男の娘な君

ざわっっ

足にはレースアップの施された ローヒールパンプスを

ウィッグの髪は 28ミリのコテで巻いて 前髪はシースルーバング

目尻に春ピンクの アイシャドウをたっぷりと

服はワンピース ベルトに紐リボンで清楚に …ああ今日も

スタスタ…（去っていく）

俺は内藤ないこ 女装男子だ

この趣味に目覚めたのは 俺が中学生のとき

文化祭で女装カフェを やることになったのが

全ての始まりだった

もともと俺は可愛いものが好きで

顔に綺麗な色が差し込める メイクにも興味があった

さらに、骨が小さくて 筋肉もつきにくい体質で

女装するには もってこいな体をしていた

…だから、文化祭で 女装をした際 「本物の女子と見分けがつかない」と クラスの奴らに 言われたのをきっかけに、 女装を始めた

…とは言っても 心は普通の男子で 女装は楽しくてしているだけ メンズのファッションで おしゃれを楽しむことも多かった

俺はゲイで

同性であるがために 見つかりにくい恋人が 可憐な姿をしていれば すぐ寄ってきてくれるのでは ないかという考えもあった

目の前に置かれた かわいらしいパフェ 可愛い格好によく映える

パシャッ（自撮り）

なんだかんだ言っても 俺は女装が好きで 可愛い格好をすることが楽しいから

ごちゃごちゃ考えるのをやめて 幸せな時間に浸った

待って待って待って

あそこに座ってるの ないくんだよね！？！？

やばいっっ！！！///

めっっっっちゃ可愛い！！！///

ドシャッ！！

1年前、高校の体育の授業中、 りうらは滑って盛大に転んだ

結構な勢いで倒れて かなり酷く足をくじいてしまった

一目惚れだった

艶やかな桃色の髪 きらきらと透き通る瞳 きちんと手入れされた きめ細かい白い肌

低いけど穏やかな声も 優しい性格も

恋に落ちるには十分だった

ズキｯｯｯ！！！

ひょいっ（姫抱き）

誰にも気づかれてなかった 体育館の隅で座り込んでたりうらに 手を差し伸べてくれて

一生懸命保健室まで 駆けてくれるその姿は

王子様みたいだった

…その日は他クラスとの 合同体育だったから

ないくんと同じクラスの友達に ないくんの名前を訊いた

それから1年間ずっと片思いしてる

だから、りうらが他人とないくんを 見間違えるはずがなかった

学校での爽やかイケメンとは 打って変わって別人のようで かわいらしく パフェを頬張っていた

※桃side

たまたま入ったお店だけど アタリだな …なんて考えていたときだった

揉め事は避けたいが なかなかにしつこい

だが 俺を女と思い込んでいるからか 振り払えない力ではない

と、考えたとき

スッ

目の前に急に 赤い髪の男の子が現れた

ぐ、ｯｯｯｯ！！！！

ゴキッ！！（関節）

パッ

その子が関節に衝撃を与えた途端 男が俺の腕から手を離す

その隙に次はその子に 袖を引かれ俺は席を立ち店から出た

タタタタ…

流石に片思いしてるから、とは 言えなかった

嘘だ 本当はないくんが好きだから 仲良くなりたいだけ

でも、ないくんに限らず 女装趣味は普通に素敵だと思うから そこは本音を言った

ぽろ…

そして、この日は ないくんと連絡先を交換して 解散した

ぼふっ（ベッド）

りうら：ないくんよろしくね！

ないこ：うん！こちらこそ〜.*･ﾟ

ばたばたっ！！