TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

 

  ──柔らかい朝の光がカーテン越しに差し込んでいる。  

  眠たげに目を擦りながら、 魅音がふらりと部屋から出てきた。  

  足取りはまだ不安定で、 寝ぼけたような顔のままリビングへと向かう。  

憂唯

おはよ、魅音

  キッチンから声をかけた憂唯が、 ゆっくり火を弱めて鍋をかき混ぜた。  

  香ばしいスープの香りが部屋に広がっている。  

  魅音はぼんやりとした目のまま、 声のする方へ視線を向ける。  

魅音

……にい、ちゃん

  魅音の目元にはまだ不安と怯えが混じっている。  

  小さくあくびを漏らしたあと、 周囲をちらと見回してから俯くように立ち尽くしている。  

憂唯

スープできてるから、あったかいうちに飲もう

  そう言って椅子を引くと、 憂唯は自分の足をポンポンと叩いた。  

憂唯

ほら、ここ座って?

  魅音は数秒、その場で躊躇った。  

  昨日、怒らせてしまったのに、優しいから。  

  足元で冷たく揺れる鎖がカランと音を立て、 身体がピクリと強張る。  

魅音

……やだ

  声は小さく、目は逸らしたまま。  

  けれど、憂唯がそんなことを許すはずもなかった。  

憂唯

魅音

  優しいけれど逃れられない声で自分の名を呼ぶ。 その声に、魅音の肩がピクリと揺れた。  

魅音

……ぅん…

  か細く返事をしながら、 魅音はそろりと憂唯の膝に腰を下ろした。  

  その動きは、まるで触れると崩れてしまう 硝子細工のように慎重で——  

  だけど、それでも魅音は逃げなかった。  

  憂唯はそんな魅音をしっかりと支えて、 片手でそっと頭を撫でる。  

憂唯

まだ眠い?

魅音

…ん……ちょっとだけ…

  魅音の声は震えていた。  

  その震えが伝わるのか、憂唯の手がそっとお腹に回り、 包むように優しく抱き寄せられる。  

憂唯

今日はね、コーンスープだよ

憂唯

魅音、好きだっただろ?

  その言葉に、魅音の目が少しだけ開いて、 ほんのわずかに唇がゆるんだ。  

魅音

……すき

憂唯

だよな、知ってる

  憂唯は用意していたマグを片手に、 スプーンでそっとスープをすくった。  

憂唯

はい、あーん

魅音

…ぁ…ん……

  魅音は少し恥ずかしそうに、でも拒まず口を開ける。  

  ひと口含んだ途端──ふわりと優しい味が舌に広がった。  

魅音

……おいしい

憂唯

よかった

  憂唯は静かに笑って、もう一口分すくう。  

憂唯

ほら、まだあるよ

魅音

……うん、

 

ŧ‹"ŧ‹"ŧ‹"ŧ‹"

 

魅音

お腹、いっぱい……

黎翔

あと少しあるけど、、

憂唯

もうちょっと、がんばれる?

  魅音は差し出されたスプーンを見て、 ほんの一瞬ためらった。  

  けれど次の瞬間、ふいに憂唯の胸へと身体を預ける。  

憂唯

……今日は甘えん坊だな

  憂唯は微笑みながら、そっと魅音の髪を撫でる。  

魅音

1人…やだったから……

  この一言に、憂唯は心当たりがあった。  

憂唯

なんかあったか?

  その声は試すようでいて、どこまでも優しい。  

魅音

(ちがう……甘えたいわけじゃないのに……っ)

  魅音は胸の奥がぎゅっと締めつけられて、唇を噛んだ。  

魅音

なんでもn……

憂唯

怖い夢でも見た?

  言葉を遮るように憂唯がそう言った。  

魅音

…わかるの?

憂唯

分かるよ

憂唯

魅音のことなら、なんでも

魅音

……怖い夢、見た…

  目を伏せたまま呟く魅音を、憂唯は優しく抱きとめて、 耳元で低く囁いた。  

憂唯

どんな夢?

魅音

暗いところに、一人にされた時の夢……

  声は震えて、思い出しただけで胸が詰まる。  

憂唯

(やっぱり…)

憂唯

……あぁ、懐かしいな

憂唯

怖かった?

魅音

……(頷

  憂唯の腕の力が、さらに強くなる。  

憂唯

……そっか

  低く囁きながら、髪に口づけを落とした。  

憂唯

……まぁ、そうだよな

  指先が優しく前髪をながす。  

  けれどその目は、底が見えないほど冷たかった。  

憂唯

……でも、結果的に俺から離れられなくなったんだろ?

魅音

…ッ

  魅音の胸の奥がぎゅっと縮む。  

  その言葉は優しいのに、ひどく冷たい刃みたいに響いた。  

憂唯

……はは、よかったじゃん

  笑いながら落とされたその声は、 冗談みたいなのに冗談じゃない。  

  魅音は思わず胸に置いていた手で憂唯を押そうとする。  

  だが、その手首を憂唯がそっと包んで、動きを止めた。  

憂唯

怖いか?

憂唯

でも、そうやって怖がるお前も、たまらなく可愛いよ

  耳元に近づいた声は、低く甘く、 逃げ道を塞ぐようだった。  

  胸を押す手に力が入らない。 震えるばかりで、もう拒むことすらできない。  

  その手首を包んだまま、憂唯はぐっと抱き寄せる。  

  強い腕に絡め取られ、 抗おうとする身体ごと引き寄せられる。  

魅音

……っ

  息が詰まりそうなのに、 近くのぬくもりに逆らえなかった。  

  怖い。だけど、確かに温かい。  

  その矛盾に心が揺れて、声にならない吐息が漏れる。  

  背に回された大きな手のぬくもりから逃げられず、 小さな安堵と大きな不安の間に、ただ沈んでいった。  

 

next ▶︎♡500

静かなシーンにしたいと思ったら、 地の文が多くなった💦   読みにくかったらごめんなさい🙇‍♀️  

この作品はいかがでしたか?

605

コメント

2

ユーザー
ユーザー

応援してます!!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚