テラーノベル
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トゥントゥントゥン♪ タンタンタン♪
ラ・カンパネッラ、1831年から1832年にかけてフランツ・リストによって作曲された、ピアノ曲
最終的に1851年に改訂されたものが有名で、ピアノ曲の中でも超絶技巧が必要とされる稀代の名曲だ
私はその曲を得意武器として、世界で活躍する…はずだった
ところが私は不慮の事故で右手の小指を怪我してしまい、上手く動かせなくなっていた
上原綾音
このラ・カンパネッラは厄介なことに、私が怪我をした右手の小指を酷使しなければ弾けない曲だ
もう、私には弾くことはできない…
???
???
上原綾音
窓の外から知らない声が聞こえる。私はカーテンを開け、外を確かめようとした
すると、目の前には全身銀色の人型の生物
世間一般の認識で言う、宇宙人が立っていた…!
上原綾音
上原綾音
な、何なんだ、この生物は?! 怖い!気持ちが悪い!!
レスティア・フランク
レスティア・フランク
レスティア・フランク
上原綾音
何を言っているの?というか、こいつ片言だけど日本語を喋って…
レスティア・フランク
レスティア・フランク
レスティア・フランク
レスティア・フランク
上原綾音
上原綾音
上原綾音
レスティア・フランク
レスティア・フランク
レスティア・フランク
レスティア・フランク
そういって、彼(?)は頭のてっぺんをパカッと開け、中から幾本かの触手をくねくねと踊らせた
友好的…なのか?
レスティア・フランク
レスティア・フランク
ポロポロポロポロポロロロ~ン♪
ん?なかなか筋のいい音が鳴るじゃないか
きちんと基礎は練習済みというわけか、しかし…
上原綾音
上原綾音
上原綾音
上原綾音
それに彼には指が片腕につき13本ある
10本の指でせせこましく鍵盤を叩く地球人にとって、なんとも羨ましいことやらなんとやら
レスティア・フランク
レスティア・フランク
彼はそれを証明するために、自分の皮膚をアメーバのようにみよ~んと伸ばして見せる
上原綾音
上原綾音
レスティア・フランク
上原綾音
上原綾音
レスティア・フランク
レスティア・フランク
レスティア・フランク
レスティア・フランク
レスティア・フランク
レスティア・フランク
彼はまた頭をパカッと開き、幾本もの触手をくねらせた
皮膚が伸びたり、頭から触手が出たりするのが役に立つ、こいつの星とはいったい…?
私は地球が滅びても、絶対にこいつの住む星に行くもんかと心に誓った
ポロポロポロポロポロロロ~ン♪
…にしてもだ
上原綾音
上原綾音
上原綾音
上原綾音
上原綾音
上原綾音
上原綾音
レスティア・フランク
上原綾音
上原綾音
上原綾音
上原綾音
上原綾音
上原綾音
上原綾音
上原綾音
上原綾音
上原綾音
非常に残念なことだが、仕方がない
この曲は、それこそ私が血の滲むような努力をして、ようやく手にできた曲なんだ
レスティア・フランク
そういって、彼は左右の指を引っ張り、そして引き千切った
さっきまで指があった場所からは、赤色の液体がドクドクと流れ出ている
上原綾音
上原綾音
レスティア・フランク
レスティア・フランク
上原綾音
上原綾音
レスティア・フランク
彼はどこからか取り出した液体を血の出ている箇所に塗っていく
みるみるうちに血が凝固し、止まった
上原綾音
上原綾音
レスティア・フランク
レスティア・フランク
レスティア・フランク
レスティア・フランク
そういうと、彼はまたピアノを弾き始めた
ポロポロポロ~ン♪
さっきまで計26本で奏でていた音の数が明らかに減っていた
それはそうだ。今は私たちと同じ10本の指で音を出しているのだから
それでも彼は一生懸命に少なくなった指の分も音を出そうとしている
音の数は減ったが、さっきまでよりも良い音色になっているような気がした
頭からは相変わらず触手がうねうねと飛び出している
そんな彼の演奏は果たして人の心を打つものになるのだろうか?
宇宙人のピアニスト、なかなか面白いものが聞けそうだ
後編に続く…