俺達は2人で生きてきた。 苦しみも、辛さも 分け合って生きてきた。
お互いの唯一の理解者。 だから俺は兄ちゃんを頼る。
桜
……ねぇ兄ちゃん。
桜
……俺って、変?
数年前、真っ直ぐ伝えられた言葉。 それは俺を困惑させた。
日向
……急にどうしたの?
桜
…周りの人が皆…、俺を虐めてくる。
桜
俺の目も、俺の髪の毛も変だって……
日向
……俺はそんな事ないと思うな。
桜
………本当?
日向
うん、本当。
日向
俺は桜のオッドアイも、
日向
ふわふわな髪の毛だって好きだよ。
日向
それに、桜が変なら俺だって変。
桜
そんなわけ…!
日向
弟が変なら兄だって変に決まってるでしょ?
日向
いいや、俺だって変。
日向
実際に、俺の髪の毛だって一般的じゃない。
日向
それに、俺の目だって、普通じゃないんだよ。
桜
……そう、か?
日向
そうだよ。 結局、普通の人なんていないの。
日向
皆どこか普通とはズレている。
日向
皆で作り上げた普通はね、普通じゃないの。
日向
だからね、変って言って関わらない人なんて…
日向
…無視していい。
日向
虫が鳴いてる声とでも思ってていい。
桜
でも……無視して、より今が悪化したら…
日向
そんなの、今考えてもしょうがないの。
桜
そうゆう物……か?
日向
そうゆう物。
日向
桜…桜はね、素敵な個性を持ってる。
日向
俺だって憧れる価値観を持ってる、
日向
今まで兄をしてきた俺だから言えるの。
日向
きっとね、これから桜の全てを受け止めてくれる人が現れる。
日向
その時まで…俺が守ってあげる。
桜はくしゃりと顔が歪んでいる。 俺はそんな桜を抱きしめるしか 出来ない。
家の中にいるより、 外にいた方がいい…と思う。
日向
桜、落ち着いてから何処か行こっか。
桜
何処か……って?
日向
どこでもいいよ。静かなカフェでも行く?
桜
カフェ……そんな所に俺が行ったら迷惑だろ。
日向
いいや、迷惑じゃない。
日向
ほら、行こ?
頷いてくれて、 とりあえず安心した。
日向
じゃ、何にする?
日向
俺はパンケーキにするけど…
桜
…………えっと、
日向
まぁ、俺と同じでいい?
桜
……お願い。
待ってる間、桜の話を聞いた。
聞いてたら、こっちまでしんどくなる。 ただ、桜の方が辛いはずだ、
聞いてる限り、話が どんどん重くなる。
日向
………わかった!
日向
ならもう、そんな学校にいなくていいよ。
日向
通信制なら自由だから髪を染めてる人が多いって聞くし、
桜
……本当?
桜
………いや、もう少しだけ、今の所にいたい。
日向
………そっか。