愛海
愛海
タクシー運転手
タクシー運転手
愛海
仕事の帰り道だった。
付き合いだった飲み会の後でもう深夜の2時を回った頃。
疲れた濛々とする中早く帰りたい気持ちを嘲笑うかのように
長い時が流れていた。
愛海
タクシー運転手
なにかおかしいとは感じてたんです。
愛海
ふと体を乗り出し、料金メーターを見ようしたところ、
ふいにバックミラー目がいきました。
そこには青白く光る、小さな少女が後ろの道路にしゃがみ込んでいたのです。
少女
愛海
バックミラー越しに目が合うなんて?
私は一気に恐怖に襲われました。
愛海
タクシー運転手
愛海
少女
少女は立ち上がり、薄笑いを浮かべながらどんどん、どんどん近づいてきたんです。
愛海
愛海
タクシー運転手
タクシー運転手
愛海
運転手がニヤリと笑った瞬間、
この信号は一生変わらないものだと気付きました。
愛海
愛海
私はタクシーの扉を開け、無我夢中で走り続けました。
ここは私の生まれ育った田舎町である程度の建築物は把握できてたんです。
愛海
私は後ろに追われる気配を感じながら、ある古いマンションへと逃げ込みました。
少女
愛海
階段を駆け上がり息も絶え絶え、
なのに少女はあざ笑うかの如くスイスイと追いかけてきました。
何かがおかしい。こんな状況。
まるでドラマの中にいるような…
愛海
愛海
そう。ここは私の
「夢の中」
だったんです。
少女
私の寝ている姿が思い浮かびました。
そして
愛海
愛海
何回も唱えますが
固くバリアのようなもので閉ざされてるかの如く、
瞼が閉じたまま。
この空間に閉じ込められているような気持ちでした。
少女
少女
少女
愛海
彼女はたんたんと楽しそうに話
まるで捕まえた虫を嘲笑うように…
愛海
少女
少女
愛海
愛海
少女
訳のわからない少女の正体で思い浮かんだのがただ一つ。
「幽霊」
ではないかと思いました。
そうなるとこの状況は?
このまま捕まればどうなるの!
そしてはっと1つの事に気付くのです。
少女は
寝ている私の体を
現実の私の体を乗っ取ろうとしている
のではないかと…
愛海
捕まったら、私が私でいなくなる?
私消えちゃうの?
それとも、この少女にのっとられたまま、檻のようなこの世界で暮らすの?
なんとも言えぬ恐怖がありました。
それはまさに殺人鬼に追われているような気分。
愛海
愛海
ついに行き止まりに来てしまったんです。
少女
少女
愛海
愛海
愛海
少女
じりじりとゆっくり近づいて来る少女
私はめいいっぱいフェンスのギリギリまで逃げました。
少女
少女
下を見れば9階建くらいの高さ。
どうするも逃げ場がなかったんです。
愛海
愛海
愛海
愛海
愛海
愛海
愛海
愛海
愛海
愛海
愛海
迫り来る恐怖の中、
ある事に気付きました。
「ここは"私の"夢の中である事。」
きっと、明晰夢のように
私だって何かしら力を使えるはず!!
(明晰夢⇉夢を自在に操る事のできる夢)
ばっ!!!
私は勢いよくフェンスを飛び越えました。
きっと翼とか生えるだろう…
きっと何かしらの力を使ってあいつに勝つ事ができるだろう…
だって!これは「私の夢」なんだから!!
落下した経験なんてないのにね。
地面までの速度は早かった。
ぐしゃっと自分の肉が潰れる音を聞き
淡く朦朧と薄れゆく意識の中で
少女が
少女
と笑うのが見えた…
パーン!っとバリアが破裂したかのように目が覚める。
汗だくの体とか呼吸状態の息切れ
なんとも言えない恐怖と震えが止まらず、起きたのは午前5時半でした。
これが最初の悪夢で
これがはじまりでした。
これは作り話のようで
実際に私が経験した本当の悪夢
週に2.3度。
多い時には続けて何回も…
焼死、溺死、感電死、転落死…
もろもろ色んな死に方で死んだ
悪夢のお話です…。