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〜ハテ村〜

鬼神丸

ここがハテ村……

蓮爺

山奥にひっそりとある田舎じゃ

蓮爺

とはいえこの混沌とした世の中…

蓮爺

こんな辺境の地にもその影響が出ている

村人

村人

た、旅人?

村人

あの若者の頭部…

村人

あれは明らかに角では………

村人

じゃあ鬼達が遂にここまで……

村人

だとしたらそばにいる爺さんは一体?

村人

なんにせよこの村もおしまいだ…

村人

騒いだところでどうにもならない

村人

最期のときを楽しもうや…

鬼神丸

………

蓮爺

蓮爺

まぁ、風当たりは強いようじゃな

鬼神丸

…慣れてるんで

鬼神丸

それよりここになんの用が?

蓮爺

今話した通り辺境の地でも妖の悪事の噂は広がっている

蓮爺

もっと言えばここに来る道中

蓮爺

木々に所々キズがあったの気づいているか?

鬼神丸

えぇ…

蓮爺

そのキズは鬼達の縄張りを示すキズだ

鬼神丸

つまりここにも妖の手が……

蓮爺

左様…

蓮爺

村人の様子を見たところ実害こそ出てないが

蓮爺

何度か鬼たちは訪れているようだ

鬼神丸

だから僕を見て怖がってたわけですね

蓮爺

人によっては諦めてる者もいたがな

鬼神丸

……まぁ仕方ないか

蓮爺

さて、ここからが本題だ

蓮爺

実はこのハテ村にワシの古くからの友人が居てな

蓮爺

彼に会って話を聞きたいんだ

鬼神丸

なんの話を聞く気で?

蓮爺

単刀直入に言えば鬼で困ってないか、と

蓮爺

困っているなら助けてやると

蓮爺

そういう話じゃな

鬼神丸

恩を売るってことですか?

蓮爺

言い方が悪いがまぁ……

蓮爺

とはいえお主はまだ無名の人だ

蓮爺

この村を救いお主という存在を知ってもらう

蓮爺

それが1番の近道ではないかのぉ?

鬼神丸

そうかもしれないですけど……

蓮爺

とにかくまずはワシの友人に会いに行こうか

蓮爺

蓮爺

アズマいるかのぉ?

アズマ

アズマ

おぉ!!

アズマ

久しいな蓮の兄さん

蓮爺

ワシはもう兄さんと呼ばれる歳ではない

アズマ

まぁまぁ…

アズマ

それよりこんな辺境の地に一体何用で?

蓮爺

実はワシに弟子ができてな

アズマ

ほぉ!

アズマ

アレだけ弟子はとらぬと話していたお主に…

蓮爺

蓮爺

…熱意に負けたってところかのぉ

アズマ

して、そのお弟子さんは?

蓮爺

来なさい鬼神丸

鬼神丸

鬼神丸

ど、どうもこんにちは…

アズマ

!!

アズマ

お主こやつの額から飛び出るのは…

蓮爺

察しがいいのぉ

蓮爺

鬼と同じ角じゃ

アズマ

お主鬼を使役したのか!?

蓮爺

阿呆が…

蓮爺

彼は鬼であり鬼ではない

アズマ

どういう……

蓮爺

彼は鬼と人の間に生まれた奇跡の子じゃ

アズマ

鬼と人の間に……

蓮爺

蓮爺

轟という名の人物を知っとるかのぉ?

アズマ

と、轟ってまさか……

蓮爺

そのまさかじゃよ

蓮爺

彼はその轟家の一人息子で奇跡の子じゃ

アズマ

な、なんと………

蓮爺

…話が少しズレたのぉ

蓮爺

本題に入らせてもらう

蓮爺

お主この村で困ったことはないか?

アズマ

困ったこと……

蓮爺

蓮爺

例えば…『鬼』とか…

アズマ

!?

蓮爺

もし困っているなら手を貸そう

アズマ

本当か!?

蓮爺

あぁ勿論じゃよ

アズマ

だ、だが対価としてワシから渡せるものは…

蓮爺

物は要らぬ

アズマ

では何を?

蓮爺

ワシと彼の勇姿を語り継いで欲しい

アズマ

その程度でいいのか?

蓮爺

彼の目的のために、な

アズマ

目的?

鬼神丸

はい…

鬼神丸

実は僕の両親は亡くなってしまいました

鬼神丸

理由は単純で僕が存在したということで…

アズマ

うむぅ………

鬼神丸

しかし僕は人も鬼も憎悪に飲まれるほど憎んではいません

鬼神丸

僕の目的は亡き両親の願いを叶える為なんです

アズマ

その願いとは?

鬼神丸

鬼……いや、妖と人が共に歩む世界です

鬼神丸

お互いが支え合える世界を作る

鬼神丸

その両者の架け橋になること

鬼神丸

それが現在の僕の目的です

アズマ

……なるほど

アズマ

アズマ

その大層な夢…

アズマ

お主の熱意に殊勝な心がけ……

アズマ

ワシも感銘を受けた

アズマ

お主の名を世に知らせよう

鬼神丸

!!

アズマ

まぁ、ワシ程度ではそれほど影響力がある訳では無いが

アズマ

可能な限りお主の活躍は広めてみよう

鬼神丸

ありがとうございます…

アズマ

だが……

鬼神丸

アズマ

それはワシの依頼をこなしてからだ

鬼神丸

鬼退治って事ですか?

アズマ

その通りじゃ…

鬼神丸

分かりました

鬼神丸

僕も人と妖が常に争いあうのは見てられないです

蓮爺

交渉成立じゃな

蓮爺

鬼共は何時ここに来る?

アズマ

次くるのは満月の時と話していた

蓮爺

それでは時間が掛かってしまうのぉ…

アズマ

アズマ

では、こちらから出向くといい

蓮爺

ほぉ?

アズマ

実はたまたまワシは彼らの拠点を見つけた

アズマ

村裏にある今は使われてない祠がある洞窟

アズマ

そこを拠点にしているようなんじゃ

鬼神丸

なら、そこに行って…

蓮爺

いや、村付近までおびき出そう

鬼神丸

!?

鬼神丸

何故そんな危ない事を…!

蓮爺

簡単なことじゃよ

蓮爺

お主を恐れてる村人に見せてやれ

蓮爺

お主が救世主だと言うことを

鬼神丸

そんなリスクを背負うようなことを…

蓮爺

蓮爺

妖と人を繋ぐ架け橋になるということ

蓮爺

それ即ち世界そのものを変えることになる

蓮爺

この意味が分かるか?

鬼神丸

………

蓮爺

一歩間違えたらこの両者を敵に回すということじゃ

蓮爺

それと比べれば小さなリスクじゃろ?

鬼神丸

……でも

鬼神丸

命に価値をつけるのは…

蓮爺

分かっている…

蓮爺

別にワシも人の心を捨てた訳では無い

蓮爺

だが、何かを成し遂げるには得るものと失うもの

蓮爺

それが現れるのだ

蓮爺

今はその選択を迫られておる

蓮爺

勝てばお主の名が知れ渡る

蓮爺

負ければ関係の無い人々が死んでしまう

蓮爺

今はこの二択を迫られておる

蓮爺

後者の選択を取りたくないのならば

蓮爺

それこそ心を鬼にしてでも闘うのじゃ

鬼神丸

………

蓮爺

世界を変える覚悟とはそういう事じゃ

蓮爺

この時点で渋るようなら諦めた方が身のためだろう

蓮爺

10年ほど積み上げたものを捨ててな……

鬼神丸

鬼神丸

それはできません

蓮爺

なら、リスクを犯しても引き付けて闘うのだ

鬼神丸

…はい

蓮爺

蓮爺

一つ面白い話をしてやろう

鬼神丸

蓮爺

人という生き物はな

蓮爺

護る者があると己の限界を超えることがある

蓮爺

自分が決めていた限界を超える時がある

鬼神丸

それの何が……

蓮爺

村付近で戦闘をすることをリスクと話したお主だが

蓮爺

裏を返せばお主自身が強くなるチャンスでもある

鬼神丸

!!

蓮爺

そのチャンスを生かすも殺すもお主の覚悟と力量次第じゃ

鬼神丸

鬼神丸

分かりました

鬼神丸

今出せる力を僕は出し切って守ってみせます

蓮爺

うむ、そうするとよい

蓮爺

勿論ワシも手を貸すからな

鬼神丸

ありがとうございます

蓮爺

(真っ直ぐとしたいい眼だ)

蓮爺

(覚悟を決めた若者の瞳ほど美しいものはないのぉ)

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