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君がいたから

第10話 - 君がいたから　#10

2020年03月23日

#恋愛

#特殊な能力

#鬼

黄月

翌日

学校

千世

なんか美咲に全部話せてすっきりしたなー

凪

よかったね

凪

けど明るい性格の美咲ちゃんが

凪

あんなに辛い経験をしてるなんて

凪

びっくりした

千世

結構頑張って立ち直ったんだよ

千世

私が神社に連れて行った時はすごくびくびく怯えてたし

凪

そうだったんだ

蒼

千世

⁈

千世

蒼くん？どうしたの？

蒼

これ返す

千世

あ、それって

蒼

お前の傘

蒼

ごめんな、借りっぱなしで

蒼

忘れてて

千世

全然いいよ！

千世

私も正直忘れてた…

千世

わざわざありがとう

蒼

いやこっちこそ、助かった

蒼

じゃあな

千世

じゃあね

凪

あの子は？

千世

星野蒼くんだよ

千世

ちょっと怖めだけど優しい人なんだ

凪

そっか

凪

面白そうな子だね

千世

でしょ？

千世

もっとみんなと仲良くなってくれればいいんだけどね

美咲

千世はよくあの怖いヤンキーと話せるね

美咲

周りの席の人は星野に怯えてるよ

千世

話してみると普通だよ？

千世

ちょっと不器用なだけだよ

美咲

そうかなー

放課後

凪

千世ー帰ろー

千世

先行ってて！

千世

忘れ物とったらすぐ行く！

凪

了解ー

教室

千世

早くしないと

千世

…ん？

蒼

…

千世

（蒼くんだ！）

蒼

…

千世

（考え事かな？）

千世

蒼くん？

蒼

⁈

蒼

…千世か

千世

どうしたの？

蒼

ちょっとぼーっとしてただけ

千世

なんか顔色悪いけど…

蒼

だい…じょう…ぶ…だから

千世

全然大丈夫じゃないよ！

千世

保健室行こう？

蒼

分かった…

保健室

千世

…先生はいないのか

千世

とりあえず横になって

蒼

千世…俺…

千世

ん？

蒼

苦しいよ…

千世

（この香り…）

千世

（とてつもなく大きな不安が心を締め付けてくる感じで…）

千世

何か辛いことがあるんだよね…

蒼

え…

千世

大丈夫、1人じゃないから

蒼

…ありがとう

千世

（凪にはメールで先に帰ってもらおう）

千世

（蒼くんをここには置いていけない）

蒼

俺の話…聞いてくれないか

千世

いいよ

蒼

俺の家はさ

蒼

プライドが高い伝統ある家なんだ

蒼

俺は次期当主として育てられてきた

千世

うん

蒼

最初は素直に親父の言うこときいてたんだ

蒼

けど途中から反抗期ってものが来たんだよ

蒼

そしたらこの間親父に言われたんだ

蒼

「お前は力だけはあるんだから黙って俺の言うことを聞いていればいいんだ」って

蒼

そう言いながら竹刀で叩いてきたんだ

蒼

まるで動物にムチを当てるように

千世

…

蒼

竹刀で叩かれたよりも言葉が結構グサッときてさ

蒼

俺は親父の道具でしかないのかなって…

蒼

…ごめんな

蒼

こんな話聞きたくなかったよな

千世

そんなことない！

千世

蒼くんはちゃんと頑張ってるよ！

蒼

千世？

千世

お父さんになにを言われても

千世

蒼くんはちゃんと自分を持ってるよ

千世

それは道具なんかじゃないっていう

千世

立派な証拠だよ！

蒼

けど…こんなに心が弱いんじゃこれからどんどん道を見失うだけだ

千世

私がいるよ

蒼

！

千世

さっきも言ったでしょ？

千世

蒼くんは1人じゃない

千世

全部1人で背負って行かなくてもいいんだよ

千世

大丈夫

千世

蒼くんなら大丈夫

蒼

…ありがとう

蒼

千世って…すごいな

千世

？

千世

あっ、そうだ！

蒼

？

千世

目を瞑って

蒼

…ああ、分かった

千世

（心が軽くなって安心する香りを）

千世

（蒼くんに…）

蒼

（ん？なんだろうこの香り）

蒼

（すごく落ち着く）

千世

もういいよ

蒼

千世

？

蒼

なにしたんだ？

千世

おまじないだよ

蒼

おまじない…？

千世

そう

千世

蒼くんがこれから楽しく過ごせるように

蒼

そっか

蒼

ありがとう

千世

元気になってよかった

蒼

お礼にこれやるよ

千世

黒くて綺麗な羽…

千世

いいの？

蒼

ああ、もちろん

千世

ありがとう！

千世

大切にする！

蒼

そろそろ帰った方がいいぞ

千世

あっ、本当だ

千世

また明日ね

蒼

おう

蒼

またな

翌日

学校

千世

昨日はごめんね凪

凪

全然大丈夫だよ

凪

緊急事態だったんでしょ？

千世

うん

凪

なら、全然いいよ

千世

ありがとう

蒼

千世

蒼くん！おはよ

蒼

はよ

蒼

昨日はありがとな

蒼

おかげで助かった

千世

蒼くんが元気になって良かったよ

千世

また何かあったら頼ってね

蒼

おう

蒼

お前もなんかあったら頼れよ

千世

うん！ありがと！

蒼

じゃあな

千世

じゃあね

凪

…

凪

千世

ん？

凪

星野からなんかもらわなかった？

千世

え⁈なんでわかるの！

凪

なんとなくw

凪

なにもらったの？

千世

えーっとね

千世

すごく綺麗な黒い羽だよ

凪

黒い羽…

千世

凪？

凪

なんでもないよ

凪

よかったね

千世

うん！

昼休み

凪

星野、ちょっといい？

蒼

ああ

凪

千世

凪

少し待ってて

凪

すぐ戻ってくるから

千世

分かった

屋上

蒼

なんだよ？話って

凪

お前、千世に羽あげただろ？

蒼

まぁな

凪

星野って妖怪なのか？

蒼

…

蒼

結構いきなりだな

凪

…

蒼

ああ、そうだよ

蒼

俺は妖怪だ

蒼

そうゆうお前も妖怪だろ？

凪

ああ、そうだ

蒼

俺は烏天狗だ

凪

僕は鬼だよ

凪

千世のことも知ってるんだろ？

蒼

そうだな

凪

知ってて昨日近づいたのか？

蒼

いや、昨日初めて知った

蒼

あいつが能力者だって

凪

烏天狗は能力者を捕まえて悪用するって聞いたことがあるんだけど…

蒼

それは親父の考えだな

蒼

俺はそれが嫌で反抗してきたんだ

蒼

その行為によって烏天狗は能力者の力を頼るほど弱いって言われるからな

凪

そうか

蒼

それにあいつを俺の都合に巻き込みたくない

凪

じゃあ、千世に手は出さないんだな

蒼

もちろんだ

蒼

命の恩人みたいなものだしな

蒼

俺はあいつが幸せになればそれでいい

凪

そうか

凪

安心したよ

蒼

随分と過保護だな？

蒼

お前の家とあいつの家は敵対してるだろ？

凪

千世が仲良くさせようと頑張ってるんだよ

蒼

そうか

蒼

まっ、何かあったら連絡くれよ

蒼

協力はできるからな

凪

ありがとう

蒼

それに苗字はなんかじれったいから名前で呼ぼうぜ

凪

ああ、いいよ蒼

蒼

なにかとよろしくな、凪

蒼

それより

蒼

早く千世のところ戻れよ

蒼

あいつのことだから心配してるぞ

教室

千世

凪！蒼くん！

千世

おかえり

凪

ただいま

千世

2人で何話してたの？

蒼

それはまだ言えねえな

凪

そうだね

凪

男と男の約束ってやつ？

蒼

まぁ、そんな感じだな

凪

いずれ千世にも話すよ

千世

分かった

千世

今日は美咲も誘って4人でご飯食べよう！

凪

蒼

賑やかになりそうだな

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黄月

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