ズット、イッショダヨ

さなえが貰ったのは 木でできた人形

それからたくさん遊んだ。

どこにいくにも一緒で 小学生になっても ずっと一緒だった。

ボクはずっとこの子と一緒だった。

でも、さなえちゃんが 中学生になったとき

ボクは段ボールに入れられて押し入れにしまわれた

それからずぅっと押し入れの中で生活した…

さなえちゃんはもう人形遊びなんてしない

それはボクにも分かっていた

それでも また遊べると信じて待っていた

でもさなえちゃんはもう 一人暮らしをするらしい

ガラッ

久しぶりに押し入れのドアが開いた

ものすごく久しぶりに 段ボールの外から出た。

何年ぶりにさなえちゃんの顔をみたんだろう…

さなえちゃんはもう大人だった

さなえちゃん！ お願い！！

ボクは、置いていかれるの？

さなえちゃんと一緒に行けないの？

さなえちゃんはボクのこと もう要らないの？

ボクはさなえちゃんとずっと 一緒だったのに…

家を出ていく日

離れててもボクたちは

ズットイッショダヨ