さやか
ねえ。

みさ
なに?

さやか
最近、人気になって来た心霊スポットが…

みさ
行かないわよ。

さやか
即答〜(涙)

みさ
知ってるでしょ、私がそういうの無理なの。

さやかとみさは小学校からの幼馴染で、高校生になる今までずっと一緒にいた。
さやか
いいじゃん。たまには行こうよ〜。

みさ
嫌よ。

みさ
もし呪われたりしたらどうするの?

みさは大の心霊嫌いで、絶対に心霊スポットにだけは行こうとしなかった。
さやか
そんなこと言ってもいいのかなあ?

みさ
どういうことよ?

さやか
今度けんじくん、合コン出るんだって。私出るから、誘ってあげても…。

みさ
分かったわ。行くから、行くからお願い!合コン、連れてって!

さやか
よっしゃ!約束だからね。

みさ
そっちこそ、合コンの件、忘れないでよ!

さやか
さあ、行こう!

みさ
はあ…。

みさ
行きたくない…。

さやか
そんなこと言わないのー。

さやか
さ、はやく行こ。

みさ
どういうところに行くの?

さやか
えっとね、トンネル。

さやか
最近人気になって来てるの。

さやか
なんかね、ループするんだって。

みさ
は?何それ。どういうこと?

さやか
さあ?わかんないけど。色々ループするらしい。

みさ
なんでそんなわけわかんないとこに行くのよ!

さやか
え、いいじゃん。絶対大丈夫だって。

さやか
私の友達も無事に帰って来たし。

みさ
そうなの?それなら、まあ…。

みさ
ち、近いのね…。

さやか
私の家からだと五分で着くよ。近いよねー。

みさ
不安だわあ。

さやか
大丈夫大丈夫!
さ、行こ!

トンネルの中はとてもジメジメしていて、決して居心地のいいものではなかった。
みさ
こういうジメジメしたの無理…。

さやか
もー、怖がりすぎだよー。
…え?

みさ
な、何よ?

さやかが動かなくなり、その場で固まってしまう。何かを見たのだ。
みさ
ちょっ、何かあるの?

みさ
ねえ、返事してよ!

さやか
か、帰ろう。

みさ
え?

さやか
ダメだよ!
ここ、ガチなやつだ!

みさ
わ、分かったわ。
戻りましょう。

さやかはみさの手を握って離さない。それほど恐ろしいものを見たということか。
みさ
え?うそ。

さやか
ど、どうして?もう出口のはずなのに。

みさ
(こんなとこ、来なきゃよかった…。)

みさ
大丈夫?

さやか
震えが止まんない。怖いよお。

泣き始めたさやかにつられて、みさの目にもじんわりと涙がにじむ。
みさ
泣かないで。

みさ
(これ以上進んでも無駄だ。体力を消耗するだけだ。)

みさ
ちょっと休憩しようか。

さやか
嫌よ!はやくここから出るの!

みさ
(あれ…なんか…)

さやか
(急に…眠く…)

みさ
ここは?
(助かったの?隣で母さんが泣いている)

みさのお母さん
みさ!目が覚めたのね!待ってて、お医者さんを呼ぶから。

みさ
ねえ、一体、何があったの…?

みさのお母さん
それはお母さんが聞きたいけど…。あなたね、さやかちゃんと一緒にトンネルの前で倒れてたのよ。

みさ
(じゃあ、トンネルに入ってからのことは夢…?)

みさ
わかった。
ありがとう。

みさのお母さん
診察が終わったら、ちょっと休みなさい。疲れてるのかもしれないから。

みさ
うん。そうする。
