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豆腐@かんひゅ
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しけったわたあめ🍬
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街明かりに照らされていない空がわずかに残った 音を吸い込んでいっているような夜だった。
いつもより星が鮮明に見え、窓の外の街の角張った陰影が空に混じって溶け込んでいた。
普段は明るさと熱に満ち溢れたこの島は静寂に包まれ、
人々はみな街のあらゆる明かりを消し、日がな1日息を潜めて過ごす。
______悪霊に、ここには誰も居ないと思わせるためだ。
バリヒンドゥー教の暦、サカ暦の新年に当たる日 『ニュピ』には、古くから悪霊が外を闊歩するという伝承が残っている。
午後6時から翌日の午前6時までは誰も絶対に外に出ないこと。
火や電気の使用を最小限にとどめること。
静かに過ごすこと。
それがずっと、この島の掟だった______
バリは窓枠に手をかけ、力を押さえながら窓をゆっくりと引いた。
砂を噛んで建付けの悪くなった硝子窓はがり、と耳障りな音を立て、横に移動した。
そのまま窓枠に手をかけ、空を見上げる。
熱帯の夜の生ぬるい夜気が室内に入り込み、虫の声がより一層鮮明になる。
今夜は満月だそうだから。それならば一目見てみよう、と。
今はまだ昇り道中の月が東の空を照らしている
______はずだった。
東の空が、いや、厳密には月の一部とその周りが。
不穏を帯びた赤銅色に染まっていた。
バリ
本来ならば月食の時にしか見られない景色。
それが、なぜか今日起こっているのだった。
バリが空を茫然と見上げている間にも、赤銅色はじわじわと月を蝕んでゆく。
よく見るとその赤茶けた影は人の横顔にも、獣の顔のようにも見える。
霧のようにぐにゃぐにゃと形を変えているうちに影はくっきりと輪郭を取り始めていた。
水が紙に染み込んでじわじわと広がっていくみたいに。
あるいは、月を呑み込んでいくみたいに。
どうやら人の顔___のようだけれど、獰猛な獣のような、何か根源的な恐怖を揺さぶってくるような様相を呈していた。
このくらいの日が沈んでまだ間もない時間は逢魔時、と呼ぶらしく
暗くなって人々の姿形が分からなくなり、それが魔物かもしれない、といったことが転じて
「魔物に会う時間」という認識になったそうだ。
だからこの時間帯が一番いけなかったのかもしれない。
やがてソレはくっきりと形をとって。
己をじっと見上げてくる少女に目を合わせた。