私の通っていた高校では、毎年10月に全校マラソンという行事をやっていた。
1年〜3年まで、1000人近い生徒が、学年ごとにわかれて30分ごとにスタートする。
それぞれ、1年が土手、2年が街路、3年が山の中。
最後は学校の校庭に戻ってきて、ゴールインするのだ。
3年生の時の事だった。
私は陸上部で走るのがとても得意だったから、先頭を走っていた。
だが、ふと見ると、私の前の方を誰かが走っている。
神楽
神楽
もう一度見てみると、そこには誰もいなかった。
神楽
やがて、山小屋に着いた。前も後ろも誰一人いない。ただ、私だけがタッタッタッタッと山道を走っていた。
神楽
1年生の時も、2年生の時も、私はいつも2番だった。1番は佐藤君だった。
佐藤君の足の速さには、どんなに頑張っても追いつけなかった。
最後の山小屋を後にして、しばらくすると、校門が見えてきた。校門を入れば、ゴール。高校生のマラソンは一番でゴールできる。
神楽
両手をたかだかと上に伸ばして、ゴールに飛び込んだ。
先生
先生がポンと私の肩をたたいた。
神楽
先生
神楽
先生
新しい先生だったから、生徒の名前まではよく知らなかったらしい。
神楽
…と、その時、私はある事を思い出した。
神楽
私はもう一度山を越えて、やや小高い丘に登っていくと、そこには佐藤君の墓があった。
墓の前に立った時、私は…
神楽
…っと思わず叫んでしまった。そこには、佐藤君の履き慣れた運動靴と、はちまきがおいてあった。
運動靴には新しい泥が付いており、はちまきには汗がにじんでいた。
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