優等生のフリをする

もしも俺が空気を読んで二人の俺を分けれて

親とも、うまく付き合っていく方法がわかっていたら

どれだけ良かったんだろう

きっと前までの俺だったらこんなこと出来てなかった

桃くんがいたから、俺自身を好きになれた

だから、大好きなんだ

桃くんが照らした俺の居場所が

微笑む桃くんが眩しい

前はこの光に届くとも思っていなかった

でも今は、目の前に

胸が高鳴る

この気持ちは…恋とは違う

そうだ、桃くんに言ってなかったな、これ

そんな、風に、思ってくれてたの？

どうしよう

今の俺、多分ひどい顔してる

でも、だって、

こうでもしないと、

涙が、止まらない…っ

この感謝は伝えても伝えきれない

だから

大量の感謝を抱えて

毎日生きていこう

朝あんなに泣いちゃったし、挨拶は元気よく！

赤くんおはよー

おはー

桃くんも、おはよう！

朝泣いたからだ…！

何か言い訳…

なにもない…！

桃くん助けてっ！！

…話がそれたからいっか

あ、また助けられちゃった

これからは一人で抱え込まない

周りも頼ろう

…でも、ちょっと頼りた過ぎかも

風向きが桃くんに！！

それは駄目！

ﾍﾞｼｯ

それからも他愛もない会話をして

やっと、みんなと対等に話せた

今までは少しだけ俺が敬われてて

こんなに大騒ぎして話すことなんかできなかった

今が、楽しい

携帯を見たらお母さんからの電話の量がすごかった

でも、怖がらない

いつかは家に戻って

お母さんとちゃんと話せたらいいな

赤/くん！！！

みんな、本当はわかってたんだ

俺の中に、黒いものがあることを

友達だから、どれだけ繕っても、結局はわかるんだね

今日はありがとうばっかりだな

でも、本当に

ありがとう

こうして、俺の枯れたはずの涙は、また瞳から流れていった

『優等生』という仮面とともに

〜END〜