私の家は父子家庭だ
なぜ母がこの家には居ないのか尋ねたことがある
父は
と少し怒ったような口調で言った
でも、父の顔は言葉とは逆にとても悲しそうな顔をしていた
幼かった私でもこれは聞いてはいけなかったのだと
悟れるほどに
ある日突然母であるという人から電話が来た
ツーツーツー
初めて聞いた母の声は優しく
何故か涙が止まらなくなった
母は少し意味ありげな言葉を残し
私はお母さんって言えずに終わってしまった
少し時間が空いたあと
父が何かを決意した顔で帰ってきた
少し目の周りが赤くなっている
それからはさっき母と話したことが聞かされた
重要なのはそこからだった
母は今日亡くなった
私の聞き間違えじゃなければあの電話が切れた頃
最後
最後だから
母は私に会いたかった
と言ってくれたんだ
…私も
私も会いたかったよ
お母さん…
顔は知らないけど声は知ってる
優しい優しい私のお母さんだった
私は父が泣いているのに気づき
そっと手を握り共に泣いた
コメント
6件
タップ数少ないのにめっちゃ目頭がジワッって来た(( お父さんもずっと言われへんくて辛かったやろーし、お母さんもお母さんで辛かったやろーな()
(;ω;)(;ω;)…
最後の最後に電話をかけてきてくれたのは、きっとお母さんからの最期の愛情だね✨ それにお父さんに寄り添ってあげる主人公も優しくて…なんだかほんわかしたし、胸がじーんとなりました😳