これは、8月15日に起こった出来事。
ヒビヤ
ヒヨリ
ヒヨリ
この日、僕は君と慣れない都会の景色を眺めていた。
────ミーンミンミンミーン
ヒビヤ
ヒビヤ
ヒヨリ
ヒヨリ
ヒヨリ
ヒビヤ
ヒビヤ
憧れの都会。
憧れの旅。
────そして
憧れていた君の姿。
ヒビヤ
ヒヨリ
ヒヨリ
ヒビヤ
ヒヨリ
ヒヨリ
ヒビヤ
ヒビヤ
ヒヨリ
ヒビヤ
僕、雨宮響也は田舎の小学校に通っている普通の小学生。
そして、隣にいるこの美少女こそが朝比奈日和。
お金持ちで頭も良く、どこの女優よりも可愛い。
田舎の男共は皆、朝比奈日和に魅了された。
今では、『アサヒナー』と呼ばれるヒヨリのファンが絶えない。
・・・実は、その僕もアサヒナーであるのだ。
だが、一般のアサヒナーとは違う。
日和ぬいぐるみに日和ブロマイド、日和人形などなど日和グッズは大量に揃えてある(非公式)。
しかも、今はこうしてヒヨリの隣に立っている。
・・・そう!僕は今、ヒヨリと『二人きり』で旅行しているのだ!!
ヒビヤ
やばい。ニヤニヤが止まらん。
ヒビヤ
ヒヨリ
ヒヨリ
ヒヨリ
出ました。ヒヨリのスーパードライアタック。
告白してきた熱い男共を『きもっ』の一言で何人ぶった斬ってきたことか。
・・・だが!怯まない!
僕は一流アサヒナーだ。むしろ、このドライはご褒美である。
うん、そうだ!
ヒヨリ
ヒビヤ
ヒビヤ
ヒビヤ
ここで爽やか笑顔!
どうだ!!
ヒヨリ
ヒヨリ
か、カウンター・・・だと?
なんてことだ...あぁ、儚く散っていったアサヒナー達が悟った笑顔で天から迎えにきている・・・。
────ありがとう────
ヒヨリ
ヒヨリ
ヒビヤ
────手が
手がぁぁぁぁぁぁ!!!!!
ヒヨリの手とっ!手がっ!
あーーーーーーーーーーーーー!!!!!
僕がヒヨリと手を繋いでるよ!! おーい!おーい!やったー!
迎えに来ていたアサヒナー達は笑顔を一転させ、般若に変わっている。
知ったことか。
去るがいい、化け物共め。
ヒヨリ
ヒビヤ
ヒヨリ
ヒビヤ
ヒヨリ
ヒヨリ
ヒビヤ
やば、ぼーっとしてた・・・。
ヒヨリ
ヒビヤ
ヒヨリ
ヒヨリ
ヒビヤ
ヒヨリ
ヒヨリ
ヒビヤ
ヒヨリ
・・・なんだろうか。
雑貨屋さんかな?ピンクの看板に大きいハートのオブジェ。
・・・派手過ぎやしないか?
ヒヨリ
ヒビヤ
────ミーンミンミンミーン
蝉の声が空の狭い街に響いている。
・・・暑い。
ヒヨリ、まだ帰って来ないのかな。
ヒヨリ
ヒビヤ
ヒヨリ
ヒヨリ
ヒビヤ
な、なんだ・・・この荷物は・・・。
この短時間でこの量・・・?
・・・
僕の身体、持つのかなぁ・・・?
ヒヨリ
ヒヨリ
ヒビヤ
ヒヨリ
ヒビヤ
ヒビヤ
ヒビヤ
ヒビヤ
ヒヨリ
ヒヨリ
ヒビヤ
ヒビヤ
ヒヨリ
ヒビヤ
僕が大喜びしながら開けると・・・
ヒビヤ
ヒビヤ
ヒビヤ
中から出てきたのは・・・鮭の切り身に顔と手がついた奇妙なキーホルダーだった。
ヒビヤ
ヒヨリ
ヒヨリ
ヒヨリ
まぁ、ヒヨリから貰ったものだ。
家宝にしよう。
ヒヨリ
ヒビヤ
ヒヨリ
ヒビヤ
ヒヨリが指をさした方を見てみると、1匹の黒猫がいた。
ヒビヤ
ヒビヤ
ヒヨリ
ヒビヤ
ヒビヤ
ヒヨリ
ヒビヤ
ヒヨリ
ヒビヤ
ヒヨリ
ヒビヤ
ヒヨリはばっと走り出し、人混みを避けながら黒猫を追いかけていく。
僕はヒヨリを見失わないように必死に追いかける。
────そして、人通りの少ない道に面した公園に出た。
ヒヨリ
ヒヨリ
ヒビヤ
ヒビヤ
ヒヨリ
ヒヨリ
・・・僕が猫だったら逃げ出しているだろうなぁ。
そう思いながら猫を覗き込んで見た時だった。
ヒビヤ
・・・猫の目が・・・赤く光ったのだ。
ヒビヤ
ヒヨリ
ヒビヤ
ヒヨリ
ヒヨリ
ヒビヤ
ヒヨリ
ヒヨリ
ヒヨリ
ヒビヤ
ヒヨリ
ヒビヤ
ヒビヤ
ヒヨリは僕の声に振り返ることなく走り出す。
ヒビヤ
走り疲れた僕はヨタヨタと後を追いかける。
────ヒヨリは黒猫のかけていった信号を渡る────
ヒビヤ
ヒビヤ
ヒビヤ
────赤くなった信号に気づかずに君は飛び出した。
────キキィィィーーーッ!!
ヒヨリ
ヒビヤ
僕は夢中になって地面をかける。
────だが、無惨にも彼女は手を伸ばした僕の目の前から消え去ってしまった。
ヒビヤ
────────────────
────ヒヨリ────
────守れなくてごめん────
────ごめん・・・────
────カチッカチッ・・・
・・・時計?
この音は・・・??
ヒヨリ
ヒヨリ
ヒビヤ
ヒビヤ
ヒビヤ
ヒヨリ
ヒヨリ
ヒビヤ
────あれ?僕、何をしてたんだっけ?
・・・思い出せない。
ヒヨリ
ヒビヤ
ヒヨリ
ヒビヤ
ヒビヤ
あのピンクの看板・・・ハートのオブジェ・・・。
ヒヨリ
ヒヨリ
ヒビヤ
ヒビヤ
ヒヨリ
ヒヨリ
ヒビヤ
ヒヨリ
ヒヨリ
ヒヨリ
ヒビヤ
ヒヨリ
ヒヨリ
ヒビヤ
ヒビヤ
・・・にしても、さっきの店・・・凄く嫌な予感がした・・・何だったんだろう。
────────────────
ヒヨリ
ヒビヤ
ヒビヤ
ヒヨリ
ヒヨリ
ヒヨリ
ヒビヤ
ヒビヤ
────ざわざわ・・・
ヒビヤ
ヒビヤ
ヒヨリ
ヒビヤ
ヒヨリ
ヒヨリ
ヒヨリ
ヒビヤ
ヒビヤ
ヒビヤ
ヒビヤ
ヒビヤ
────ギギギ・・・ガシャーーンッ!!
────キャーーッ!!
炎天下に揺れた街中。
そこに人々の悲鳴がこだました瞬間だった。
ヒヨリ
ヒビヤ
目の前にいたヒヨリの身体に・・・
細長い鉄柱が突き刺さって貫通した。
ヒヨリ
ヒビヤ
────キャーッ!人が!!
────救急車!!!
つんざく悲鳴と風鈴の音が蝉の声をかき消して響き渡る。
ヒビヤ
ヒビヤ
ヒビヤ
ヒビヤ
────もう、やめてくれ。
こんなの、見たくない。
君が死ぬ姿なんて・・・
もう、見たくないんだ。
『何泣いてるのよ』
君がそう言って笑ったような気がした。
────────────────
何度も何度も繰り返す。
君は何度も死んでしまう。
────なんで?
なんで、こんな事になったんだ?
クロハ
ヒビヤ
ヒビヤ
クロハ
クロハ
ヒビヤ
クロハ
クロハ
ヒビヤ
クロハ
クロハ
ヒビヤ
ヒビヤ
ヒビヤ
クロハ
クロハ
ヒビヤ
クロハ
クロハ
ヒビヤ
クロハ
クロハ
ヒビヤ
────僕は思い出す。
走る黒猫。
あとを追いかけて飛び出すヒヨリ。
血飛沫の色。
君の香り。
嘲笑う陽炎。
────なんだ、もうとっくに解っていたじゃないか。
僕はふっと笑みを零した。
ヒビヤ
そして、ありがとう────
────────────────
────キキィィィーーーッ!!
ヒヨリ
トラックがヒヨリに突っ込もうとしたその時、僕の足が強く地面を蹴った。
そして、そのままヒヨリの腕を引き寄せて飛び出す。
ヒヨリ
────グシャッ!!
鈍い音がして、同時に息が出来なくなる。
ヒヨリの瞳ときしむ身体が光を乱反射させて目を眩ませる。
遠くに、『アイツ』が立っているような気がして、僕は嗤って言ってやった。
ヒビヤ
もう、ヒヨリに手出しはさせない。
僕は安心してゆっくりと目を瞑る。
ヒヨリ
ヒヨリ
ヒヨリ
ごめんね、ヒヨリ。
────幸せに、なってね────
そして、意識がなくなった。
────────────────
煩いほどの蝉の声が私の鼓膜を刺激する。
ヒビヤが死んだあの日を思い出しながら、息を吸い込んで飛び出した。
────落ちてくる鉄柱に身を投げながら、アイツの情けない顔を見る。
本当、最後まで鬱陶しいんだから。
ばーかっ。
それが身体を突き抜けた瞬間、蝉の声が一斉に止んだ。
────────────────
こうして、僕達は繰り返す。
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キモイ