ノリオ
んん…

ノリオ
誰だ、こんな時間に…

ハナ
先生…

ノリオ
ハナくんじゃないか、どうしたんだ

ノリオ
帰ったんじゃなかったのか?

ハナ
先生、あの、実は…

ハナ
…ここではなんですので、お邪魔してもいいでしょうか

ノリオ
大事な話があるのか?

ノリオ
分かった、入りなさい

ハナ
実はですね、先生…

ハナ
あの薬を、私にもらえないでしょうか…!

ノリオ
な、何を言っているんだ!

ノリオ
あの薬は今は保管しておくと決めただろう

ノリオ
今使えば、大変な騒ぎになるぞ!

ハナ
ええ、それは分かっています…

ハナ
けれど先生、私、どうしても亡くなった父を生き返らせたいのです

ハナ
数年前に亡くなって、遺体は今も保管センターに残っています

ハナ
父を生き返らせたい一心で、今日まで研究してきたんです!

ノリオ
そうだったのか…

ノリオ
君にそんな事情があったなんて、知らなかった

ハナ
…はい、むやみに言う話でもないと思いましたから

ハナ
でも、蘇生薬が完成したのなら、話は別です

ノリオ
ううむ…

ノリオ
しかし保管センターで使えば、大事だぞ

ノリオ
もし他の人にばれたら、大騒ぎになってしまう

ハナ
そこは…なんとかしますから…!

ハナ
お願いです、先生

ノリオ
いや、悪いが君の頼みは聞けない

ノリオ
我々にできることは、量産化を目指すことだ

ノリオ
そしたらいつか、君のお父さんも…

ハナ
無理なお願いを言っているのは承知です

ハナ
先生…でも私、どうしても諦められないんです

ハナ
だから…

ノリオ
ハ、ハナくん!いったい何をしているんだ!

ハナ
私にできることと言ったら、

ハナ
研究のお手伝い以外では、もうこれくらいしかないんです

ハナ
精いっぱい、がんばりますから…

ノリオ
が、がんばるも何も…!やめなさい!

ノリオ
こら、こっちに来てはいけない!

ノリオ
やめなさい!

ハナ
やめません!

ハナ
私、本気なんです!

ハナ
ほ、本気で…父を…

ノリオ
ハナくん…

ノリオ
泣くんじゃない、とりあえず落ち着くんだ

ノリオ
君の気持ちはよく分かったから…

ハナ
本当ですか?

ハナ
じゃあ…

ノリオ
ああ、これまで君はよくがんばってくれたからな

ノリオ
今日の成果も、君なしでは成しえなかったことだ

ノリオ
極秘裏に、君のお父さんを蘇らせよう

ハナ
あ…ありがとうございます!先生!

ハナ
本当に…ありがとうございます…!

ノリオ
わっ、こら、抱きつくんじゃない!

ノリオ
とりあえず、服を着なさい!

ハナ
あっ…ごめんなさい、先生…私ったら…

ノリオ
…まったく、こういうことはもう勘弁してくれ

ノリオ
助手に手を出しただなんて噂になったら、研究人生は終わりだ

ハナ
そうですよね…ごめんなさい

ハナ
でも私、どうしても…必死で…

ノリオ
まあいいさ、何事もなかったのだから

ノリオ
じゃあ研究室に向かおう

ノリオ
よし、研究所に着いたな

ハナ
冷凍庫は先生にしか開けないんです

ハナ
お願いします、先生

ノリオ
ああ、分かっている

ノリオ
ここに指を当てて…と

そのとき、頭に衝撃が走り、ノリオの体は吹き飛ばされた
ノリオ
うわっ!

ノリオ
い、今のはなんだ!?

頭を押さえてどうにか顔を上げると、そこには数人の男たちがいた
そのうちの1人が、どうやらノリオの顔を殴りつけたようだ
ノリオ
な、なんだ、お前らは!?

ハナ
ちょっとあんたたち、出てくるのが早いわよ!

ハナ
まだ冷凍庫を開けてないじゃないの!

暴漢
へへへ、わりぃわりぃ

暴漢
ぶん殴りやすそうな顔してたから、つい

ノリオ
ハナくん!?これはいったい…

ハナ
どうもこうもないよ

ハナ
これ以上殴られたくなかったら、薬をよこしなさい

ノリオ
こ、こいつらは君の仲間か!?

ノリオ
君は…こんな姑息な手を使ってまで薬を…!

ノリオ
さっきの父親の話も、ウソだったんだな?

ハナ
ええ、ウソに決まってるじゃない

ハナ
私の父親は今も家で呑気に酒でも飲んでるわよ

ハナ
ほら先生、さっさと冷凍庫を開けなさい

ノリオ
こんなバカげた真似を…

ノリオ
お前たちなんかに、渡すわけないだろう!
