隠し持っていた
At
At
そう言って自嘲的に笑ったAtくんの心に “シンデレラ”と恋をするのは“魔法使い”ではないからという劣等感があるのは おれの予想通りではあるが、Atくんは思ったよりMzたんを深く愛していた
『物語通りじゃないから』という彼を縛ってきた鎖が、 少しだけ千切れかけているのが見えた
Tg
そう思ったおれは、Atくんの腕を引っ張って 「こっちを見て」と彼と強引に目を合わせる
そんなおれに彼は驚いた様子を見せたものの おれからその情熱と知性を秘めた双眸を逸らすことはしなかった
Tg
おれは彼の瞳をじーっと見つめ、 今までにないくらい真剣な声音で最後の質問を問う
その言葉、、、本気?
おれの質問を一言一句漏らさずに拾い上げたAtくんは、 おれの瞳を見つめながら迷う間もなくうなずいた
At
目の前の魔法使いに、誰よりも大切な義兄を任せてもいいと思った
Tg
Tg
Tg
Kty
Mz
義母に屋根裏部屋に閉じ込められてから数日間、 あらかじめ屋根裏部屋に持ち込んでおいた日常的な美容品を使って 毎日のケアを済ませたオレはベッドにうずくまってぼーっとしていた
義母と義姉が出かけている間にTgが食事を持ってきたりはしてくれるのだが、 屋根裏部屋の近くには義母たちが用意した人感センサーがあるので Tgは道順に気をつけなければいけないし オレは屋根裏部屋の中から動けないでいる
あれから何日経ったのだろうか、いつの間にかそれすらも忘れてしまった
Mz
そんな願望を口にしたところできっとAtは何もできないし、 彼も彼でこの恋を諦めて現実の世界に生きるんだろうななんて 当たり前のことを考えては落ち込んでしまう
Mz
そういえば昔、自分の境遇を灰かぶり姫に似ているな、と思ったことがある
愛を注いでくれた母親は幼い時に亡くなり、 その後父親が連れてきた継母と義理の姉は意地悪で、 灰かぶり姫はいじめられている
でもオレにはTgがいるし、あんなうじうじしたお姫様とは違うって その妄想を頭の片隅に捨て置いたことがあるが、今まさにこのオレの状況は 屋根裏部屋でシクシク泣いているあの日見下したお姫様とそっくりだった
Mz
でもオレは、状況が似ているだけで物語のお姫様じゃない
いきなり出会った誰かと1日で恋に落ちるなんてありえないし、 苦しい状況を王子様とキスをすれば打開できるわけでも 閉鎖された世界から誰かが連れ出してくれるわけでもない
“魔法使い“の物語の中での役割は、“シンデレラ“と結ばれることじゃない
Atのオレの人生の中での役割は、オレと結ばれることじゃない
それでも灰かぶり姫のおとぎ話の筋書きに抗おうと 今まで必死で足掻いてきたが、結局結末はバッドエンドだったのかもしれない
Mz
オレがそうこぼした時、屋根裏部屋の扉がコンコンと叩かれた
Mz
Mz
Mz
オレは全力で相手を警戒しながら、扉の向こうに向かって叫んだ
Mz
Kty
Mz
Kty
Kty
Mz
Kty
Mz
オレがそういつものノリで返した時、 Ktyが笑いながら言った
Kty
Mz
オレがKtyの唐突な指示に驚きながらもそれに従うと、 直後バリンッと音がして窓ガラスが弾け飛んだ
転がり込んできた石に誰かが窓を割ったらしいとわかったが、 その向こうで木の枝に腰掛けて足を組み、右手で石を弄ばせながら ニコニコしているその人物の顔を見て、オレは目を見開いた
At
Mz
何が起きたのかわからなくてオレが混乱している間に、 あらかじめTgからありかを伝えられていたらしい屋根裏部屋の鍵で Ktyがオレを閉じ込めていた屋根裏部屋の扉を開けた
Kty
Kty
At
Ktyの言葉を聞いたAtが、窓の外からオレを手招いた
At
おそるおそる窓から手を伸ばしたオレを、 オレの体にガラスが刺さらないように注意しながらAtが外の世界に連れ出す
ぎゅっとオレの体を抱きしめて撫でてくれたAtの手の暖かさに安心して、 オレは「ありがとう」も言わずに泣き出してしまった
Tg
Tgが何かの合図のように大きな声で言ったので、 それを聞いたKtyは慌てて窓からこっちに渡ってきて Atもオレを抱えたまま木から飛び降りる
At
Atはそう言うとオレを腕から下ろして 代わりにぎゅっとオレの手を握り、オレの手を引いて走り出した
見慣れたサロンに駆け込むと、何やら悶々としている様子のPrがいた
Pr
Mz
Mz
Pr
Mz
At
At
Mz
At
Pr
Mz
オレのことを大事にしてくれるのはありがたいが、 流石にそこまでやるのは二人が可哀想な気がしないでもない
Mz
Kty
Kty
三人とも目がマジだったのでちょっとオレがビビっていると、 ニッコニコの笑顔を浮かべた王子様が来店した
Ak
Mz
オレが言った“あいつら“というのはマジギレしている三人のことを 指していたのだが、彼は何を勘違いしたのか ちょっとだけ恐怖を感じる満面の笑みを浮かべてこう答えてきた
Ak
Ak
Mz
Pr
Ak
Pr
At
Mz
At
Kty
Mz
Kty
Mz
そうすっとぼける二人にオレが呆れていると、 優しくて可愛いところが魅力のオレの義弟がやってきた
Tg
Mz
Kty
Tgの姿を見てキラキラと空色の瞳を輝かせたKtyは、 彼の元に駆け寄ってぎゅーっとその小柄な体を抱きしめる
Tgなら優しいしあの二人と血のつながった家族だし そこまで酷なことは言わないだろうと思ったものの、彼はKtyに 抱きしめられたままにこりと笑ってオレの予想をぶち壊す言葉を放った
Tg
Tg
Mz
Pr
Mz
ツッコミが追いつかなくてオレが若干疲れながらも、 数時間前では予想もできなかった“いつも通り”で幸せな光景に オレが満たされた気持ちになっていると、ニヤニヤしながらAkが言った
Ak
At
Mz
Ak
Pr
Kty
Tg
若干ニヤニヤしてる四人にグイグイと押されて、 オレたちはサロンの奥まで押し込まれる
At
四人にいじられまくって少し頬を染めたAtが、 オレの手をぎゅっと握って言った
At
Mz
Atに手を引かれて連れてこられたのは、 採寸の時にもお邪魔したAtの部屋だった
Mz
At
Atはオレの言葉にそう返すと、自身のベッドの上に腰掛けた
オレもその隣に腰掛けて、Atの綺麗な瞳を見つめる
その場にはしばらく沈黙が落ちたが、しばらくしてオレは口を開く
Mz
At
Mz
Mz
Mz
Mz
Mz
At
Mz
Mz
Mz
Mz
At
オレたちが出会った日を思い浮かべているだろう彼に、 オレはにこりと笑いかけて物語の続きを話す
Mz
Mz
魔法使いと共に時を過ごすうちに、 いつの間にか魔法使いに恋の魔法をかけられてしまいました。
At
Mz
Mz
Mz
Mz
Mz
Mz
Mz
オレはぎゅっとAtの手に自分の手を重ねて、つぶやいた
Mz
あなたの全てが、どうしようもなく大好きです。
Mz
オレの言葉を聞いてそれを受け止めたAtは、 こんなふうに返事をしてきた
At
Mz
At
At
At
At
At
Mz
At
At
At
At
At
Mz
Atに採寸をしてもらったあの日を思い出しているオレに、 彼はにこりと笑いかけて物語の続きを話す
At
At
At
At
その言葉のせいで、 魔法使いはシンデレラを手放せなくなってしまいました。
Mz
At
At
At
At
At
At
At
Atは自身の手に重なったオレの手をぎゅっと握って、つぶやいた
あなたの全部が、どうしようもなく愛おしいです。
At
Atの言葉を聞いてそれを受け止めたオレに、 彼はこんなふうに続ける
At
At
At
彼はオレの手をさらに強く握って、言った
魔法使いにも、シンデレラを愛する権利をくれませんか?
Mz
At
Mz
オレはすり、とAtに体を擦り寄せながら、 自分よりちょっとだけ高い彼の頭に近づいて耳元で囁く
オレだけの、代えの効かない王子様でしょ。
Atが、少しだけ目を見開いた後微笑んだ
At
Mz
Atはクイッとオレの顎を傾け、その色違いの双眸に あの日と同じようにちょっとの欲望を揺らしながら言った
At
Mz
オレとAtの目があって、 彼の情熱的な赤い炎とそれよりもさらに温度の高い青い炎が、 オレの瞳に埋め込まれた琥珀をゆるりと溶かしていく
オレの瞳も負けじと言わんばかりに、甘く絡みつく蜂蜜のように 彼の美しい瞳の秘められたその熱をさらに甘くてどろりとしたものにした
Atがオレの腰をグッと引き寄せて、オレたちの距離はほとんどゼロになる
そしてゆっくりと瞳を閉じた魔法使いとシンデレラは、 お互いに相手の見せてくれる甘い世界と夢に浸りながら唇を重ねる
今度は一瞬だけじゃない、長くて甘くて幸せなキスだった
Mz
Atが唇を離したのが寂しくてそうごねると、 彼は優しく微笑んでオレを甘やかした
At
その唇を通して彼の愛が伝わってくるのが嬉しくて、 オレは何度も何度もキスをねだる
ちょっとだけ愛に飢えているオレの愛されたいという欲求を、 Atの愛がこれでもかというほどたっぷりと満たしてくれた
Mz
At
オレたちはお互いの体をぎゅっと抱きしめ、永遠の愛を誓った
「ねぇねぇ、君は知ってる?街角のサロンに住む魔法使いの話。」
『えー、なにそれ知らない。どんな話なの?』
「あの街角のサロンにはね、 どんな人間も美形に変えちゃう魔法使いがいるんだよ。」
『え、そうなの?今度行ってみようかな、、、』
「あ、そうだ。これも言い忘れてた。」
『どうしたの?』
「その魔法使いの隣には、 この世の誰よりも美しいシンデレラがいるんだって。」
『ふーん、、、それじゃあ、その魔法使いは王子様でもあるわけだ。』
昔々あるところに、魔法使いとシンデレラがいました。
彼らは“自分たちは物語通りじゃない”と 愛し合っているのに離れようとしましたが、 結局お互いが大事で離れられなかったんです。
そして、物語を乗り越えて愛という強い絆で結ばれたんです。
確かに物語通りではないかもしれない。
それでも彼らは幸せですし、自分の人生を歩んでいる。
そもそも、“物語”と“人生”ってなんでしょう?
“誰かの人生“は“その人が主人公の物語”ですし、 “物語”は“その物語の主人公の人生”なのではないでしょうか?
“人生“なんて十人十色のものに、“物語通り”なんて 作れるわけがないのではないでしょうか?
おとぎ話や本で描かれる物語のように 綺麗にまとまって何もかもがうまくいくことなんて滅多にありませんが、 それでも自分たちは“自分の人生”という“物語”を生きている。
あなただってきっと、“あなたの人生”という“物語“の主人公ですよ。
彼らの未来がちょっとした行動で変わったように、 “主人公”であるあなたの行動次第で、 “物語”はハッピーエンドにもバッドエンドにもなり得る。
……なーんて、綺麗事かもしれませんけどね。
主。
主。
主。
主。
主。
主。
主。
主。
この先ストーリー関連の豆知識集とストーリーの都合上 無視したところの補足なのでスルーしていただいても大丈夫です↓↓ (要約すると、「難しいことは考えないでね」ということですw)
主。
主。
主。
主。
主。
主。
それではみなさん、タップお疲れ様でした!!
コメント
17件
完結おめでとうございます🎉 最後の最後まで素敵な物語でした✨みんな、幸せになって良かったです💞最後の主さんの終わり方めっちゃ感動でした!素敵な物語をありがとうございました✨
完結おめでとうございまぁすっ !! 🥹🥹 あとまぜ結ばれて良かったです ... 😭😭 「シンデレラ」と「魔法使い」なのに物語を書き換えるような素敵な物語で完結まで見届けれて幸せです 🫶🏻💞 ak pr at 、mzたんの為に色々やってくれてるのやさおすぎて 🥹🥹 虐待だと牢屋までにしか入れれないんすね ... 死刑にしてやりたいって言うtgちゃんの気持ちわかる ... 😩😩
一人一人キャラがあって、みんな良かった!! まぜ太くん以外の思考が同じ過ぎるw あとまぜ結ばれて良かった!! みんな自分自身の意思があって一人の人間としてあって良かった!! 最後にシンデレラ(物語)見たいに語ってて良かった! 自分も感動できる物語を書いてみたい…