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さて、千冬と感動的な仲直りをしたつばきであったが、機嫌は既に急降下の真っ最中。

というのも、つばきがエミリから注目をもぎ取れたのは、ほんの数分だけだったのだ。

次の授業が始まるまでの間、クラスメイト達はいつも通りに、エミリのもとへと集まり出す。

クラスメイト

エミリちゃん、この間の雑誌のコメントみたよ!超面白かった!

クラスメイト

他の子も可愛いけど、やっぱエミリがダントツだよね!

取り巻き

ほんっといいよね〜!あたしもそんな顔に生まれたかった

エミリ

あはは!またそれー?

つばき

それが、面白くない。

つばき

……ここも、そうなの?

つばき

XYZみたいに、みんなが注目してくれる時間なんて、ほんのちょっとなんだ?

つばき

XYZは、写真を投稿すれば反応して貰えたけど、ここは?

つばき

ここで、どう目立てばいいの?

つばき

この教室で、エミリ相手にどう戦えばいいの?

つばき

つばき

見てもらうって言うなら、さっきのアレもスルーしていた、三軍女子に声をかけてみるとか?

つばき

あいつらの推しに、私が君臨する、とか

つばき

つばき

これは、なんか違うかも

つばき

何より、絵にキャーキャー言ってるヲタク達に、声をかけるのも嫌だし……

つばき

これはナシかな!

つばき

同じ理由で、三軍男子も却下!

つばき

なら、二軍の男子のところに行く?

つばき

でも、あんなサルみたいな男の子の所には、ちょっと行きたくないかなあ

つばき

つばき

だめだ、どこにも行けない

つばき

終わった

つばき

私じゃ、エミリに勝てないの?

そんなことないよ

――とでも言うかのように、つばきのスマートフォンの画面に、通知が滑り込んで来た。

つばき

ユーリさんっ!

つばき

ユーリさんは、やっぱり最高!!

つばき

私が見て欲しい時に、私に反応をくれる!

つばき

最近見てくれた新人さんなのに、優秀〜!

つばき

つばき

それに、目立つためのヒントもくれた……!

先生が教室にやって来るまで、あと5分程度。

クラスメイト達はエミリの席を離れ、各々次の授業の準備に取り掛かる。

その時間すら惜しいというかのように、つばきはスマートフォンの画面に、夢中になっていた。

XYZの投稿画面を見ながら、つばきは唸っていた。

小紅姫

通知が来たと思ったら……リレー!?

小紅姫

やったことないや、どんなものなんだろう

小紅姫

ルールはどこに書いてあるのかな、っと

小紅姫

小紅姫

あった!ユーリさんがまとめてくれてた!

小紅姫

なになに〜?

小紅姫

『まず最初の質問に回答して、次の参加者を相互フォローの人の中から、1人指名する』

小紅姫

なるほど!だから私、ユーリさんにメンションされたんだね!

小紅姫

じゃあ、早速答えていくよ!

小紅姫

小紅姫

えっとまずは最初の質問、名前!

小紅姫

小紅姫でっす!

小紅姫

自撮りも載せちゃお!

小紅姫

これでいいのかな?送信!

ユーリから回ってきた、XYZリレーという名の質問回答企画。

それはまさに、人気獲得に悩むつばきにとって、ヒント――を通り越した、救いの糸のように見えた。

小紅姫

次は……ふんふん、なるほどね?

小紅姫

『回答を拡散された数によって、次の質問の回答数を決定する』

小紅姫

つまりリポスト数の数だけ、質問に答えなきゃいけなくなるんだ

小紅姫

そうなると最大20問、答えることになるんだね

小紅姫

20を超えたら、フォロワーさんから自由に質問を受け付けて、答えていくと

小紅姫

小紅姫

20なんて、すぐじゃん

小紅姫

20超えたら、みんなはコメント、してくれるのかな

小紅姫

小紅姫

ま、暇つぶしにはちょうどいいか!

小紅姫

それにこれなら、もーっと私のこと、知ってもらえるしね!

小紅姫

流石ユーリさん、もうリポストしてくれたんだ!

小紅姫

次に答えるのは誕生日だったよね?

小紅姫

はぁい、1月5日でーす!

小紅姫

さらに次が血液型で、その次が身長と体重……体重!?

小紅姫

恥ずかしいし、ヒミツで乗り切っちゃダメかな?

小紅姫

うわわわわ!こうしている間にも、どんどん通知が来てるよ!

小紅姫

えーっと、答えるからちょっと待ってね!

続々とやって来るリポストの数は、余裕で20を超え、更に増えていく。

誕生日や血液型から始まり、 身長、性別、所属する部活まで……

つばきはなんの迷いもなく公表した。

小紅姫

で、あとはフリーの質問に答えるんだね?

小紅姫

そういうわけだから、みんなからの質問待ってるよ☆

小紅姫

今から授業だから、コメントして待ってて欲しいな!

小紅姫

それじゃあまたね〜!

スマートフォンをしまうと同時に、静かになった教室の扉が開く。

つばき

どうしよう、まだ通知が来てる感覚がする

つばき

スマホのバイブの振動が、まだ手にあるような気だってするよ

つばき

あーっ!!早く授業終わらないかな!!

結論から言おう。この授業の内容は、ちっともつばきの耳には入ってこなかった。

つばき

どうにかして、みんなを惹き付けなきゃ

承認欲求に頭を支配されながら、つばきは思考にふける。

自分が誰よりも可愛いのだということを、クラスメイトだけではなく、フォロワー達にも知らしめる方法を。

その一心で思考を張り巡らせていたせいか、気がつけば授業も終わりを迎えていた。

その日の夕方。 つばきは両親からの説教と質問攻めを耐え抜いて、自室のベッドへと倒れ込んだ。

つばき

あーっ、疲れた!

つばき

先生から連絡が行ってるだろうから、覚悟していたけど

つばき

まさか1時間もお説教だなんて!

つばき

保健室で思いついた、『朝の記憶喪失作戦』をやってなかったら、お説教時間は伸びてただろうね!

つばき

ナイスっ、朝の私!

つばき

おかげで、お父さんは勝手に「学校でのストレスが原因だろう」って思い込んだ!

つばき

お母さんは……「エミリちゃんになろうとしなくていい」って

つばき

合っているんだかいないんだか、分からないようなことを言ってたけど……

つばき

つばき

ま、スマホを取られなかったからよーし!

つばき

ここまでくれば、もう大丈夫!

つばき

さ、みんなからの質問は……

つばき

そこそこ来てるね!

つばき

『出身地はどこですか?』……?

つばき

出身地って、今住んでるところでいいのかな?

つばき

有名なゆるキャラがいる県でーす、ってだけ言わせてね!

つばき

あとは「経験人数」?それちょっとよく分からないかも

つばき

『よく分からないからお友達の数で答えます』……って一応言っておこう

つばき

つばき

は?なにこれ

普段は返信ばかりを気にかけていたせいか、つばきはダイレクトメッセージの存在を忘れていた。

手紙の形のアイコンに、初めて【未読】の通知バッヂが赤く表示されている。

つばき

返信でいいのに、わざわざ……?

つばき

一体どうして?

つばき

もしかしたら、今日のリレーで私のファンなってくれたのかも!?

つばき

恥ずかしがり屋さんだから、メッセージでコメントを送ってくれたんだね、きっとね!

彼女の白い指は、意気揚々と、ダイレクトメッセージの一覧ページを開いた。

つばき

へえ、俊樹さんって人が送ってくれたんだ

つばき

フォロワーでもないし、初めましての人!

つばき

名前からして、男の子かな?

つばき

確かに男の子だと、女の子ばっかりのところにコメントはしにくいもんね……

つばき

さあて、気になる内容は〜っと!

つばき

……ひっ

文面を見るなり、つばきの顔はみるみると青ざめていく。

その内容は――

俊樹

はじめまして、小紅姫ちゃん

俊樹

XYZリレー参加者の俊樹っていいます

俊樹

お写真見たけど、すごく可愛いね

俊樹

SNSで有名になるのも、納得かも

俊樹

是非ともお近づきになりたいんだけど、その前に1個、聞いてもいい?

俊樹

この写真って君?

メッセージの下に表示されていたのは、とある少女の裸の画像。

その写真に写っている少女の顔は、間違いなくつばき本人。しかし体はよく似てこそいるものの、別人のものであった。

よくよく見ればAI画像特有のノイズがあるあたり、これはいわゆるディープフェイクというやつだ。

だが、つばきはディープフェイクを知らない。故に、彼女は誤認した。

これは自分の画像なのだ、と。

小紅姫

なにこれ……どゆこと?

俊樹

あ、お返事くれるんだ?嬉しいな

俊樹

その反応からして……これは君で間違いない、とみていいカンジ?

俊樹

こんな写真撮るってことはもしかして、そういうこと、したい?

俊樹

それなら俺が相手してあげるよ

俊樹

あ!ちなみに俺の顔はメディア欄見てくれれば分かるよ笑

俊樹

しっかしまあ、こんな写真が見つかるとはなー

俊樹

結構タイプなんだよなー、小紅姫ちゃん

俊樹

だからさ

ここから先のメッセージは見なかった。

見たいとすら、思えなかった。

つばきは必死になって、そのアカウントをブロックした。

小紅姫

気持ち悪い!

小紅姫

何がタイプだよ、勝手に盛り上がってんなし!

小紅姫

それにしても、あの写真

小紅姫

そんなもの撮った覚えないのに、一体どうやって……

考え込むも、答えなど出るわけがない。

この写真の出処も、大人達のコメントの裏に何があるのかも……

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