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春なのに、それは少しだけ寒い日だった。 校門の前は人で溢れていて、笑い声がやけに軽い。 写真を撮る声。 名前を呼び合う声。 泣きそうな声。 全部が混ざって、遠くに聞こえる。
夕陽
夕陽
筒に入った卒業証書をカバンにしまいイヤフォンを取り出す。
夕陽
夕陽
もう一度、門の方に目をやると環の隣に女の子がいる。 少し背の低い子。 よく笑う子。 環が何か言って、 その子が笑う。 いつもの顔だった。
夕陽
環の目が、夕陽を捉える。 視線が合った。
環
何か言いかけたみたいに、ほんの少しだけ動いた気がした。
環の彼女
袖を引かれて、環はそっちを見る。 不自然なまま歩き出した。
夕陽
夕陽は取り出したままだったイヤフォンをつけ音楽を再生する。
夕陽
見慣れた帰り道。 何度も並んで歩いた道。 信号も、電柱も、全部同じなのに。 これからは隣に誰もいない。
夕陽
それからどれだけ歩いたのか、どこに寄り道したのか覚えてない。 卒業式は午前中に終わったのに見上げた空が自分の名前みたいだなと思った。
夕陽
ほれ見てみ、 本とか映画で見るストーリーなんて嘘やろ。
夕陽
夕陽
ー2年の春ー
クラス替えの紙を見て、また同じかと思った。 環が隣に立つ。
環
環
教室に入ると、もう既に環は輪の中心にいて空気が出来上がっていた。
夕陽
環
当たり前みたいに言う。 一瞬、周りが静かになった気がした。 なんで名前で呼ぶんだろう、と思う。 でも聞けなかった。 どうでもいい顔で頷く。
夕陽
環
夕陽
それだけの事なのに、胸がざわついた。
ー文化祭準備の日ー
教室がやけに騒がしくて、夕陽は廊下に出ていた。 窓の外をぼんやり見ていると後ろから声がする。
環
環
夕陽
環
夕陽
それだけ言って、「ほら、行こ」と納得しない夕陽の手首を軽く引く。
夕陽
人混みに戻る途中、環の背中を見ながら思う。
夕陽
そう思ったのに、少しだけ嬉しかった。 それが腹立たしい。
体育館は蒸し風呂みたいで、バイトがなかった夕陽はバスケ部の練習を何の気なしにぼんやり眺めていた。
夕陽
夕陽
夕陽
環
夕陽
ふと目が合う。 環がボールを止めて、手を振った。
夕陽
自分以外に見当たらなかったので、夕陽はダルそうに手を振り返した。
ー練習終わりー
環は汗だくのまま隣に座る。
環
夕陽
環
夕陽
環
環
夕陽
環
夕陽
環
そう言って連れて来られたのはコンビニだった。
環
夕陽
環
そう言って無理やりスポーツドリンクを渡された。
夕陽
夕陽
環
夕陽
環
夕陽
夕陽
1度渡した凍ったスポーツドリンクを奪っては自分の首や脇にあてがう。
環
夕陽
環
夕陽
夕陽
環
夕陽
夕陽
夕陽
環
夕陽
環
夕陽
ダル絡みを繰り返した後で結構溶けたそれを渡される。
夕陽
環
風が痛い日。 夕陽は手をポケットに突っ込んで歩いていた。
🏃タッタッタッタッタッ
環
夕陽
振り向いた瞬間、首に何かがかかる。
夕陽
環のマフラーだった。
環
夕陽
外そうとすると、軽く止められる。
環
夕陽
夕陽
環
夕陽
そのまま並んで歩く。 何も話さない時間。 なのに、居心地がいい。
信号待ち、ふと聞く。
夕陽
環は"ん?"って顔をした。
夕陽
笑われると思った。 適当に流されると思った。 でも環は少しだけ考えて、こう言った。
環
夕陽
その言葉が静かに音もなく心の奥に落ちる。 その日から夕陽は気付いてしまう。 バイトのない日の帰り道が楽しみな自分に。 環の声を探してる自分に。
夕陽
夕陽