花梨
私には、
花梨
なんでも話せる人がいた。
花梨
親にも、
花梨
友達にも、
花梨
親友にも、話せないことを話すことが出来る人がいた。
花梨
長野に住む、母方のおじいちゃんだ。
花梨
正月と夏休みにしか、会えないから、
花梨
話せる時に、いっぱい話した。
花梨
中学生の時、
花梨
人間関係に悩んでた時も、おじいちゃんに相談した。
花梨
おじいちゃんは、
花梨
「無理しなくていいよ」
花梨
「花梨は、花梨らしく生きていきな?」って言ってくれた。
花梨
周りの人とは違う返し方をしてくれた。
花梨
おじいちゃんに言われたように、
花梨
私は、私らしく生きている。
花梨
中学三年(現在高2)になったとき、
花梨
おじいちゃんの命が、長くない事を知った。
花梨
夏休みに会ったときは、
花梨
入院していた。
花梨
その時も、いっぱい話した。
花梨
受験の事、新しく出来た仲間や友達の事。
花梨
冬休みに会ったときは、
花梨
歩くのがやっとだった。
花梨
その時も、たくさんたくさん話した。
花梨
受験に受かったこと、中学が楽しい事。
花梨
そして最後に、おじいちゃん言ったんだ。
花梨
「無理せず、花梨らしく、頑張って、生きるんだよ」って。
花梨
二月に、突然連絡が入った。
花梨
「もう長くない」と
花梨
急いで、長野に行った。
花梨
おじいちゃんは、意識朦朧していた。
花梨
おばあちゃんとママは、泣いて、おじいちゃんの手を握って、
花梨
私は、どうしていいか分からなかった。
花梨
おじいちゃんと、2人きりになれる時があって、
花梨
私は、手を握ってこう言った
花梨
「おじいちゃん、今までありがとう、大好きだよ」と
花梨
数分後、おじいちゃんは息を引き取った。
花梨
葬式とかも済んで、落ち着いた時、
花梨
私は、一滴の涙を流していない事に、気が付いた。
花梨
自分が嫌になった。
花梨
大好きな人を亡くしたのに、泣けない自分がいる…。
花梨
こんな悩みも、もう誰にも話せない…。
花梨
“もしも死んだ人に会えるなら”
花梨
私は、長野のおじいちゃんに会いたい