テラーノベル
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放課後の喧騒が響く渡り廊下で、私はその姿を見つけた。
赤葦京治。保育園の砂場からずっと一緒にいる、私の幼馴染。
彼はいつも涼しい顔をしている。どんなに窮地に立たされても、眉ひとつ動かさずに最適なトスを上げる、それが自慢の幼馴染だった。
けれど、1年の秋。先輩たちの引退が近づき、次期正セッターとしての重圧と、主将である木兎さんの爆発的なテンションを一人で受け止め始めた頃から、彼の輪郭はどこか痛々しく擦り減っていた。
赤葦京治
歩いていた京治の身体が、一瞬、ぐらりと不自然に傾く。
本人は何事もなかったかのようにすぐ姿勢を戻したけれど、見失うはずがなかった。目の下に貼り付いた濃いクマも、いつもより少しだけ内側に入った肩も、全部限界のサインだ。
気がつけば、私は京治の制服の袖を掴んでいた。
赤葦京治
振り返った京治は、いつもの「完璧な赤葦京治」の仮面を被ろうとする。けれど、掴んだ腕は少しだけ震えていた。バカ。強がりも大概にしてほしい。
詩織
私の声が少し尖った。周囲に人がいないのを確認して、あえて中学までの呼び方を使う。
赤葦京治
詩織
赤葦京治
詩織
京治は言葉に詰まったように、薄い唇をきゅっと結んだ。言い返せないのは、図星だからだ。 自分の限界を認めない頑固な幼馴染。なら、認めさせる必要なんてない。私がその限界の枠を、広げてやればいいだけのことだ。
スクールバッグから、昼休みのうちに担任から貰っておいた紙を引っ張り出す。
詩織
赤葦京治
京治が初めて、目を見開いて呆然とした。
詩織
赤葦京治
詩織
私は、肩まで伸びた茶髪をバサリと揺らして、京治を真っ直ぐ見据えた。
詩織
京治は驚いたように息を呑み、それから、観念したようにふっと目元を緩めた。その顔は、強豪校のセッターではなく、私の知っているただの「京治」の顔だった。
赤葦京治
詩織
翌日。
私は長い茶髪を、いつもより高い位置でキリッとポニーテールに結い上げた。
梟谷のモノトーンのジャージに袖を通し、体育館の重い扉を開ける。
詩織
凛とした私の声に、体育館中の視線が集まる。
木葉秋紀
木兎光太郎
コートに入った瞬間、私の頭の中でスイッチが切り替わる。
ここからは、幼馴染じゃなくて、部活の仲間だ。
詩織
赤葦京治
二文字ぶん、遠くなった名前。
けれど、私たちの間にある「あうんの呼吸」は、誰にも邪魔できない特別なものだった。
コメント
1件
えええええ!!第2話めっちゃ良かった😭💕 詩織ちゃんの「あんたのSOSを誰より早く察知して助ける」って台詞、ギュンって来た〜!!幼馴染の強みを活かしてマネージャー入部する流れ、最高すぎるっ。 「完璧な赤葦京治」の仮面が詩織ちゃんの前でだけ外れる瞬間、エモすぎて泣いた。2人の距離感が絶妙で、続きが気になりすぎるよ〜!💫

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